35000字で徹底解説!自宅で5色&異素材の3Dプリントを実現する Prusa MK3S + MMU2.0 + PrusaSlicer 完全攻略マニュアル
レビュー動画をアップしました!!
☆PrusaMK3S+を持っていて、3Dプリントテクニックのレベルアップをしたい!
☆PrusaMK3S+&MMU2.0を買ったが、どうしていいかわからず放置してしまい寂しい思いをしている。
☆5色同素材のプリントではなく、TPUとPETGとか2種以上異素材のプリントをしたい。
☆ワンランクもツーランクも上の3Dプリントを成功させて、FDM方式で5色カラープリントしたい
☆FDM方式の3Dプリンタを持っているが、単色の3Dプリントに飽き飽きしてきた。
☆周りの人たちがFDM方式の3Dプリンタを使い始めた。彼らよりも面白いものをプリントし、ドヤりたい。
☆3Dプリンタの可能性に興味津々である。
このような好奇心、知的探求心が旺盛な方、そして5色の3Dプリントにチャレンジしたい方にお勧めのnote記事となります。
※「MMU2.0を使いこなす講座」を作成中です。興味のある方は僕のYouTubeチャンネルをフォローしておいてください。
あらためてまして、こんにちは。
ヨーヨーを作るメイカー、YOYOMAKERの東方ヒデキと申します。
僕自身は、ヨーヨーを作りたくてしょうがなくて、2013年に独学で3DACDを習得、2014年に3Dプリンタを購入、自宅でヨーヨーを作り始めた人間です。
以来、仕事の合間を縫いながらメイカー活動をしています。ぼちぼちこれ一本で食っていけるところまで来ました。
おかげさまで、ヨーヨーの世界チャンピオンとコラボしてヨーヨーを設計したり、3Dプリンターだからこそ実現できる、実現しやすいオリジナルヨーヨーを作成、ヨーヨー専門店に卸したりしています。
ヨーヨーのサイドグッズ「キャンディーダイスプロ」の設計・企画し、自宅の3Dプリンタで作ったこの商品の出荷数が2021年5月で8000個を超えました。一時期はヨドバシカメラのおもちゃコーナーにも並んでいました。
このnoteは、チェコ産のFDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンタ「Prusa MK3S+(プルサ マークスリーエス、以下MK3S)」と、
アドオンユニットの「MMU2.0(マルチマテリアルユニット、以下MMU)」を安定して運用し、
家庭用の3Dプリンタで最大5色の3Dプリントオブジェクトを作って楽しむための改良ポイント、運用のノウハウを提供するものです。
写真:MMUサンプルのGコード「3色トカゲ」ちゃん。かわいい。
なぜこうしたものを記そうと思ったかというと、
日本ではPrusaMK3SとMMU2.0を組み合わせて運用している人が少ないか、いてもブログ等々で公開していないか、運用するコツや、トラブル解決のための日本語の情報が非常に少ないからです。
MMU2.0を買って、組み立てたはいいけどすぐにはうまく使えなくて、僕、とにかく情報がなくてすごい困ったんですよ(笑)。
何から改善していいか、まったくわからなかった。
だから、これからMMUを使ってみようと思う人に、僕の研究というか、試行錯誤が役に立ったら嬉しいです。
MK3をお持ちの方はS+へのアップグレードキットがあったほうが良いです、購入時期によってはPrusaスペシフィックのバレルも必要です。MK3Sをお持ちの方についてはエクストルーダーパーツのプリントが必要になります。MK3S+をお持ちの方はMMU2.0ユニットだけでOK。
2021/9/3追記、30,000文字以上あるのでちょっとずつ読むのをおススメします。あまりに文章が長くなってきたので、動画での説明を追加する予定です。
深~い部分は有料での提供とさせていただきます。
僕自身、公式のフォーラムや海外のブログなど、無料の情報をかき集めて仕上げたセッティングだったりもします。
その気になれば、僕が得たものと同じ技術情報をご自身で調べて入手することも可能です。
有料ってどうよ、と思われる方も、無料で同じ情報を得ることはできるので、ぜひGoogleを使いこなしてください。
最近はMMU2.0を使ってプリントする様子を解説しつつ、配信してます。
前書き
このnoteは、Prusa MK3sとMMU2.0をお持ちであることが前提条件となります。
最近は数年前(僕が初めてFDM方式の3Dプリンタを購入したのは2014年ごろ)と違って、3Dプリンタと言ってもいろんなメーカー、いろんな種類のものが存在します。
いわゆるPrusaクローン・コピーマシンや他のメーカーのマルチマテリアルシステム、ツールチェンジシステムとは関係のない話になります。有料部分の購入前にご承知おきください。
また、これからPrusaMK3SとMMU2.0を購入する!という方もいらっしゃるかもしれません。
一通り読んでもらって、購入と使いこなしの参考にしてもらえたら幸いです。
もし、このnoteを読んで「こんなことしないといけないの・・・」とちょっとでも抵抗を感じた方は、購入するのをちょっと待って、公式のアップデート・改善のバージョン(MMU3.0?)が出てからのほうが良いかもしれません。とはいえ2021年8月現在、その兆候はないので、いつまで待っても出てこないかもしれません。
「いやーこんなんむしろ燃えるわー」っていう機械オタクさんには、購入をお勧めします(笑)。
僕の使いこなしが進んで諸問題解決し、いろいろできるようになってました!「TPUもPLAもPETGも使える、本当のマルチマテリアル」になります!
以前はこんなこと書いてましたが…→もしPLA素材やPETG素材以外にも応用したい人はあくまで参考程度にして、ご自身で改造していってください。もちろんシングルモードで使う分には、どんなフィラメントも問題ありません。柔らかすぎてTPUは辛いかも…。
結論:MMU2.0のエラー原因の99%はこれ
僕の結論から先に申し上げますと、MMU2.0のエラーは
「フィラメントのチップ先端形状に起因して、フィラメントが通る経路のどっかに引っ掛かっており、本体のオートメーションではにっちもさっちもいかなくなって起きる」
です!これだけ!
これを意識するだけで、うまく運用できる人はできると思います。
このnoteで解説する内容は、本体のオートメーションを正しく機能させ、人間の手を必要とせずにプリント完走させるための改良あれこれとなります。
プルサマルチマテリアルユニットで作れるオブジェクト写真館
写真と元データを随時追加していきます。
いろいろ工夫した結果、初めて自分のスライスできれいにプリントできた3色トカゲちゃん。
まさかの、ゴミのほうが倍のフィラメントを使っているというオチ(笑)。
キツネちゃん(プリント18時間、ツールチェンジ430回)。これはかわいい。
3色トカゲのカラーバリエーション。MMUの挙動テストするときはいつもこのデータを使っています。他のモデルに比べてZ高さがないので、大きめにしても5時間以内にはプリントが終わります。
なんて言うのかわからないけど、4色を使うボムちゃん。
2色花瓶。あんまり好きじゃなくて余ってるシルク系フィラメントで実験。
PrusaSlicer2.4.0で追加されたマルチマテリアルペイント機能で作ったデータ。もとは単一のSTLファイルでした。
こういうの作れるようになりました。
僕がスライスしたGcodeはこの有料noteの購入特典として本文中の「7」でダウンロードできるようにしています。
MK3の出荷時期によって変わる改善ポイント
下記以降の記事を書きながら、いろんな試行錯誤をする中でどうも、
Prusa MK3/MK3Sのバージョン、出荷時期によって部品が違うのではないか?
もしかして僕がやってたのは、MK3の古いバージョンの部品群のせいで大改装が必要だったのではないか?
という疑問が出てきました。
そして、2019年に買ったMK3Sに移植したらほぼ一発でプリントがうまくいって、これが実証されました(笑)。
よって、最新のMK3S/MK3S+を使えば、ものすごい改良をしなくてもラミング設定(後述)のみでマルチマテリアルプリントを楽しめそうです!
最初、僕は、2018年8月に注文したMK3に対してMMUを設置しました。どうも、この時期同梱されていたステンレスバレルに問題があるのでは、という疑問。
この文章を読むと、E3Dのステンレスバレルの信頼性がいまいちっていう記述があるんですよね。
「そんなに精度の高いステンレスバレルを作るなら特別オーダーで高価になるからね!ってE3Dに言われてショボン(´・ω・`)」みたいな雰囲気(笑)。
その後の記事、MMUのアップグレード進捗みたいな記事を読むと「なんかいろいろ起きてるけど進んでるよ!」みたいな感じ。
で、MMUのシッピング開始は2018年の11月ごろからなんです。
まぁとにかく、このへんの情報を照合すると、これより以前か、同時期に出荷されているMK3/MK3Sのステンレスバレルは精度が低い、MMUの運用には耐えられない、という可能性が大きいと推測できるんです。
下記以降の記事で、いじっていたPrusaMK3本体のボードが焼けてしまったので、2019年6月に買ったMK3SにMMUを移植したところ、そのまますんなり(でもないんだけど、以前よりはマシ)ロード・アンロードができるようになって、プリントできるようになったんです。
それでも、フィラメントの通り道の問題としてPTFEチューブが細かったり、パーツ剛性の問題はあるのでプリントし直したり、ある程度改良はしたほうが良いです。
ということで、MMUの購入を検討している人は、自分の持っているMK3本体の出荷時期を鑑みて(2019年4月ごろ以降出荷のものならおそらく問題ない)、合わせてパーツを準備しておくと良いです。組み立て済のフルセットもしくは、プルサ・スペシフィックのバレルを購入して交換しましょう。
大丈夫です、このE3Dの純正パーツを使えば、僕みたいな苦労しなくてもMMU2.0を楽しめますよ!
MMU2.0がアップグレードしている!
2021年8月追記です。先月、企業さんの依頼で、MMU2.0の組立&セットアップを行ったのですが、いろいろ気づきました。ボードがバージョン4になっていたことでステッパードライバーが改善された?のか起動時の動作音が静かになっていました。フィラメントの移動経路の挙動についてはあまり変わっていないので若干の工夫推奨ではありますが、プラスチックパーツも一部改良されていて、プレオーダーで僕が初めて買ったロットに比べてかなり扱いやすくなっている印象を受けました。MMU2.0の2台目が到着して設置が完了したので、本格的な商用利用を進める準備をしております!
MMU2.0をこれから始める際の推奨フィラメントとしては、このPolyterraシリーズをおすすめします。今年のはじめにPolymakerからリリースされた新しいPLAフィラメントになります。
理由としてはいくつかあります。フィラメントに靭性があってロード/アンロード時に折れにくい、ラミングのチップ形成でエラーが起きにくい、抜群のコストパーフォマンスで色数が多い(14色)、マットな質感も相まって0.2mmレイヤーでプリントするとオブジェクトの見栄えが良い、など。とりあえず3色くらい買っておいて、テストに使うと良いです。
著者の環境について
Prusaとの出会いと情報の環境
2018年前半、Reprapジャパンコミュニティの新年会で、ジョセフ・プルサ、そしてそのプルサチームメンバーと飲みました(笑)。
このときはビッグサイトで3Dプリンティング関連の展示会があったみたいでプルサチームの主要メンバーが来日中でした。
左下の白シャツが僕です。
この年の夏、彼らが再び来日し、MakerFaireTokyo2018でPrusaMK3SとMMU2.0の実機を見て「これは使いこなせたら絶対面白いな!」と確信して購入にいたった次第です。
ReprapJapanコミュニティの中には、僕と同様にPrusaMK3SとMMU2.0を購入、使用しているユーザーが1名います。
その方と情報をやり取りしたり、Prusaのジャパンローカライズを手伝っているユーザーさんとも情報をやり取りしてたり、けっこう恵まれた環境ではあります。
孤独じゃないって大事。
もしこのnote読んでもMMU2.0の仕組みがよくわからなかったら、
TwitterのリプやDMでメッセージください。もう一度言います、やりきるためには、孤独じゃないってすごい大事です。
あと、英語能力について。
MK3SとMMU2.0を組み合わせて運用するための情報は現状ほとんど英語ものばかりなので、しゃべれなくても良いんですがリーディング能力は必須です。
Prusa MK3S+について
2018年8月に購入、購入当時はMK3でした。MMU2.0のキットの中に、MK3Sへのアップグレードキットも入っていたので、MMU設置のついでにアップグレードを行うことになりました。
最新のファームウェア FIRMWARE 3.10.0 (MMU:1.0.6) にしています。ちなみに僕は、PrusaMK3Sを3台所持してます。説明書通りに組み立てておいてください。
※前述の通り、2018年代のMK3本体の場合は、ホットエンドをプルサ・スペシフィックに変更、もしくは後述のような改造が必要です。
Prusa MMU2.0について
僕の1台目は2018年11月にプレオーダー(予約)し、2019年3月末に到着したバージョンです。2台目は2021年8月のバージョンとなります。
1台目は届いて早々に組み立てたものの、マルチマテリアルユニットのテストGコードによるプリントがうまくいかず、解決の糸口も探れなかったため、半年ほどシングル射出で運用していました。
シングルモードで運用中も、いろいろと調べて、2019年8月ごろからPrusaのフォーラムや有志の記事で有用そうな情報を探してひとつひとつ検証し始め、ようやくテストGコードの「3色トカゲ」のノーエラープリントに成功しました。説明書通りに組み立てておいてください。
使用フィラメント
今回の改良を通じて、僕が使用していたフィラメントは下記の2色です。
結論、こういった安いフィラメントでも問題なく使用できます。っていうか、汎用PLA(中華製安PLA)で使えなかったら意味なくね、って思ってます。ただ、巻きグセの強いフィラメントはフィラメントをロードするときに摩擦が強くなるので、避けたほうが無難です。PTFEチューブ内で折れるので、ポキポキ折れやすい硬いフィラメントもNGです。
Colorfabb、Protopasta、Fillamentum、Plusamentなど、お気に入りのメーカーの素材はたくさん持っていますが、もったいなくてこの実験には使ってませんが、一流メーカー(?)のフィラメントは、MMU2.0に必要なロード・アンロードの動作、チップ形成がスムーズなので、本格的に運用するときには良いメーカーの良いフィラメントを使うことをおすすめします。
ただし、いろいろと試してみた感じ、チップ(後述)の形成にはメーカーごと癖が出るようなので、セッティングは微妙に変える必要があります。
MMU2.0が動く仕組みの解説動画
パソコン環境
パソコン自体は、Windows10を使っています(2020年11月からMacも使っていて、両方です)。
CADはFusion360、スライサーにSimplify3D(シンプリファイ3D)をメイン、サブとしてPrusaSlicerを使っていたところが、先日の2.3.0のアップデートで、完全にPrusaSlicerに乗り換えました。
2021年9月に2.4.0アップデートが告知され、MMUに対してかなり使いやすいものになりました。
このnoteで記述している改善作業においては、パソコンでMK3Sのファームウェア内容を書き換える作業は不要です。
Arduinoを使ってファームウェアのパラメーターを変えてみたりなどなど、してはみましたが、公式の最新版を使うのが良い、というのが結論です。
また、きれいにプリントするにはPrusaSlicerの使いこなしが肝です。
僕が実際に使いながら得たセッティングは、随時、このnoteに追記していきます。購入してくれた人には継続して公開していくので、活用してもらいたいと考えています。
工具・道具・材料
MMUを安定運用する改良を施すにあたって準備しておくと便利なツール類を記述しておきます。(2021年8月追記、このあたりの工具がマストではなくなったとしておきます。記録として残しておきます。)
・リューター(不要、あれば便利)
・ビット(1.9mm~2.1mmの開口ができるもの、リンクは一例)
・ピンセット(必要)
・ニッパー(必要)
・外形4mm、内径3mmのPTFEチューブ(1mあれば十分、必要)
・フィラメント Colorfabb XT-CF20(不要、あれば便利)
・カッターの刃(不要、あれば便利)
・硬化ノズル(E3D Herdend Steel Nozzle等、必要)
・直径10mm厚さ3mm程度の円形ネオジウムマグネット(不要)
0.トラブルからエラーを見つけて着実に対処する方法
この項目では、なぜ有料で公開するに至ったか?僕がどういう考え方で課題を見つけて解消していったのか?を話します。
■技術部分の記事を有料公開にしている理由
Prusa MK3s + MMU2.0に限りませんが、FDM方式の3Dプリンタを安定的に運用するにあたっては、どうしてもトライアンドエラーが必要になってきます。
3Dプリンタは家電と異なり、スイッチをオンすれば良いという単純な機械ではないのです。
最近は、家電に近いもの、試行錯誤をしなくてもきれいにプリントできる3Dプリンターが増えてきてはいます。
技術の進歩はほんとにはやい。
一方で、未知の機械、あまり情報の出回っていない機械の運用に関するトライアンドエラーの情報が非常に少なくなってきているように感じます。
トラブルが少なく便利に使えるものが増えたのは良いことですが、トラブった時に解決するための情報がないというのも考え物です。
僕自身はYOYOMAKERという活動のブログで、CADの使い方や3Dデータの公開などもしています。
このnoteで書いている内容は、もともとは、そちらでひとつひとつ連載記事を書いて、フリーの情報として提供しようと考えていました。
でも、MMUのトラブルや改良のポイントはたくさんあってというかありすぎて、ブログの連載では情報としてまとまりそうにないぞ、と。
MMUをいじくりながら「くそ〜!この情報は有料にしてやる~!」なんて思いながらいちいち改良ポイントのメモを取っていました。
と、グダグダ言ってはきましたが、このnoteに書いている試行錯誤の記述ややったことなどは、週末土日の数時間ずつを半年間費やして出来上がってます。
Prusaよ、マジでもっと精度高めてからロールアウトしてくれ…。
人柱代金だと思ってください!
とはいえ、10,000円出せば、おんなじ苦労しなくても済むんです。
2020/2/19現在、MMUで問題なくプリントできてますが、たまに発生するトラブルの対処法やPrusaSlicerの設定値など、情報がどんどん増えそうです。文章で説明するのも難しい内容があって、動画も追加するつもりでいます。本気でPrusaMK3Sでマルチマテリアルプリントに取り組みたい方は、このnoteで損させません。
2021/2/1現在、対処が面倒なトラブルは起きますが、実運用レベルになっています。MMU2.0をもう1台増やそうか検討、8月に2台目が到着し、問題なく使用開始、さらにTPUとPETGのMMUプリントもできるようになりました。
■僕はこうやって考えました
僕は危惧してます。最近の技術系のブログによくありがちな、SEOで上位表示されるものが製品レビューばかりで技術的な解決方法が見つからないような時代になっているということを。
マジで、PrusaとMMUを扱っている人の、日本語の情報が出てこないです。
最近どうかなーって思ってるのが、YouTubeで、日本語で3Dプリンターと検索すると、YouTuberがアピールしている「こんな価格でこんなにきれいなもの作れるの!?」みたいな動画が200万回再生を超えて支持を得ていること。
ただそれは、僕のように3Dプリンタをほぼ日常的に運用している人間にとっては、技術的に困ったときに観ても何も得るものがないという動画だったりします。
技術蓄積の公開は、今はYouTubeという選択肢もあって、素敵な時代です。今後、僕のYouTubeチャンネルでもMMUを解説する動画をあげていくので、そちらも参考にしていってください。
このnoteは、Prusa MK3s + MMU2.0に関するトライアンドエラーを蓄積し、後に続く人に託せるようなものにしていきます。文章と写真と動画、ひとつにまとめるには、noteはすごく良いですね。
Prusa MK3s 自体は非常に優秀な3Dプリンタです。
今まで使っていたマシンがなんだったのかと思うほどパフォーマンスが良いです。
1度組み立てたらほとんどメンテナンスがいらないし、安定してプリントをしてくれます。ただやはり、プリントが連続して失敗するときや、どうしてもうまくプリントできないときはあって、そんなときはどこに原因があるのか?を経験値から自分で探していくということを習慣にしていく必要があります。
MMUにおいても同様の考え方で取り組んでおります。
いわゆるFDM方式の3Dプリンタのトラブルについては、おそらく様々な解決方法があります。
僕の場合はこうだった、ということですので、参考にしてもらいつつ、使えそうな改善案を使ってください。
何事にも因果関係があります。
3Dプリンタのトラブルもそうで、ひとつひとつ紐解いていけば必ず原因にたどり着きます。原因にたどり着けば、改善案も浮かびます。
3Dプリンタサークルみたいなのがあればみんなでワイワイやりながら「ああ、あの機械ね、ここが詰まりやすいんだよね、この部品外してこうすれば解決するよ」という会話で情報をシェアし、すぐに解消もできようものですが、そんなサークルは存在しえないのですよ。
※2020年6月にDiscordでワイワイするオンラインサークルを立ち上げました、興味ある方はこちら。
今はもう、マシンの種類が多すぎます。
2017年頃から、Amazonで中国製の低価格3Dプリンターが跳梁跋扈したためです。
どこのメーカーの何なのか、そして何のパーツを使っているのか、何のボードを使っていて、ファームウェアは何なのかが、違いすぎます。
僕自身、中華製の3Dプリンターを4台持っていたことがあって(すでに全部処分しました)、「基礎設計は同じでも、ディテールがまったく違う」んですよね。
だから発生するトラブルも、根治療法がしにくくなっていると感じます。
ちなみにここでいうトラブルというのは「3Dプリントがうまくいかないこと全般」を指します。
ノズル詰まり、フィラメントのロードができない、ファーストレイヤーの剥がれ等々も含めてトラブルです。
Prusa MK3Sはそもそもそうしたトラブルが少ない3Dプリンタではありますが、MMUを組み合わせたとたんにかなりの厄介者になります(笑)。
起きたトラブルに対して、ここが原因だったのでは?と推測し、エラーに対処する手を施して再度テストランさせる、ということに繰り返し取り組むことで、MMUにまつわる問題も必ず解決できます。
この教科書はそうやった結果出来上がってます。より安定したマルチマテリアルの3Dプリントを楽しみましょう!
複数カラーの3Dプリント、マジで楽しいです。
2020/1/2追記
フォーラムに、僕が遭遇したエラーとほとんど同じかそれ以上のエラーの記述とそれに対する回答を発見しました。これを自力で解決すれば10,000円払わなくて済みますよ!
購入&組立代行サービス(β)のご提案(2021年8月追記)
2022年1月8日追記、ニーズなしと判断しまして、このサービスは行わないことにしました。せっかくなので、文章は消さずに残しています。合わせて、このnoteの購入者以外から、YouTubeやTwitter等で頂く質問にも解答しない方針にしました。みんな自分でどうにかしてね〜!
買ったMMU2.0、結局組み立てないまま放置してませんか?
8月に入って、とある縁から「MMU2.0を個人的に海外通販で買った」という方の組み立て代行をお仕事として受けております。MK3Sは日本のAmazonで完成品を購入し、以前から運用されていたそうです。
MMU2.0ユニットを購入したものの、組み立ててる時間がないのと組み立てに際して仕組みもさっぱりわからないということで、僕に白羽の矢が立ったという経緯です。
まさかこんな感じで2台目を組み立てることになろうとは…!
もともとこのnoteを読みに来るくらいの方は、立派な(?)3Dプリンターフリーク/ギークとして、自分で組み立てたり調整したりするのを厭わない方ばかりかなと思っていたのですが、そうでもないということがわかりました。
そこでこのnoteを読んでくださっているアナタにご提案で、MMU2.0の購入代行&組立サービス、利用してみませんか?
完成品のPrusaMK3Sを送ってもらうのは非常に大変(輸送手段もそうですが、我が家にも置いておける場所がないです)なので、MMU2.0のみ購入と組立の代行を僕がして、納品後、ZOOMを使ってレクチャーをする、という流れです。これなら遠方に住んでる方にも対応できそうかなぁと(僕は神奈川県に住んでます)。
下記のnoteをお読み頂いて、貼ってあるリンクから専用フォームに入力、送信してください。2営業日中に、返信のメールでお見積りとお申し込み後のステップを案内します。
※僕はPrusaResearch社さんの日本代理店ではないことにご留意ください。3Dプリントを中心に事業を営む個人事業主です。正規ルートで購入したい場合、正規サポートを受けたい場合は、Amazonに出店しているPrusaReserachのオフィシャルへお問い合わせください。とはいえ現状、海外通販で直接買うしかないと思いますが…。
メイントピックへの追記履歴
2020年
1/2 無料部分に、トラブルシューティングの方向性として海外記事を発掘、リンクを追加しました。
1/16 無料部分にPrusaMK3/MK3Sの出荷日とMMUのアップデートに関する項目を追記しました。
2/21 無料部分にMMUが動作する仕組みの動画、有料部分に筆者の最新セッティングを追加しました。
3/1 有料部分で筆者のセッティングをダウンロードできるようにしました。
8/4 運用していて発生したエラー2種の対処について追記しました。
2021年
2/1 YouTubeの解説動画リンクを貼りました。
2/5 混色しやすいフィラメントのパージについて追記しました。
5/7 MMUユニットへのリアアダプター追加について追記しました。
8/8 本文に追記はありませんが、企業さんからの受託で組立・取付を行ったところ、ボードがver.0.4にアップデートしたようです。フィラメントセレクターの作動音が静かになっていました。組み上げて最初のフィラメントロードで戸惑う可能性があるので、そこの解説動画を作成、掲載する予定です。
8/10 Pursa MMU2.0の購入&組立代行について、フリー部分に追記しました。
8/29 MMU2.0の2台目に備えて、設置に関する情報を追記しました。
9/2 MMU2.0の2台目の運用を開始しました。フィラメントバッファーとフィラメントの設置方法について、新たに「YOYOMAKER流MMUズボラ設置術」を提案しています。
9/5 PrusaSlicer2.4.0α版の新機能「マルチマテリアルペイント」について追記しました。
9/25 MMU2.0でPETGとTPUの複合プリントの研究を開始、おすすめのスライサーとセッティングを追記しました。
2022年
5/10 MMU2.0で起きるトラブルの解説とそのシューティングガイドについて、あらたに「10」として有料部分に大項目を作り、追記しました。
引き続きPlusaSlicerのセッティングや、僕自身のプリント記録を随時追記しています。記事の有料部分を購入いただくと、noteの仕組みにより、僕の最新のセッティングがお知らせされます。
※2020年8月1日現在、新型コロナウィルスの影響でパーツが揃わないらしく、Prusaの公式ショップからはMMU2.0の受注と出荷が停止されていますので、注意してください。→2021年1月、再開されました!
以下からが有料の内容となります。僕の使いこなしが順調に進んで情報量がどんどん増えています。今後は動画をどんどん付け加えていく予定です。文字が30,000文字を超えたので10,000円に値上げをしました。もとは4,980円から始まったこのnoteですが、それなりに購入してくださる方がおりまして、MMU2.0のアクティブユーザー増加に一役買っていると自負しております。
ここから先は
¥ 10,000
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?