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♨漫遊記(番外編) マレーシアのSPAリゾート

 もう、30数年前の話になります。マレーシアイポー(Ipoh)という場所で、空洞探査を実施しました。マレーシアは錫製品のお土産が有名ですが、イポーは鉱山の町で、錫の露天掘り鉱山があります。そのこともあって、イポーにはマレーシア鉱山局の事務所がありました。私たちは、その鉱山局の招きでマレーシアを訪れました。元々は、指導教員の先生だけが招待されていたのですが、探査作業の手伝いが必要なので、私も連れて行ってもらえることになりました。

 このイポー周辺は石灰岩地帯で、辺りには石灰岩が露出している場所がありますし、鍾乳洞などもありました。今回の探査の目的は、地下にできた自然空洞の探査です。少し前に、博多駅前で人工空洞の陥没事故が起きましたが、ここでの目的は石灰岩中にできた自然の空洞の探査です。実はマレーシアでは、自然にできた空洞に巻き込まれて、バスやトラックが落ち込んだり、家が地盤沈下する事例が起こっていました。今回の探査は、そのような事故を未然に防ぎたいマレーシア鉱山局の依頼で始まりました。

 今回の調査は本格的な調査ではなく、トレーニングを兼ねていましたので、実施に地盤沈下が起きている場所で探査を実施しました。探査が終わった後に、「マレーシアにも温泉があるぞ」という鉱山局の人の話があり、近くなので見学することになりました。そこは、石灰岩の風化した岩肌が露出した山間の場所でした。その時は、放置されていたようで、プール(池?)のようなものがありましたが、寂れて使われていませんでした。鉱山局の人の話では、「マレーシアは暑いから、温泉に利用価値はあまりない」と言っていました。温泉好きの日本人にはもったいない話です。

 この場所を少し散策すると、漢字で書かれた落書きを発見しました。かなり古そうだったので、太平洋戦争中の旧日本軍の軍人が残したものかもしれません。”おんせん漫遊記”を書いていて、この場所を思い出したので、試しに”Ipoh”+"hot spring"で検索してみました。すると、何とこの場所にはSPAリゾートが出来ていました。現在はCovid-19で休業中らしいですが、立派なウェブサイトもあり、人気スポットのようでした。もちろん、30年前にはSPAリゾートができる計画すらありませんでした。光陰矢の如しです。

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