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学術書を書き終えて

 ”人生を変えた一冊”というと、たぶん多くの人が、これまで”読んだ本”の中で、どの本が一番感銘を受けたのかに思いを巡らすでしょう。しかし、私は”書いた本”の視点から、人生を変えた一冊を語ろうと思います。おそらく、多くの人にとっては”本を書く”経験はあまりないだろうと想像します。

 拙著『はじめの一歩 物理探査学入門』は、私の専門分野である物理探査学の入門編として、2年前に出版しました。この本の”あとがき”にも書いていますが、本を執筆する前の準備期間が2年ほどありました。実際には、もっと前から書きたいと思っていたのですが、中々取りかかれませんでした。まずは、資料集めから始めました。私の専門分野は物理探査ですが、物理探査全般について一通りの経験はあるものの、全ての物理探査に精通しているわけではありません。例えば、電気探査は電磁探査は得意ですが、その他の方法はあまり得意とは言えません。

 資料が揃い始めて、やっと執筆が始まりましたが、筆がなかなか進みません。各種物理探査法を分かり易く説明するための図が数多く必要ですが、既存のものは図面の画素が荒かったり汚かったりしたので、多くの図面を作り直しました。これだけでも、かなりの手間でした。おかげで、図面作成のスキルが爆上がりしました^^。

 何とか執筆が軌道に乗り始めましたが、出版するためには、本を編集して出してくれる出版社を探さないといけません。最初の出版社では、話をした担当者さんの感触は良かったものの、最終的には売れないと判断されて断られました。結局、次にコンタクトした九州大学出版会さんから出版ができることになりました。しかし、出版のためにはかなりの出費(編集費用)が、別途かかりました。

 あまり売れない学術書なので、初版1000部で上梓することが決まりました。ほとんど自費出版に近い契約内容で、最初の1000部に対する編集費用等は110万円(消費税込み?)で、泣く泣くポケットマネーから支払いました。お陰様で、最初の1000部は最初の一年で売り切れて、初版第二刷が出ることになりました。現在流通しているのは、1年間後までに気付いた大きな誤りを修正した、この初版二刷です。大きな書店にしか置いていないようですが、もし見かけたら、手に取って眺めてみて下さい。コラムだけでも読む価値がありますよ。

 拙著『はじめの一歩 物理探査学入門』は、魂を削って書き上げた渾身の力作!?です。この本は、間違いなく私の”人生を変えた一冊”です。蛇足ですが、amazonさんの本のリンクを張りました。m(_ _)m

#人生を変えた一冊

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