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未来が透けて見えるメガネあげます

これさえできたら、他のことは
どうにでもなる。

それが一撃必殺の「コンセプト」

というのを前回書きました。


こんな質問をもらいました。

「コンセプトが大切なことは分かりました、
で、結局どこから始めればいいんですか?」


前回、このように書きました。

現状を把握するところから始めよう

まずはいま、世の中や市場で起こっていることを
把握するところから始めます。

現状がわかれば、未来で何が起こるのかが
見えるようになります。

今日は未来が透けて見えるメガネをあげちゃう。
というお話。

コンセプトとは、ビジネスの根幹です。

ビジネスコンセプトとは大きく分けて
二つしかありません。

これはフロイトが唱えた快楽原則と一緒で、

人間の心理的欲求であるこの二つだけです。

「快楽を求める」か

「苦痛を避ける」か

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「え〜、オレはそんなことないよ〜!」

とあなたはいうかもしれませんが、

あなたが今日食べたものも、会社に行くのも、
デートするのも。

全部この二つのどちらかの理由によって
行動しているはず
です。

快楽を満たすため美食を求めたり、
空腹という苦痛を避けるため食事したり。

快楽を味わうために自分の夢を追い求めたり、
来月食べることができなくなるかも知れないという
苦痛から出社していたり。

男女の甘いひとときの快楽のためにデートしたり、
現実の苦痛から逃避するために出会いを求めたり。

じつは、人間の行動は全てこのどちらかに
なっているのです。

ということを理解すると、あなたのビジネス
コンセプトもこのどちらかである必要があります。

「快楽」か「苦痛」か

では、どちらのビジネスがおすすめかと言えば、
ダンゼン「苦痛を避ける」です。

なぜかというと、「快楽を求める」よりも
「苦痛を避ける」パワーの方が強いからです。

想像してみてください。

今のあなたはずいぶんとオシャレさんに
なりました。

初めて洋服を買いにおしゃれな
ショップへ行ったときのことを憶えてますか?

おしゃれになったらモテるとか、
イケてる人に思われるとか。

そんなことよりも、まずは

ダサいと思われたくない・・。

カッコ悪く見られたくない・・。

そんな「痛い」思いから逃れるために
服を買いはじめたのではないでしょうか。

例えば、歯医者さん。

あなたが最後に歯医者さんへ行ったのは、

ホワイトニングなどの美容のためですか?

それとも歯が痛かったから?

多くの人はキレイになるという快楽よりも、
歯が痛いという苦痛から逃れるため
歯医者さんへ行っているかと思います。

「苦痛を避ける」ためのパワーは
とても強いので、歯科業界では
予防は売れないともいわれています。

やるなら「痛み」を持った緊急性の
高い
患者さんがやってくる治療歯科。

キーワードは「不」

てことで、コンセプトを作るときの最大の
キーワードはコレ。

『世の中の「不」を解決する』

あなたも聞いたことが
あるかもしれません。

不満、不安、不信、不足、不便、不備、
不都合、不条理・・・

などが世の中の「不」なわけですが、

ビジネスとは、結局これをどう
あなたが解決するか

そこにあなたのビジネスの価値が生まれ、
コンセプトが「不」を解決するものであれば良いわけです。

「じゃあ「不」ってなんですか?」

ってなりますが、それぞれの時代によって
「不」の形はさまざま
です。

ただ、ここがポイントです。

新しいカルチャーやトレンドは
「不」があるから生まれます

ファッションビジネスは、この反対のカルチャーが
出現したその瞬間にこそ、大きなチャンスが
やってきます

「螺旋的発展」の法則

「振り子」を想像してみてください。

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物事はかならず、ある一定のところまで
いったあとに、また必ず戻ってきます。

ある一定のラインまで「不」がたまり、
臨界点を超えると、一気に新たなトレンドが
動き始めます。

しかし戻ってくるときは、ただ元の
場所に戻ってくるのではありません。

かならず何かが進歩・発展した状態で
戻ってきます

これを「螺旋的発展」と呼びます。

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詳しくは「ヘーゲルの弁証法」を解説した
田坂広志さんの「使える弁証法」の中で書いてあります。

万物には寄り戻しがあり、戻ってきたら
必ずステージがひとつ進歩している。

これはたまたまではなく、原理原則、
地球上の法則
なんです。


カウンターカルチャーがファッションの歴史

「カウンターカルチャー」という
言葉を聞いたことがありますか?

直訳すると「対抗文化」。

元々は1960年代のアメリカが起源です。

白人中心のブルジョワな「ハイカルチャー」に対して、
若者たちが起こした「サブカルチャー」について呼んだもの。

これが語源だったと言われてるわけですが、文化とはメインストリーム
(本流)に対してオルタナティブな「新流」が必ず生まれます。

はじめは小さなオルタナティブが、メインストリーム
になり、また新しいオルタナティブが生まれてくる。

ファッションではカウンターカルチャーと呼ぶよりも
トレンドといったほうが馴染みあるかも知れません。

あるトレンドがドカンとやってきて、
いずれ廃れていく。

また、新しいトレンドがやってきて、
また廃れていく。

この流れ。

当時のアメリカを詳しく見ていきましょう。

60年代のアメリカでは、ベトナム戦争に
対する若者の「不満」が最高潮に達しました。

そこで生まれてきたのが、
ヒッピーカルチャーでした。

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※参照元 https://heapsmag.com/taylorcamp-style

それまでの政府や軍の権威が持つ圧力に対して、
放棄することで反権威主義運動を起こしました。

都市部での生活を離れ、自給自足をし、
反権威をファッションで示していきました。

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※参照元 https://is.gd/8bydCh

70年代になり、働くことも服を着ることも
放棄することで反戦を訴えつづけた彼らでしたが、

結局、彼らの行動は、エリートたちがはじめた
戦争を終えることに結びつけることはできませんでした。

次第に多くのヒッピーは肩まで伸ばした髪を切って、
街へと帰っていくことになりました。

70年代後半には、活動は大きく縮小
していきました。

カウンターカルチャーは世界を変える

しかし、舞台はイギリスに変わります。

アメリカで生まれたヒッピー文化のカウンター
カルチャーは、イギリスに伝わりました。

低収入層、労働階級層のファションアイコンだった
ジーンズも一緒に海を渡りました。

ヒッピーのことなかれ主義では国家や権威を
動かすことができない。

さらには当時の商業化されたロックに対して、
気骨のある若者たちの「不満」が臨界点
に達したとき。

彼らの穿いていたジーンズはボロボロに切り裂かれ、
鋲を打たれたダブルのライダースが組み合わせになりました。

ここで生まれたのがパンクカルチャーでした。

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※参照元 https://cvltnation.com/what-london-punks-had-to-say-5-years-after-1977/

国家や権威への不満の爆発とともに、
アンダーグラウンドが表面化した時代。

日が出ている時間でも警察や機動隊とも
衝突していました。

ボンテージパンツや安全ピンはアイコンになり、
若者たちの制服となっていきました。

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※参照元 https://cvltnation.com/what-london-punks-had-to-say-5-years-after-1977/

パンクファッションは世界中で大きなトレンドに
なり、商業化に大成功しました。

皮肉なことに、セックス・ピストルズという
パンクの象徴の登場とともに、魂は消滅して
いったのかも知れませんね。

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音楽やカルチャーに限らず、万物はすべて
「寄り戻し」がある
ということです。

戻ってくるときは、ただ元の場所に戻って
くるのではなく、何かが進歩・発展した状態で
戻ってきます。

これが「螺旋的発展」です。

新しいものが生み出されるときに、必ず
古くからの大きな「不満」があります。

その「不満」を解決するために、
新しい流れが起こるのです。

ファッションの場合、あるスタイルが
メインストリームになるにつれ、

「みんなと一緒はいや!」

という「不満」が膨らんできます。

「不満」が最大限に達したときに、
新しいムーブメントが解決方法と
して生まれてきます。

ただ、漠然と新しいものではなくて、
その前のスタイルをどこか継承しています。

デニムという労働者階級のアイコンは、
時代も背景も変わったけれど、進歩して
戻ってきました。

そこに大きなビジネスチャンスが
潜んでいます。

「手紙」→「FAX」→「Eメール」

もうひとつ、簡単に事例をあげますね。

「情報を伝える手段」を使います。

離れた場所にいる誰かに、情報を伝えるには
最初は「手紙」から始まりました。

「手紙」を飛脚が持って運んだり、
伝書鳩に付けて飛ばしたりしました。

紙に書いた「手紙」だけに、紙の量に
よって伝えられる限界がありました。

また、飛脚と伝書鳩が運ぶので、場所が
遠くになればなるほど、時間がかかります。

時間と情報量に大きな「不便」があります。

その後、通信網の発展により「電話」が
誕生しました。

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※参照元 国立国会図書館デジタルコレクション『日立電話』より

私の母親の若い頃は村に「電話」が一台、
村長の家にしかなかったそうです。

いつの時代だよっ、て感じですが
田舎の村ではしばらくそんな状態でした。

そのため、誰かから電話がかかってきたら
村長さんが呼びに来たそうです。

その間、かけた方はどこかのカスタマー
サポートばりに待ち続ける。

めちゃくちゃ「不便」だったと思います。

時代が進むに連れ各家庭に一台ずつ
導入されていきます。

「手紙」より「電話」は圧倒的に情報量が
増え、時間も大幅に短縮
しました。

この時点で、情報伝達のメインストリーム
は「手紙」から「電話」になりました。

そして、ビジネスシーンで書面を送るという
行為は「手紙」から「FAX」に取って代わられました。

「FAX」の登場により、海外とのやりとりが
格段に便利になり、時間とコストの大きな「不便」は
解消
されました。

さらに「FAX」は「電子メール」の登場により
革命が起こりました。

時間はほぼ数秒になり、情報量もほぼ制限なし、
コストもほぼタダ。

「電子メール」は「チャット」になり、SNS
のメッセージが今は主流になりました。

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書面を送るという行為は変わらないものの、
この100年でほぼすべての制限は無くなりました。

いつの時代もそうですが、「便利なもの」
が次の時代に残ります。

「電話」は「携帯電話」に進歩し、もうひとつ
進化して「SNS」での通話になりました。

これにより、通話もほぼ無料になりました。

さらに「WECHAT」を使っている人なら
わかると思いますが、

中国人のビジネスには「ボイスメッセージ」
が頻繁に使われています。

チャットよりも早く、情報量も多いので
スピード第一の中国のビジネスシーンで
とても重宝されています。

音声を伝えるという行為は変わらず、
でもこの100年で大きな進化を遂げました。

テクノロジーのおかげで、すべての
ことが「便利」へ向かいます。

あなたもそうかも知れませんが、
私はこれまでメールの冒頭で、

「お世話になっております。」

という書き出しを何千回書いた
ことでしょうか。

いつも気になっているけど、やめる
わけにはいかないと、今日も使ってる。

手紙でいえば「拝啓 〇〇さま」
FAXでは「TO 〇〇」

これはひとつの形式ということに
なるのですが、

LINEで「拝啓」と使う人を
見たことがない。

たまに「お世話になっております」
といわれることがあるが、なんだか違和感。

形式にこだわってるつもりはないけど、
でもおっさんのためか、形式が気になります。

しかし、Z世代の若い子たちは
そんなもの気にもしない。はず。

若者に「便利」は尊重されて
形式は無くなっていく
のだと思います。

もしかしたら、あなたもそうかも知れませんが、
経験を積むとゼロベース思考になりにくい

ゼロベース思考とは、今日が初めて
それを行う日だったらどうするか。

今日が初めての日だったら、
その行動を取るか。

一旦、前提をゼロにして考えてみたら
今と同じ行動をしているか。

という考え方のフレームです。

いつの時代も新しいトレンドは若者がつくり、
馴染みのあるおっさんたちは過去にしがみつく。

今の若いもんは常識がない。とかいうけど
きっと私たちが若い頃はもっとなかったと思います。

そこには良いも悪いもなく、
ただ「不」の解消だけがある。

重ねて書きますね。

新しいものが生み出されるときに、必ず
古くからの大きな「不」があります。

その「不」を解決するために、
新しい流れが起こるのです。

そこから大きなビジネスチャンスが
生まれます。

未来が透けて見えるメガネの使い所はここ。

これを理解した上で、
コンセプトメイクしてみる。

だからこそ、今の時代にD2Cブランドが
必要になってくる。

今回は長くなったので、なぜD2Cブランド
が今必要になっているのかについて書きます。

めちゃくちゃ重要なところなので
見逃さないでくださいね。


ホンマヒデ

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