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【不定期連載】 #在宅勤務制度 始まったので、6ヶ月ほど使ってみた結果

「#在宅勤務制度 始まったので使ってみた」シリーズ

このシリーズは、全社員対象の在宅勤務制度が利用可能になったある企業のサラリーマンが使ってみた結果を不定期に書いていくシリーズです。

はじめに

これまで「在宅勤務を3ヶ月やってみた」「在宅勤務を4ヶ月やってみた」と積み重ねて参りました。

ここまでの感想を一言でまとめると、「いわゆる大企業での在宅勤務は『ネットで見たような、自由で快適な在宅勤務』とはちょっと違うらしい」ということに気が付いたということになります。

今回は、既に始めてから6ヶ月経った経験を踏まえ「理想とはちょっと違うかもしれないけど、それでも在宅勤務はした方が良いよ」と思う理由を書いていきます。

なお、いつも書いておりますが、これは私の事例であり、他の方とは状況が違うことを念頭に置いたうえでご覧ください。

働きやすい時間と環境が手に入る

まず、何といっても、今まで利用できなかった『時間』が手に入ります。時間は何物にも代えがたい。

単に通勤時間が減るだけということも大きいのですが、むしろ業務効率に効くのは「業務に集中できる時間・環境の確保」の方だと思います。

在宅勤務の実施時と職場に出勤しての勤務を比較して、業務効率の向上を実感したのは

・余計な割込みがなく、作業に没頭できる
・周りに会話の声がないため、作業に没頭できる

といった点です。職場で、横の席から聞こえてくる言葉から生まれるセレンディピティというのも確かにあるのかもしれませんが、比較して「集中を削ぐ割込み」の方が圧倒的に多いと感じます。

さらに「音楽をかけながら働いた方が資料作成に集中できる」という人もいるかもしれませんが、会社でそれを行うことは、規範・風紀上の問題と絡められ、難しいかもしれません。

これらを解決するためにも、自分自身の働きやすい環境を自宅に作ることができるのは、生産性向上の観点から見ても、大きいと思えます。

コミュニケーションツールの効率的な使い方を覚える

いわゆる大企業からの連絡で、電話やメールが多いと思ったことがある方はいらっしゃいますか? SlackやZoomのような無料のコミュニケーションツール(※1)は多数存在しますが、いわゆる大企業の人ほどこういうツールに疎いことが多い気がしませんか?

これは「いわゆる大企業では、電話やメール『だけ』を使ってコミュニケーションを行っている」からではないでしょうか?

これを見て、だから大企業ってのは…と思う方もいるかもしれませんが、ちょっと待ってほしいのです。じゃあ、なぜ電話やメールで「事足りている」のか? これを考えてみたいと思います。

企業によっては、情報流出の不安などから、広く利用されているメール以外のコミュニケーションツールを利用させないため、社内ネットワークから遮断する・支給PCにアプリをインストールさせないなど、物理的にそれらの使用を禁止している(※2)ことがあります。

結局、何も現状に満足しているのではなく、単に「他の選択肢を知らず、そもそもそういうツールに触れる機会がない」ため、電話やメールでしかコミュニケーションが取れていないということもありえるのです。

一方、これらのツールがいまや広く利用されているのは、一言でいえば「リモートワークに便利」だからそうなっているわけで、実際にリモートワークを行うようになると、この利便性が自分事として実感できるようになります。

業務とは別に、普段のちょっとしたコミュニケーションツールとして使うようになる(※3)のは、大きなメリットであると考えます。

環境が手に入ると、「やらされ感」が減る

たまに、在宅勤務をすると「(時間がありすぎるので)働きすぎてしまう」などという批判がありますが、在宅勤務で手に入れられるのは単に「時間」や「環境」だけではありません。仕事をセルフコントロールする「裁量」です。

結局のところ、秘密情報の持ち出しや開発環境の問題なども考慮すると、必ずしもすべての人が100%の仕事が在宅で働けるわけではないと思います。
逆に、いま職場で行っているすべての仕事は100%在宅でできないか?と言われると、そんなこともないと思います。

すなわち、在宅勤務とは「これは家でやった方が捗る」「これは会社でやった方が捗る」ということを、本人の中で吟味し、それに従って割り振るという裁量を発揮する行為なのです。この、自分自身の業務に対する裁量こそが仕事に対する工夫を考えるもととなり、工夫により環境は改善され、生産性は向上し、仕事の時間は短縮され、余った時間は本人に直接返ってきます。
この正のループはやればやるほど向上します。

おわりに

仕事は100%やりたいことだけをできるわけではないので、当然何かしらの「やらされている感」は残るわけですが、「やらされている感」にも色々な種類があり、それを少しでも減らせれば、仕事への満足性、ひいては生産性は高まるのではないでしょうか。

その中には、
・「朝8時半」 という生産性の上がらない時間
・「オフィス」という生産性の上がらない場所
・「メール」 という生産性の上がらないコミュニケーションツール
・「通勤電車」という非人道的な移動手段
等々…、どちらかというと仕事そのものではなく、その周辺にある環境への不満を解消する手段として、在宅勤務は有効です。

在宅勤務を3ヶ月やってみた」に書いた通り、これまでは「他人への介護」のために提供されていたこの制度ですが、これからは「働き続ける本人の労働負荷をケアする」ための手段として、この制度を使ってみてはいかがでしょうか?

(一旦おわり)

2020.10.20追記:Afterコロナを経て状況が一変した在宅勤務について公開しました。

脚注

(※1)「無料で使える」ということは、暗黙に「その上に流れるデータは提供側に利用されている」と理解すべきですが、以下の様な理由により、それらデファクトツールではなく、独自ツールを採用しよう/させようとする向きも(若干ながら)存在します。

・情報流出の懸念などといった、主に「不安」を理由としたもの
・再学習コストを惜しむ、主に「面倒さ」を理由としたもの
・なまじお金があり、独自ツールを作れる体力があるという、主に「お金」を理由としたもの

(※2)私の実例で言うと、Googleハングアウトが禁止されているせいで、展示会でお会いした方とコミュニケーションが取れなかったという例があります…。

(※3)当然「会社の規定に反するような情報は流通させない」という前提であることは言うまでもありません。

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