採用の素人こそジョブディスクリプションを徹底する
アドベントカレンダー3日目は、前回に引き続き「採用」について振り返る。今回は圧倒的に具体的な採用の方法論をまとめる。前回の記事はこちら。
複業クラウドを利用する
はじめてのチームメンバーであるエンジニアさんは複業クラウドで採用した。複業クラウドは月額課金モデルの複業人材スカウティングサービスである。この記事を読んでいる読者は「月額課金モデルってNetflixみたいなやつでしょ?」と思ったことだろう。大正解!20ポイントっ!
複業クラウドを運営している企業も私たちと同じ(厳密には一歩どころか何百歩も先に進んでいる)スタートアップである。詳しく知りたい方は上記を参照されたし。
複業クラウドを知った理由
複業クラウドは無料オフィス支援プログラム「FLAP」のFacebookグループで(直接お会いしたこともないのに、教えてくれるというめっちゃ優しい)とある起業家が教えてくれた。不文律の信頼関係、紳士協定で情報共有をしてくださったと思うので、起業家の名前は非公開とする。
また、サービス費用は教えられた金額ではなく、私が投じた費用を後述したい。なぜなら、複業クラウドを提供するスタートアップも事業を急成長させるために価格設定を工夫している真っ最中だとおもうからだ。私の記事を通じて、価格交渉するようなユーザーが増えてほしくない。
このような起業家コミュニティは複数ある。無料オフィス支援プログラムを提供してくれたベンチャーキャピタルさんに対して、何一つ恩返しはできていない。だからここで勝手にPRする。現在、このプログラムは新しいメンバーを募集中だ。興味のある方は下記のリンクをクリックされたし。
複業クラウドのメリットとデメリット
採用活動において、月額課金型のサービスはメリットとデメリットがある。採用人材数に応じて採用費が高額にならないことが最大のメリットだ。つまり、採用したい人材像が明確であり、短期間で複数人の複業人材を採用したいスタートアップには忖度抜きでおすすめの選択肢といえる。
採用したい人材像が不明確であり、採用数を1~2名程度のように計画している起業家にとっては費用対効果が悪くなる可能性がある。月額課金モデルは採用できなくても月額費用×契約月数分の費用が発生する。
費用対効果よりも経験対効果をとる
弊社の採用計画は、プロダクト開発のために1名のエンジニアを採用することだ。単純に考えれば、弊社にとって月額課金モデル型の採用サービスは費用対効果が悪い。明らかに良い選択肢ではない。でも選択した。
今まで採用活動をおこなった経験がない起業家は、良い人材と出会う以前に、良い人材が起業家である私を良い起業家だと思ってもらえるように面談数をこなす必要がある。
マーケティングで、はじめてリスティング広告を打つときの心構えと同じように考えた。はじめのうちは、コンバージョンするまえに、クリック数の多い広告をつくることが重要だ。次に、どのくらいクリック数があればコンバージョンするのかを帰納的に振り返る。まずは量、接触数を増やす。
そのサービスに良い人材がプールされているかどうか以前に、たくさんの人材と面談させていただくことで、採用する側がどのような求人情報を掲載するべきか?面談時にどのようなことを質問すればよいか?どんなことを伝えれば、理想的な人材が私自身に興味を持ってくれるか?これを徹底的に学習する。
経験不足の起業家が費用対効果という質をとるのは時期尚早だ。じゃないほう起業家は経験対効果を考えたほうがよい。私はそう考えた。経験対効果において、月額課金モデルのスカウティングサービスは、起業家自身の行動量次第で、短期間に大量の採用活動の経験を積める。
ジョブディスクリプションを徹底する
会社のブランド力も弱い、起業家である自分自身のブランド力は言うまでもない。そんな、じゃない方起業家が取り組むべきことはジョブディスクリプション力だ。日本の企業は大企業もスタートアップも意外と人材要件が曖昧だ。圧倒的に具体的なジョブディスクリプションは、求職者が具体的に業務をイメージできる。これが採用活動において差別化の要素になることに気づいた。
なぜ、大企業や優秀なスタートアップも人材要件が曖昧なのか
資金が簡単にあつまるスタートアップや起業家は人気者だからだ。努力しなくても人気だから人材候補がどんどん集まってくる。面談希望者だけは多い。日本の人材採用担当者のほとんどは優しい。エージェントから紹介された候補人材の書類に目を通し、幾人かと面談する。直接連絡してくる面談希望者がいれば、そのやる気と好意に応えるだろう。そしてまた面談を繰り返す。その人材プールのなかに自社に必要な人材がきっといるはずだという期待が生まれる。モテる人はモテる人でむずかしい。
じゃない方起業家はバチェラーじゃない。だからチャンスだ。好きな人に好かれるために、好きなだけ努力できる時間がある。ジョブディスクリプションを徹底すれば、強豪に勝てる。出会いたい人材が出会いたいと思ってくれる。
エンジニアという職種はない
言うまでもないが、エージェントだけに頼らず、自社で採用媒体を持ったり、積極的にスカウティングしているガチスタートアップもある。そうしたスタートアップはジョブディスクリプションも堅い。
ジョブディスクリプションを徹底するために、優秀なエンジニアをたくさん採用できている成功事例に学ぼう。そうすると、エンジニアという職種がひとつではないことに気づく。非エンジニア出身のじゃない方起業家であったとしても、「●●●●エンジニアを採用したい」と言えるようにしたい。
ここで、じゃない方起業家を裏切る発言をする。わたしは、お金もないし、力もないし♫地位も名誉もないけど♫プログラミングスクールに通ってWebアプリケーションを開発した経験がある。ソフトウェアで事業をつくりたかったから、エンジニアとして半年間アルバイトしたことがある。エンジニアの職種名についてはある程度前提知識がある。ごめんねっ!
最初の1人を探しているならば”ピンポイント感”が重要
ここでわたしは信頼できる友人の力を借りる。スタートアップで奮闘しているエンジニアである友人のフィードバックがこちら。
決め手に欠けるジョブディスクリプションは面談勝率が低い
希望単価に幅があったり、必須の条件・望ましい経験やスキルが大体の人に当てはまる感じだと、「この案件が自分にぴったりだ!」とは思わない。決め手に欠ける求人には応募しない。他の求人と見比べられたら勝てない。
それでも応募してくる場合、応募者は自分が求めている条件と合っているか検証するために面接するタイプだから、お互いに条件が合致する確率が低い。
複業案件を探しているエンジニアってどんな人だろう?
でも確実に複業人材のプールには、ある程度実力があって知見もあると自覚している人材が登録しているはずだ。そんな人材が複業案件を探している理由を考える。友人曰く
俺はこういう気概のあるエンジニアと一緒にプロダクトをつくりたい。ジョブディスクリプションをアップデートしよう。
改善点1 採用単価幅をピンポイントにする
ひとつの求人で複数人のエンジニアを採用する場合、単価に幅があっても問題ない。今回はひとりのエンジニアをピンポイントで採用したい。そういうときは、¥4,000〜¥6,000/1hくらいまで単価幅を絞り込むと、そのレベル感だと自覚しているエンジニアが応募してくるだろうというフィードバックをいただいた。じゃない方起業家であれば人件費は抑えるべきだが、一人で開発を担ってもらうのだから、覚悟を決めて単価幅を狭めた。
改善点2 力を貸して欲しいことをもっと踏み込んだ内容にする
じゃない方起業家のはじめての採用だから、最初のエンジニアになれる機会を提供できる。0→1のアーキテクチャ設計に挑戦できる。これはモテモテバチェラーは提供できないし、すでにスケールしているプロダクトを持ったイケメンスタートアップも提供できない機会なのだ。
こうして、ジョブディスクリプションには、じゃない方起業家だから勝てる要素をふんだんに盛り込んだ。
俺の自画像を求人バナーに入れても応募は増えない
カスタマーサクセスの女性の方に、「バナーは実際に働いている人がわかる写真を使ったほうが、応募数が上がりますよ♡」と教えていただいた。写真を撮られるのは好きじゃないから、ふざけた話だ!というわけにはいかない。月額費用が発生しており、俺もスタートアップ起業家として変わらないといけない。素直にならないといけない。信頼できる友人に写真を撮ってもらった。
俺はひねくれているので、それが真実かどうかを検証した。明確なジョブディスクリプションを書いたバナーと創業者の画像が載っているバナーを同時に掲載した。
・・・結果は惨敗だった。俺の自画像のバナーをクリックしてくれるエンジニアの数は少なかった。俺はほんとうに落ち込んだから、カスタマーサクセスの女性に報告した。慰めてもらったけど、今もちょっと引きずっている。
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