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記憶の中のダマスカス - 破壊された故郷を建築模型で作る男の話

アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門のショートリストから映画「A Broken House」を見た。本作の監督のJimmy GoldblumはNetflixで配信している「Chef's Table」やAppleTV+で配信している「Home」というドキュメンタリーシリーズも監督している。

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建築を学ぶためにシリアから米国に渡ったモハマド・ハーフェズ(Mohamad Hafez)は、突如シリアに戻れなくなってしまった。同時多発テロの影響でシリアからの入国管理が厳しくなり、一度シリアに帰ると米国に戻れなくなる可能性が高くなったのだ。

彼はシリアに戻ることを考えたが、彼のキャリアのためにも米国に残るべきだという説得のもと、家族と離れることを決める。スタジオにひとり残されて感じる強烈なホームシック。建築模型の制作に長けていた彼は、故郷を失った喪失感をダマスカスの街並みそっくりの模型を作ることで埋めていたのだった。

そしてシリア内戦が勃発。シリアを離れることを躊躇していた両親が難民として米国に逃れたとき、モハマドの溜め込んだ苛立ちが模型の上で爆発する。建築デザインの仕事を通じて数百万ドルの建築プロジェクトのコンペに関わる一方で、シリアの建物は爆撃で破壊されていた。彼は平然を装ったが、ニュースを通じてアラブの世界が崩壊しているのを日々見る生活。彼は自分が作った模型を破壊し、灰をかけ、燃やした。


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そして彼は国外に逃れる難民に目を向ける。


“People were so sick of seeing blood and bodies as a way to build empathy. And I get that, I was sick too. How many dead bodies can we see? There was this fire inside me to start humanizing refugees and to tell their stories.”

共感を得るために血や死体を見ることに、人々はとても嫌気がさしていた。それはわかる、私もそうだった。何人の死体を見れば済むか? だから難民を人間として捉え、彼らの物語を伝えたいと思うようになったんだ。


彼はレバノンにある難民キャンプを訪れ、シリアに残してきた家について話を聞く。そして個人的な物語に触発され、戦争で破壊されたシリアの家の模型をスーツケースの中に作り出した。

その後シリアだけでなくアフガニスタン・コンゴ・イラク・スーダンから逃れた難民たちの話を聞き、彼らの物語と記憶は「UNPACKED: Refugee Baggage」という作品シリーズとなる。

共感を得るために暴力に頼ることなく、戦争と移民についての物語を、彼は作品を通じて今も伝えている。






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