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英丸
2020年1月31日 19:29
母方の祖父が生前、自転車店を営んでいた。庭先にある個人経営の小さな店だ。遊びに行くといつも、埃と油の匂いに満ちた店舗兼工房で、祖父は工具を握りしめてパーツに命を吹き込んでいた。そこは、まさしく魔法の工房だった。ラチェットが刻むチリチリという小気味好い音。ペダルの動きに合わせて勢いよく空気を切り裂くスポーク。ダイナモを倒すと小さく輝き始める前照灯。工房内の全てのオブジェクトに魂が宿っているみたい