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地方で起業して失敗する人の典型例

地方で会計士・税理士業をしているため、「地域で事業を始めたい!」という方と話をする機会は多い。しかし事業の始め方を誤ってしまい、起業して1~2年で事業をたたんでしまった例も少なからず目にする。

そこで、意欲で満ちた方がファーストステップで頓挫しないよう、地方で起業・開業しようと思っている方に向けて、『地方で起業して失敗する人の典型例』を紹介しようと思う。

典型的な失敗する人

ひまわり

地方で起業・開業して失敗するのは、最初から銀行から借り入れをして土地取得や建物建設等に設備投資をする人だ。売上がまだ読めない状態で、大きな借入をして今後の支出を確定してしまうので、売上が当初の計画通りにいかなかった場合、崩れるのも早い。

実際に起きた失敗

一例を話そう。

以前、飲食店を始めた方がいた。しっかりしたところで修業をされていた方で、腕には自信をもたれているようだった。しかし、自分のレストランを始めるにあたり、テナントや家屋を借りて始めるのではなく、最初から土地を取得して、建物を建設してしまった。結局、事業を開始すると、銀行と一緒に作った事業計画に売上は到底及ばず、資金繰りは困難を極め、開業して1年で閉店してしまった。

今度は異なる例をもう一つ。固定支出は何も借入金の返済だけではない。

長年の修行を経て開業をされた方がいた。事務所はそこまで家賃は高くないテナントを借り、内装に対してもお金をかけなかったので、無借金で事業を開始した。売上も好調な滑り出しだった。しかし事業開始直後、多くの仕事を見込んで多くの人を雇った。人の採用も投資である。多く人を抱えた時点で、固定支出が確定する。一旦売上が落ち着いた時に、未払給与と未払の社会保険料が膨らみ事業は破綻した。

ペイパル・マフィアの一人のピーター・ティールは、起業は小さく始めてから徐々に規模を拡大することをすすめている。マネジメントの父であるドラッカーも、小規模テスト、つまり、新しいことは小さく始めることから奨励していた。

結論:私なりのまとめ

グルッピー

起業家が設備投資や人の採用をすることは、社会的な好影響を考えても歓迎すべきことだと考えている。しかし、それは事業を開始して一定期間が経過し、ある程度売上が予測できる段階になってから実行した方が良い。

その原則を守れば、意欲ある起業家がファーストステップでつまずくことは防げるはずである。

2021年3月27日

肥田木 優|公認会計士・税理士



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