見出し画像

献血のススメ。

こんなタイトルを付けておきながらやらかしてしまった今日の出来事である。

タイトルの意味はそのままである。

新型コロナウイルスが流行っているからこそ、献血する人が少なく、困っているとニュースで見た。自粛自粛と言うが献血は不要な外出にはあたらないらしいので、献血出来る方は行かれる事をオススメする。

さて、今朝私は少し遅めに糖質を控えた朝食を摂っていた。

ふと、大阪ではそこそこ有名な「りくろーおじさんのチーズケーキ」が珍しく食べたいなと思った。しかし、一人暮らしの身。カット売りしていない「りくろーおじさんのチーズケーキ」1ホールは上質な糖分と共に中々のハイカロリーである。ぁあ、悩ましい。朝糖質を控えた意味がなくなるが、こんなにも「りくろーおじさんのチーズケーキ」を欲するのも珍しい。葛藤する中頭に1つの案が浮かんだ。

昨日病院受診の為に隣駅で降りた際に献血車が来ていた。調べてみると今日も来ているようであった。ありがたいことに「りくろーおじさん」の店があるのも隣駅である。

献血をすると中々のカロリーを消費するようだ。水分量として献血した量だけ体重からマイナスになるが、水分を補給してしまえば体重そのものは元に戻る。しかし、新たに血液を体が作り出す為にカロリーを消費する。と言う仕組みらしい。ネット情報なので、信憑性はイマイチだが、何もしないでチーズケーキを食べるよりは良いに決まっている。

献血が終わってから昼食を兼ねて「りくろーおじさんのチーズケーキ」を買おう。そう決めてお茶を大きめのマグカップいっぱいグッと飲み干してトイレを済ませ家を出た。

献血車に到着した。400mlのみの献血受付していた。

人は多くもなく、少なくもない印象。献血車沿いに建てられた簡易テントの下で受付を済ませる。その後ジュースを一本いただき、隣の車両で医師の問診と血圧測定。看護師にて献血出来る血液かどうか検査を受け、テント横の献血車両内へ行き、献血台に腕を伸ばした。献血の針が腕に刺さり、献血が始まる。看護師が「今100mlほどいきましたからね、もう少しお待ち下さいね」と説明して隣の人の献血準備を始めた。隣の人の献血量がわかる位置に私は座っていた。先程針を刺してくれた看護師と入れ替わる形で別な看護師がやってきて言った。「少し(血の流れが)ゆっくりなので、手をグーパーと動かしていただけますか?」と。8回目の献血だったようだが、初めて言われた。私の血はドロドロしているのか?とドキドキしながら真剣に手のひらをグーパーしていた。「残り100ml切りました、もう少し頑張ってくださいね」と看護師が教えてくれた。ふと隣を見ると後から始めた隣の人の残量もそう大した変わらない量を指していた。隣の人とほぼ同時間帯に献血が終了した。献血車両から降りて受付テントの並べてあった椅子に10分程座って休憩を取り、どうもなければ終了です、もし具合が悪くなれば仰るなり手を挙げて下さい。と説明を受ける。携帯の画面で時間を確認すると14時47分。「終わるのは15時かぁ。りくろーおじさんのチーズケーキはおやつになったな。」等と思いながら5分経過したかしてないかの時である。

「あれ、見ている携帯の画面がボヤける…この感覚は覚えがある…。」

忘れもしない、十数年前に話は遡る。

地元の献血センターにて献血に行った。確か2回目か3回目の献血だったと思う。朝ごはんを食べて献血センターのある街へ自転車で25分程走らせて向かった。そのまま何をして過ごしたか覚えてはいないが、夕方に献血へ行ったのだ。献血では問診時に最後にごはんを食べた時間を問われる。この時私は2時間だか3時間前に食べたと答えて献血に臨んでいた。朝ごはんを食べたきり、食べていなかったにも関わらず、嘘をこいたのである。そのまま献血を終えてジュースを飲む為に自販機へ向かいボタンを押しジュースを取ろうと取出し口に手を伸ばした時だった。視界がボヤけ、取出し口との距離感が掴めない。あれ?と思ったら「大丈夫ですか!?」と受付からお姉さんが血相を変えて飛んできた。私は待合の長椅子にそのまま横にさせられた。一度は引退したであろうおじいちゃん先生が杖をつきながら急いでやってきた。「私は杖をついたじいちゃん先生を走らせている事態なのか」どうも血圧が下がったようであった。横になるだけで不思議と体は元に戻る。待合にあったお菓子を食べなさい、ジュース飲みなさいと言われ摂取して元気になった私は自転車で帰ると言ったら先生に必死に止められた。しかし、若かった私は言うことを聞かず自転車を置いて帰ると不都合が生じるから乗って帰ると言った。先生はしばらく考え私に「もう献血センターも終わりだし、方向が一緒だからタクシーで一緒に帰りましょう」と言ってタクシーに自転車を積み込み私を送ってくれたのである。


話を今日へ戻す。

嘘はついて献血はしてはならないと悔やみ、十数年前の一件以来ちゃんとごはんも朝食べ、お茶まで飲んで昼過ぎに来たのに…これは手を挙げるべきか?座ったままなら耐えられるか?と朦朧とする頭で自問自答していたら受付にいた係りの人が異変を察したのか「具合悪い?」と聞いてきてくれた。「少し」と答えると同じタイミングで別な係の人がテキパキと折り畳んで隅に置いてあった担架を作り出した。余程顔に出ていたのだろうか?すぐ、横にさせられた。

「あぁ。またやってしまった…」

血が頭に戻る感覚と共にハッキリし出す思考。

またしても看護師や先生がやってきて、私はしばらくテント下の担架に寝かされた。献血センターではなく、献血車両の為控室がないのだ。受付する人や献血を済ませて休憩の為に椅子へ座る人の視線がイタイ。横になればすぐ気分が良くなるのですぐに起きてこの場を後にしたいのだが、そうもいかない。看護師には「先生からOKが出ないとダメなのよ」と言われ、係の人も動きやしないかとちょこちょこ見ている。看護師が何度か時間を置いて血圧を測りにきた。今回血圧も低かったようだが、徐脈だった事が心配らしい。脈は横になりしばらくして回復したと言われた。しかし「血圧がねぇ…上が100いけば先生も良いって言うんだけど90なのよ。また、10分後に来ますね」と言われた。そしてジュースを飲め飲めと促された。ここに来て既に3本のジュース…これでは朝控えた糖質はプラマイゼロである。その後10分置きに測るも96、93…100の壁を越えられないまま16時になってしまった。1時間私はテント下で担架に横になり、好奇な視線をちょこちょこと集めている。穴があったら入りたい。この場を去りたい気持ちで看護師が来るたびに大丈夫だと根拠のない言葉を繰り返していた。そして先生の待機する車両に呼ばれた。ようやくこの好奇な視線から解放される…!先生が車両内で改めて血圧を測定。100を超えていた。先生は「脱水だね。水分は飲んで30分しないと体内に吸収されないから献血前はしっかり水分をとってね。あと15分ココで座ってどうもなければ帰っていいよ」とにこやかに言った。…15分…以上に渡って先生は優しくにこやかにいかに献血時水分が大切かを話してくれた。帰路途中意識を失い怪我をする人もいるそうだ。そうならなかっただけいるとすれば神様に感謝しなければならない。

時間も過ぎ、ようやく帰宅許可を得た。

私は「りくろーおじさんのチーズケーキ」を手にし、帰宅した。17時を回るか回ったかくらいだったと思うがチーズケーキを口にしたのは17時を回っていた。

「こんなに美味しかったっけ??」

いつもそう変わらない味もこのような出来事を経て食べると格別な味へと変わり、今日の出来事はまたもや忘れられないものとなった。

こんな経験をした私だからこそ、献血をされる方はしっかりとごはんを食べ、30分前から沢山水分を摂取して行かれることをオススメする。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?