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コロナ禍の大災害想定 二次医療圏合同訓練 アラート「3」に対応

 新型コロナウイルス禍での大規模地震を想定した災害保健医療対応訓練が10日、石巻赤十字看護専門学校で行われた。石巻、登米、気仙沼地区の二次医療圏合同の訓練で、各自治体の保健師や石巻保健所、石巻赤十字病院の救護班、看護学生ら230人が参加。保健医療調整本部の運営体制の確認をはじめ、各避難所の状況を聞き取り、本部に報告するまでの連携体制を検証した。【山口紘史】

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避難者役の看護学生に体調などを聞いて回る保健師

 訓練はみやぎアラートレベル「3」で、石巻管内での陽性は5人、うち3人は感染経路不明という中、震度6強の地震が発生し、津波で沿岸部が被災。3日経ってもライフラインは復旧せず、各所で避難所が開設された―との想定で行われた。

 石巻地方の自治体はそれぞれ保健医療調整本部を立ち上げ、保健師らが避難所に見立てた各教室を訪問し、困りごとや避難者の体調を聞いて回った。

 限られた避難所スペースでコロナ疑いのある避難者を隔離する難しさが浮き彫りになり、訓練後の反省会では「避難所とは別に、コロナ患者を療養する施設を各市町で設ける必要性がある」などと示された。


医療訓練 避難所対応など共有
コロナ患者の精神面考慮 各市町に療養施設必要

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訓練後の反省会で浮き彫りになった課題などを共有

 コロナ禍での大規模災害に備えた10日の災害保健医療対応訓練では、石巻赤十字看護専門学校の教室を避難所に見立て、看護学生が避難者役となった。

 医師や看護師の救護班と保健師が「人工透析が必要な患者がいる」「妊婦や乳児がいる」など各避難所の状況を聞き取り、自治体や保健所の保健医療調整本部に報告。本部では集計結果を用いて、必要な対応や避難所の課題を共有し、対策を練った。

 「37度以上の発熱がある」「首都圏への訪問歴がある」などコロナ感染の疑いがある患者も想定。こうした人たちは別教室など専用スペースに誘導し、対応した。

 訓練後、反省会で各自治体の担当者が課題を列挙。「感染防止策とはいえ、すでに避難した人たちを改めてゾーニングして分けるのは困難。避難所開設時から受付で体温を測ることを徹底するべき」など、コロナ禍での対応が話し合われた。

 同院医療社会事業部の市川宏文部長は、コロナ患者の療養で「避難所内の別室に移されても、当事者がその場に居続けることは精神的に困難」と指摘。「コロナ患者専用の別施設を設けるなど健康観察ができる場が必要。各自治体で検討してほしい」と呼び掛けた。


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