見出し画像

震災遺構門脇小 開館2カ月半で1万人 節目来館は県外グループ

 震災遺構として石巻市が整備した旧門脇小学校が19日、一般公開が始まった4月3日以降の累計来場者数が1万人に達した。愛知県、岐阜県、神奈川県などに住む親戚6人グループが節目の来場者となり、齋藤正美市長やリチャード・ハルバーシュタット館長から記念品として缶詰や菓子類が贈られた。コロナ禍でも県内外から震災を学びに訪れる人は多く、施設では今後も広く来場を呼び掛けていく。

 1万人目は岐阜県に住む任用職員の幸村奈美子さん(45)をはじめ、愛知、神奈川、宮城に住む40―70歳の嫁、姑関係の親戚一同。宮城県内の伝承施設を巡る旅行を企画し、18日に、気仙沼市内の伝承施設や美術館を見学し、19日は松島観光前に石巻市を訪れた。本来震災遺構大川小を訪れる予定だったが、門脇小学校に切り替えたところ、節目に当たったという。

節目の来場者に記念品が贈られた

 エントランスで出迎えた齋藤市長は「津波とその後の火災を伝える他にない施設であり、未来へ命をつなぐ場所。後世に伝えながら防災教育を徹底していく」と記念品を手渡した。幸村さんは「まさか1万人目になるとは驚いている」と語り、校舎内を見学して「子どもたちが震災時、荷物などを置いてすぐ逃げたのだと思えた。それは命を守る行動そのもので、それだけ危険が差し迫っていた状況だったのだと伝わってきた」と思いを寄せた。

校舎内を見学し、11年前の状況を目のあたりにした

 仙台市青葉区の主婦太田正子さん(67)も「震災後に一度門脇小を外から見たことがあり、当時の真っ黒な状態の学校と周囲の被災跡地が印象に残っている。11年が経過し、周辺がきれいになっていて復興を感じたが、校舎内の焼けた教室を見てすぐに時間が戻った」と語った。

 リチャード館長(56)は「施設を見た人たちから高い評価をいただいている。特に命とは何かを考えさせられるという意見が多く、国内における今後の防災意識につながっている。1万人は最初の一歩。全国民に見ていただけるようまずは100万人を目指したい」と意気込んだ。

 同施設は1日平均160人が来場し、平日で96人、休日で250人が利用。黄金週間には1日800人が来場した。【横井康彦】





最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。