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交通治安維持に黄信号 安協の加入率低下顕著 「勧誘」時に耳傾けて

 秋の交通安全運動が21日に始まり、街頭では安全協会員が啓発活動に汗を流す。こうした活動は自動車運転免許の取得、更新時にドライバーが支払う安全協会入会費が大きな原資。ところが会員の大部分を占める高齢者の免許返納が進み、少子化で新規免許取得者数も減少。それに伴い協会加入率が著しく低下し、活動費の捻出が厳しくなっている。この状況が続けば交通安全活動が衰退し、交通情勢や治安悪化も招きかねない。

 令和4年度の石巻・河北地区での免許新規取得者は2531人で、安協加入者は406人。免許更新の2万3609人で加入者は6636人。新規、更新合わせ加入率は26.9%だった。

 今年8月現在の加入率も石巻地区25.9%、河北地区31.3%と低迷。安協活動を健全に展開できる加入率は最低でも30~40%台とされており、石巻地区安協では各支部や分会の活動を維持するため、来年度の事務職員を3人から2人に減らす考え。

地域に事故防止を呼び掛ける交通ボラ活動が窮地にある

 安協加入は、主に運転免許センターでの免許取得、更新時に行われ、窓口で勧誘される。会費は年500円。次回更新まで一括払いとなり、5年後だと2500円の支払いが生じる。

 免許取得試験料のみを持参する人が予定外の出費に「手持ちがない」と断ることが多く、事前の周知不足も課題の一つ。更新者からは「数年分を払うのは高い」「会費の使われ方やメリットがわからない」との声も聞かれる。

 安協会費は16%が県の安全協会、残る84%はドライバーの居住地にある地区安協と支部の活動費に充てられる。これを原資に新入学児童へのランドセルカバーや横断歩道の手旗、横断幕、啓発パネルを購入。加入者の利点は加盟飲食店や宿泊施設などでの割引や事故に遭った際の見舞金など。それ以上に、ドライバーが住む地域の交通安全活動を金銭的に応援することができ、社会貢献と治安維持に力添えできるのもポイントだ。

 安協所属の交通ボランティアは、春や秋の運動期間中の啓発に限らず、通学路や横断歩道での誘導、見守りも日頃から行う。通勤通学時に安全に道路を往来できるのも交通安全啓蒙活動、保育所や小学校での指導といった積み重ねであり、継続するにはドライバーの活動に対する理解と協力が書かせない。

 石巻地区安協の工藤昭二事務局長(65)は「秋の運動で街頭に立つ私たちに少しでも関心を寄せ、活動への理解を深めてもらえれば幸い。安協に加入することで自らの安全意識向上と地域の事故防止につながっている」とアピールしていた。【横井康彦】





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