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威勢よく海へ「暴れみこし」 石巻市網地島で4年ぶり 雷神宮祭にぎわい戻る

 石巻市網地島の長渡(ふたわたし)浜で4月29日、「雷神宮祭」があり、大漁や海上安全を祈願するみこし渡御が4年ぶりに行われた。白装束に身を包んだ若い男衆がみこしを担ぎ、「チョーサイ!チョーサイ!」と掛け声を響かせて島内を巡行。漁港ではみこしを担いだまま海に入る伝統の「暴れみこし」を見せ、久しぶりの活気を呼び込んだ。

 同祭は長渡浜地区伝統の祭りで、みこしを担いで雷神社、天王様、大金神社と3つの神社を回る一大行事。コロナ禍の中止を挟んで4年ぶりとなり、感染防止で通常2日間の開催を1日に短縮した。

みこしを担いだまま豪快に海に入る男衆

 みこしの担ぎ手は島出身、在住の10―40代の男衆13人。約半数は島外居住者で、朝に鮎川港発の離島航路で訪れた。関係者らは午前8時半に雷神社で神事を済ませ、9時過ぎに渡御を開始。男衆は重さ約300㌔のみこしを担ぎ、長渡漁港では豪快に海に入って「チョーサイ!」の掛け声を響かせた。

神事を済ませ、雷神社を出発する一行

 岸では島民や帰省者、観光・見物客ら約100人が見守り、「頑張れ」「最初から無理しすぎるな」などと声援を送った。一行は休憩を挟みながら約3時間かけて各神社を巡行。海には計3回入った。

小さなみこしを担いだ子どもたちも「チョーサイ!」と元気な掛け声を響かせた

 島出身者の子どもや孫(小学生)で構成する子どもみこしも大人の後をついて回り、元気な声を響かせた。また地区と交流のある仙台市のすずめ踊り団体「荒町すずめっこ」も8年ぶりに参加し、漁港などで優雅な舞を披露。餅まきもあり、浜は4年ぶりのにぎわいに包まれた。

漁港では仙台市のすずめ踊りの団体が演舞を披露した

 阿部重人氏子総代長は「皆が島に春を運んでくれた。協力に感謝」と話していた。

 網地島は東日本大震災で死者はなかったが、基幹の水産業の施設などが被災した。高齢化も顕著で、登録人口は約350人だが、実際の居住者は約290人。震災前より4割減った。島を離れる人がいる一方、豊かな自然や島民の温かい人柄にひかれて移住し、漁業にいそしんでいる若者もいるという。
【山口紘史】





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