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動く市長室初の網地島 「医療があるから安心」 医院存続と過疎対策要望

 石巻市の齋藤正美市長が旧町地区に出向いて住民とまちづくりについて懇談する「動く市長室」は27日、牡鹿地区の網地島から2巡目が始まった。離島で市長と住民が直接意見を交わす機会は、平成17年の合併以降初めて。島民287人(7月末時点)の3割近い79人が参加し、島で唯一の診療所の将来的な存続も含めた過疎対策を要望した。

 動く市長室は島の中心部にある網地島開発総合センターであり、昨年4月の市長就任以来、初めて島を訪れた齋藤市長はあいさつで「すいません、ようやく来ました」と詫びた。同日は市長に案内状が届いた安倍晋三元首相の国葬だったが、「地方創生は安倍元首相が始め、地方の現状に心を痛めていた。こうして動く市長室を開くことが元総理の思い。地域課題解決の糸口としたい」と述べ、先に予定していた網地島での公務を優先したことを明かした。

これまでの動く市長室で最多の参加があった(網地島開発総合センター)

 島の人口は減り15歳以下は5人。65歳以上の割合は72・4%となっている。懇談で網地浜、長渡浜の各行政区の代表者はともに、過疎対策を要望。齋藤市長は定住促進住宅取得等補助金など既存事業活用や魅力PRのほか、県外からの地域おこし協力隊の受け入れを検討する考えで「島で何日か過ごしてもらい、ここでいいという人を一人でも作る施策を進める」と述べた。

 市から旧網長小学校舎の譲渡を受けて網小医院を開設する医療法人の関係者は、建物が築50年と老朽化している現状を説明。島民も「医院があるから安心して暮らせる。末長く支援してほしい」と訴え、「今後も過疎対策事業債を財源とした運営費補助を検討していく。なくてはならないことも重々知っている」と理解を示した。

 このほか、離島航路の定期検査時にごみ収集車が1カ月間、島に渡れず、一時保管場所からの悪臭で困っていることなど離島ならではの課題もあった。さらに島で健康に暮らせるためのスポーツ教室が要望され、「ボランティアに声掛けして実現したい」と齋藤市長。欠航頻度を減らす防波堤整備には「国、県に要望して実現する」と約束した。

 参加した生まれも育ちも網地島の小野寺たつえさん(80)は「市長が来ること自体初めて。島の意見を聞いていただき大変ありがたい」と貴重な機会に感謝していた。【熊谷利勝】





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