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口内清潔で防ごう病気 「歯と口の健康週間」 石巻歯科医師会理事木村裕さん

 4―10日は「歯と口の健康週間」。石巻地方の各歯科医院でも幼少期からの歯磨き習慣や定期的な健診を呼び掛けている。石巻歯科医師会(鈴木徹会長)理事で木村歯科医院=女川町鷲神浜=の木村裕院長(66)は「歯磨きと食習慣を大切にしてほしい」と語る。歯磨きのコツや食事での留意点、口腔衛生の悪化が要因の一つとなる誤えん性肺炎の予防などを聞いた。【泉野帆薫】

歯磨きと食習慣、定期健診


 ―口腔衛生で重要なことは
 口腔内の病気は風邪とは根本的に性質が異なる。風邪は治療で元の健康な状態に戻せるが、虫歯の治療は削って詰め物をしたりするため、元の状態には戻れない。だからこそ歯磨きによる予防と食習慣、定期的な通院を心掛けてほしい。

 ―歯磨きのコツは
 朝、昼、夜の食後に3回磨くこと。歯間ブラシを使うとなお効果的。歯磨きは全部しっかり磨こうとすると約15分かかる。毎回時間を取るのは難しいと思うので、夜にテレビを見ながら長めに磨くなど工夫してほしい。

 ―子どもの歯磨きのコツは
 汚れは上下の大臼歯同士がかみ合う面にある溝にたまりやすい。子どもでも歯と歯茎の間に歯垢がたまることで歯肉炎が発症する場合もある。進行すると歯を支えている歯槽骨が溶け出し、悪化すると歯が抜ける。小学校低学年までは保護者の仕上げ磨きが大切。

 ―大人の場合は
 20歳を超すと虫歯や歯肉炎だけでなく、歯槽膿漏(のうろう)のリスクも上がる。個人差はあるが、喫煙者はより高い傾向だ。たばこは歯そのものよりも歯茎に悪影響を及ぼすため、喫煙者が歯槽膿漏にかかるとなかなか改善しにくい。

「ブラシを細かく動かして丁寧に磨いて」と話す木村さん

 ―歯槽膿漏や虫歯対策に特化した製品も市販されているが
 それらを使うのは効果的だが、薬に頼るよりもブラシを細かく動かし、1本ずつ丁寧に磨くことを心掛けてほしい。

 ―食習慣の注意点は
 「医食同源」の言葉通り、正しい食習慣は病気予防の要。繊維質のものや歯ごたえのあるものをよくかんで食べると顎が丈夫になるだけでなく、歯同士がこすれ、余計な汚れを落とす効果もある。

 ―子どもの食習慣で特に気を付けることは
 現代の子どもは顎が小さい傾向にあり、歯が重なる部分がうまく磨けていない。顎を強くするためにもよくかんで食べてほしい。また、決めた時間に食事やおやつを食べるのも大事。慢性的に惰性で食べ続けるのは避けた方が良い。

 ―高齢者に多い誤えん性肺炎の予防は
 誤えん性肺炎は、口内で繁殖した菌が肺に入り込んで発症する場合もある。歯磨きは最適な予防だが、高齢になると1人で歯磨きが困難な人もいる。こうした場合、家族など身近な人が手伝ってあげてほしい。

 口の中を清潔に保つことで防げる病気は多い。よくかんで食べ、歯を丁寧に磨くことを習慣付けてほしい。また、成人は1年に2回、学童期は3カ月に1回の健診も勧めたい。





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