見出し画像

コロナ禍で交通事故減 在宅時間増と火災比例

 今年の石巻署管内は交通事故、刑法犯ともに減少した。新型コロナウイルスの影響で人の動きが停滞したことが一つの要因と言えそうだ。その中で休業中の飲食店などを狙った窃盗は急増。民家への空き巣、忍び込みも増加した。8月には石巻市新栄で夫が妻を刺す殺人事件が起き、地域に衝撃を与えた。火災は過去最低だった昨年から一転し、建物火災を中心に増加。住宅火災も多く、5人の命が奪われた。救急搬送はこれまで右肩上がりで増加していたが、今年は1千件以上の減少となった。【渡邊裕紀】

 同署管内の人身交通事故は、11月末までで294件と昨年同期比で85件減少。死者は3人で2人減った。交通課は「コロナ禍で外出が控えられ、交通量にも変化があったのでは」と分析する。

 事故原因の多くは安全不確認と前方不注視という、いわゆる「注意力の欠如」が半数以上。発生場所は交差点付近で例年と同じ傾向だった。飲酒運転は11月末現在で32件と昨年より26件減少。これも車を運転する機会が少なくなったことが一因だが、家で酒を飲んで買い足しで車を運転し、摘発されるケースが多く見られた。

 刑法犯の認知件数は11月末で750件と昨年比で161件減。しかし、コロナ禍で休業している飲食店などを狙い、盗みに入る出店荒らしが18件と昨年比で15件も増加。空き巣や忍び込みも同様に増えている。

大瓜の住宅火災 (60)

建物火災が多く発生した今年、住宅火災が半数以上を占めた

 自宅にいる時間が長い影響で、生活安全課には家庭内暴力や虐待に関する相談が例年より増えた。また学校の休校で自転車盗は94件と4割近く減った。特殊詐欺被害件数は高止まりとなり、今年は架空請求による詐欺被害が多発した。

 今年の事件で最も地域に衝撃を与えたのは、石巻市新栄で発生した殺人事件。8月3日早朝に女性が刃物で刺され死亡し、女性の夫である男(58)が殺人の容疑で逮捕された。閑静な住宅街で突如起こった凶悪事件に地域住民からは「まさかこんなところで」と衝撃が走った。

 石巻地区消防本部管内の火災件数は、昨年まで過去最低を更新してきたが、今年は12月24日までで64件と昨年より16件増加。建物火災が37件で、このうち20件は住宅火災だった。住宅火災の死者は5人となり、出火原因はたばこの不始末やコンロの不適切な使用だったという。コロナ禍で家にいる時間が増えたことが火災発生のリスクにつながっている可能性も高い。

 救急搬送はこれまで右肩上がりを続けてきたが、今年は7863件と昨年より1千件以上減少。人身事故の減少に比例して搬送も減ったが、それ以上に急病による搬送は700件以上減った。コロナ禍に入り、救急隊員はこれまで以上に感染対策を強化。搬送者に発熱などがあった場合は高性能マスクや防護服を着て任務にあたっている。

 新型コロナウイルスの収束が全く見えない中、来年も同じ傾向が続く可能性が高い。新しい生活様式が浸透する中で、地域の情勢も変化を見せている。


現在、石巻Days(石巻日日新聞)では掲載記事を原則無料で公開しています。正確な情報が、新型コロナウイルス感染拡大への対応に役立ち、地域の皆さんが少しでも早く、日常生活を取り戻していくことを願っております。



最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。