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「復興完結見てほしかった」 安倍元首相 銃撃受け死亡 2市1町の首長 追悼の意

 安倍晋三元首相が8日、奈良県内で選挙演説中に銃撃され、死亡した。67歳。通算在任期間の3188日は憲政史上最長。特に平成24年12月26日から令和2年9月16日までの第2次政権以降は、東日本大震災復興の歩みと重なり、石巻地方に最も多く足を運んだ首相だった。各首長は突然の訃報を悔やみ追悼の言葉を寄せた。

 安倍元首相は第2次政権発足から間もない25年1月、初めて石巻市を公式訪問。造船会社や製紙工場などを見て回った。5月には集団移転団地などが造成中の東松島市や女川町を視察。7月は入居が始まった石巻市の復興公営住宅、12月には再建されたカキむき場を訪れている。石巻地方への公式訪問は28、29年もあり、3年前の参院選では市内で選挙演説していた。

平成25年には石巻を4回訪問。市民らを激励した

 石巻市の齋藤正美市長は「最大被災地である市に何度も足を運ばれ、そのたびに力強い後押しをいただき、ここまで復興を成し遂げることができた。常に被災者の声に耳を傾け、寄り添っていただいた」と感謝。齋藤市長は県議だった25年1月の首相訪問に同行しており、「復興に対する力強い言葉をいただき、改めて意を強くした。復興が完結した市をその目で見てもらいたかったが、残念でならない」と悔やんだ。

 東松島市の渥美巖市長は「市長就任後の29年、宮野森小で子どもたちと接していただいた。翌年にはハウス栽培のトマトを見られた後、派遣職員を激励してほしいとお願いしたところ、快く引き受けてくれた」と回顧。「復興に力を入れ、経済政策も力強く推し進めていた。日本のリーダーとして光る政策で世の中を明るくし、夢を与えてくれた。今回の出来事は残念でならず、言葉がない」と哀悼の意を示した。

平成28年に女川町を訪れた安倍首相(当時)

 女川町の須田善明町長は「震災復興を長くけん引し、被災地に寄り添い、全面的なバックアップをいただいた。無念は推し量るすべはないが、安らかな眠りを祈るばかり」との談話を出した。事件に対しては「国を代表する強いリーダーが凶弾で失われた意味は極めて重く影響も計り知れない。社会と民主主義に対する暴力による挑戦という蛮行を許してはならず、屈してもいけない」と非難した。

 事件は住民にも衝撃を与えた。シーパルピア女川にある青果店「相喜フルーツ」内では、安倍首相が店を訪れた際の写真が飾られている。店主の相原義勝さん(74)は「テレビで知り、ショックの一言。2度も店に来ていただき、気さくに話しかけていただいた。これまでにいないタイプの首相であり、どうして安倍さんが…」と沈痛な思いを口にした。
【熊谷利勝、横井康彦、山口紘史】




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