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東日本大震災から9年半 石巻市 慰霊碑に約4000人の名前

 石巻地方に大きな被害をもたらした平成23年3月11日の東日本大震災から、きょう11日で9年半となった。復興まちづくりは、あと半年もすれば10年の区切り。年月と変わる街の姿は記憶もあいまいにさせるが、多くの命が失われたことを忘れず、未来に伝えていかなければならない。石巻市は犠牲者を追悼し、伝承していくため、市全域の約4千人の名を記す慰霊碑の建立を計画。来年3月11日の除幕へ準備を進めている。【熊谷利勝】

3・11の除幕へ準備

 慰霊碑の建立地は被災跡地で、国、県、市が一体的に整備を進める石巻南浜津波復興祈念公園内。市整備区画中、旧門脇小側のメイン入口西側約1660平方メートルに建てる。公募型プロポーザル(提案)方式により、デザインから設置までを民間に委託している。

 真上から見た整備後の敷地形状は横に長いだ円形。円周に沿うように北側に慰霊碑、南側に黒御影石の腰掛を置く。真ん中の芝生部分を除き雨水がたまりにくい舗装とし、園路と慰霊碑の場所を仕切るように白地石の石垣を作る。曲線が随所に用いられた公園全体のデザインになじむようにする。事業費約6千万円、市の復興基金を使う。

南浜祈念公園 慰霊碑予定地 (3)

石巻南浜津波復興祈念公園に市の慰霊碑が建立される

 完成図は公表されていないが、慰霊碑は長さ37メートル、高さは車いすに対応した約1メートルとなる模様。黒御影石製で両端部に地元の井内石を使う。犠牲者一人ずつの名を横書きで記した板を並べ、花止めも付ける。

 市は10月ごろから犠牲者の親族の意向を確認する作業を開始。雄勝、牡鹿、北上地区にも市の慰霊碑が建立されているが、それらを含めて市全体の犠牲者名を記す。行方不明のままとなっている人や避難生活で亡くなった人など震災関連死された人も親族が希望すれば名を残す。

 住民基本台帳上の市の人口は、震災前(平成23年2月末)の16万2822人に対し、今年8月末現在14万1391人。国勢調査結果を元に、実数に近くなるよう推計した人口は、すでに14万人を下回っている。犠牲者の親族もこの9年半に亡くなったり、市外に転居したりした人が多数いるとみられ、名前の確認作業は難航しそうだ。

 祈念公園は来年3月末の完成を目標に工事が進む。市震災伝承推進室は「開園前になるが発生から10年の来年3月11日に除幕したい」とする。同日の市の追悼式は、開成地区に完成する複合文化施設で行う。


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