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支援アプリで受付混雑改善 県原子力防災訓練 住民参加で避難手順確認

 東北電力女川原子力発電所の重大事故を想定した令和4年度宮城県原子力防災訓練が29日にあり、原発が立地する女川町、石巻市と周辺市町の住民らが屋内退避や遠方への広域避難といった防護措置を実践した。住民参加の訓練は3年ぶり。県が開発を進める避難支援アプリの実証訓練も初めて行い、有用性を検証した。

 三陸沖地震で大津波警報発表後、運転中の女川原発2号機が緊急停止し、外部電源の喪失や機器の故障で原子炉を冷やす機能が失われた全面緊急事態を想定。県や国、原発30キロ圏の7市町、警察、自衛隊などから約600人が参加した。放射性物質の放出で特定の地点で一時移転が必要として、広域避難訓練を展開。避難先の自治体も協力した。

 住民は自治体から事前に連絡を受けた約300人が参加。女川町、石巻市の住民は集合場所からバスでそれぞれ栗原市、大崎市の避難先に移動し、離半島部ではヘリや船舶も用いられた。東松島市は計画にない三陸道経由の避難も試した。

スマホアプリでQRコードを読み込み、避難受付した(大崎市旧富永小学校)

 石巻市の避難先として指定された大崎市の旧富永小学校には午前9時半までに、原発に近い牡鹿半島の住民ら約100人が到着。住所、名前を手書きする従来方式とアプリ方式のいずれかの受付を通過した。従来型は順番待ちの列ができ、6割が利用したアプリは会場のQRコードをスマートフォンで読み取るだけでスムーズだった。

 避難支援アプリは事前にスマホに入れ、マイナンバーカードを読み取らせて個人情報を登録。事故時や訓練時に、個別の避難先も通知される。

 女川2号機は令和6年2月の再稼働を目指しており、住民参加の訓練はおととし11月の地元同意後初。鮎川浜から参加した阿部貞子さん(68)は「アプリは一瞬で受付できた」と有用性を確認。一方で避難先までバスで2時間かかり、「原発近くを通って避難しなければならず不安は強くなった」と話した。

 旧富永小を視察した村井嘉浩知事は「アプリで避難者の情報がつかめ、何の物資を送ればいいかが分かる」と、他の災害でも使える有用性を強調。齋藤正美石巻市長も受付の混雑が改善されたとし、「アプリ普及に市も取り組む」と語った。今回の訓練では交通渋滞は想定されず、村井知事は「検証し、実情に合わせて訓練したい」とした。【熊谷利勝】





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