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一瞬の妙技「変面」に驚き 元こども記者・松林さん 襲名後、石巻で初披露

 中国の伝統芸能「川劇変面」のパフォーマンスが2日、石巻市かわまち交流センターで行われた。演じたのは石巻市出身で東北芸術工科大学3年の松林拓希さん(21)。一瞬で面を変える妙技が観客を驚かせた。

 変面は軽快な音楽に合わせて踊り、顔に着けた色鮮やかな仮面を素早く変えていく技巧の一つ。仕掛けは門外不出の技とされ、限られた人だけが受け継ぐことができる。松林さんは、中国人の芸術家でアジア芸術文化促進会代表の王文強(オウブンキョウ)さんを師に技術を教わった。

面を瞬時に変えて会場を沸かす松林さん

 「王拓希」(オウヒロキ)の名を襲名してからは初めての公演。きらびやかな衣装がひるがえったり、赤い扇子が顔の前を横切ったりした瞬間、着けていた面が変わる。その面の表情に合わせ、手先や足取りも異なり、時として男性にも女性にも見えてくる。

 約10分の公演中、面を変えたのは11回。観客の誰しもが妙技の謎を解き明かそうと見入るが、仕組みは分からずじまい。石巻地区日中友好協会の白井省三会長は「日本で変面が見られるとは思わず技を授かったことにまず驚いた。踊りは今一つだったが、面を変える速度は本場と同じ。成長が楽しみ」と感心していた。

最後は素顔を見せ、約10分の公演を終えた

 松林さんは「とにかく緊張したが、自信につながった。さらに研さんを重ねて正確さを磨き、変面を通じて中国文化を取り込み、紹介していきたい」と話していた。松林さんは石巻日日こども新聞の第1期こども記者。当時は小学5年から活動を始め、石巻好文館高校を卒業するまでたくさんの記事を書いた。

 この日もこども記者の酒井朱理さん(石巻小3年)が司会、千葉ふうなさん(石巻中2年)が受付、取材を担い、先輩を支えた。こども新聞を発行する公益社団法人こどもみらい研究所の太田倫子代表理事は「最初の一歩を踏み出せるように背中を押すのも私たちの役目」と語り、松林さんの成長を喜んだ。【外処健一】





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