海渡らず石巻で子育て オオハクチョウが営巣 5羽のヒナ生まれる
石巻市広渕の定川で、中州に営巣したオオハクチョウの卵からヒナが生まれ、かわいらしいと話題になっている。親鳥はけがで繁殖地のシベリアに帰られなかったとみられる。日本に残って卵を産み、子育てするのは珍しい。
付近の住民によると、先月から中州に巣を作っているのが確認され、5つの卵から今月25日に3羽、26日に2羽のヒナがかえった。母鳥の羽に隠れていることが多いが、時おり出てはよちよちと歩き、きょうだい同士でじゃれあったりしていた。
ヒナは自分で餌を食べられる状態で生まれ、親が与える様子はない。少し距離を置き、右羽を痛めた大人のハクチョウが見守る。
父親と見られるこの1羽は、数年前から定川沿いで住民に目撃されており、渡ってきたメスとつがいになったようだ。昨年も近くの水田で抱卵の様子が確認され、5羽のヒナのうち3羽が巣立ったという。
母鳥に身を寄せる5羽のヒナ
オオハクチョウは1夫1妻で、家族単位で行動。親鳥が北へ飛び立てなくなったため、昨年に生まれた3羽も周辺に留まっているらしい。パンや米などの餌を与えに来る人が絶えないが、ヒナを狙うカラスを呼び寄せる恐れがある。後先考えず、ビニール袋ごと餌を中州に放り入れる人もいる。
26日に現地を見た県伊豆沼・内沼環境保全財団の嶋田哲郎研究室長は「帰れず残って繁殖するのは珍しく、自分も初めてヒナを見た。母鳥も短距離しか飛べないと見られ、来年もまた卵を産むだろう。自分たちでエサとなる草を食べているので、そっと見守るのがいい」と話した。【熊谷利勝】
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