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【高校野球宮城大会】ウェルネス4強ならず 育英との注目戦 内野席埋まる

 全国高校野球選手権宮城大会は23日、石巻市民球場で日本ウェルネス宮城対仙台育英の準々決勝があった。「打倒育英で甲子園出場」を目標に掲げたウェルネスはエースの早坂が先発。内野スタンドが埋まるほどの大勢の観客の応援を背に粘投したが、育英打線の勢いを抑えることができず0―4で敗戦した。甲子園常連校相手に3年間の成果をぶつけ、堂々と戦った選手たち。駆け付けた地域住民らは大きな拍手で、健闘をたたえていた。

早坂粘投「全て出し切れた」

 圏域初の全寮制私立高として令和2年に誕生したウェルネスは野球部も創部3年目。今年3年生となった1期生は、甲子園に向け、みっちりと技術やチーム力を鍛え上げた。

 昨年、今年の春季県大会で8強に輝く一方、共に準々決勝で仙台育英に敗戦。「ここを倒さなければ甲子園はない」。必然的に打倒育英が目標となった。

満席となった石巻市民球場の内野スタンド

 夏大会初の8強となり、迎えた3度目の育英との公式戦。石巻勢唯一の勝ち残りと優勝候補筆頭が激突する注目カードとあり、内野席(1300人)は満席。外野席にも多くの人が芝生に腰を下ろし、試合を見守った。

 先発早坂は毎回走者を背負いながらも内角を突き、緩急を付けた投球を見せた。だが中盤以降、守備の乱れや失策で得点を許し、打線も4安打と抑えられ、一矢報いることができなかった。

最後まで粘投したエースの早坂

 金子隆監督は「早坂は少し慎重になりすぎた。頑張ったがボールが見切られ、余計な走者も出してしまった。やはりミスがあっては育英に勝てない」と振り返った。3年生には「この3年間の経験を今後の生活で生かしてほしい」と労った。

 試合後、「全てを出し切れた」と語った早坂投手。「体力とか考えず、気持ちで投げた。もう試合がないと思うと寂しいが楽しい3年間だった」と振り返った。後輩には「次こそ育英を破り、甲子園に出場してほしい」と託した。

ウェルネスは、育英の足を使った攻撃にも苦しんだ

 3年生たちは、1期生としてウェルネスの歴史の1ページ目を作った。常勝軍団には及ばなかったものの、一歩も引かない姿勢は住民に勇気を与えた。保護者も懸命にメガホンをたたき、息子たちの有志を見守った。

 鈴木太陽選手(3年)の父・良徳さん(57)は「悔しさもあろうが、よく食い下がった。最後まで諦めず戦う姿に胸が熱くなった。皆、よく頑張ったと思う」と話していた。【山口紘史】





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