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新設私立高・ウェルネス宮城 野球一筋 夢は甲子園

 石巻地方初の私立高校として東松島市小野地区に開校した日本ウェルネス宮城高校(柴岡三千夫校長・生徒22人)。男子硬式野球部は新型コロナウイルスの影響で2カ月遅れの6月20日に待望の創部を迎えた。部員14人で2人が石巻地方の出身者。公立高ではなく新設校で夢の実現に挑戦する決断をした。野球部は、あすの東北地区高等学校野球宮城大会が公式戦の初陣となり、柴田高校と戦う。【横井康彦】

石巻地方の2選手挑戦

 同校は鳴瀬未来中学校旧校舎を使った全寮制の高校。開校に向けた県の設置認可が前年度末と遅れたため、1期生は普通科スポーツコースに男子15人、女子7人にとどまった。

 石巻地方から野球部の門をたたいたのは女川町の鈴木太陽さん(15)、石巻市開北の千葉冬磨さん(同)。このうち鈴木さんは保育所年長時、父親が監督を務める地元の野球スポ少「女川ビクトリーレッズ」(現在の女川万石浦ベースボールクラブ)に所属。5年生から捕手を任され、中学時代は軟式野球部主将として県大会8強の活躍。3年生の時にアジア大会メンバーに選ばれるなど国際大会の出場経験も持つ。

ウェルネス宮城 (1)

石巻地方出身の鈴木さん(左)、千葉さん

 「県大会で8強入りしたが、自分のプレーとしてはもっと上を目指せたのではと、消化不良な思いを抱いていた」と話す。中3の夏、新設校の存在を知った鈴木さん。「高校の3年間、高いレベルで野球に取り組み、野球への思いを完全燃焼させたい」と入学を決めた。

 父親の良徳さん(55)は、石巻工業高校野球部OBであり、直前の進路相談では「一人息子を母校へ」と考えていた。だが、長男の熱い思いを聞いて「3年間野球に打ち込み、全寮制という集団生活を経験するだけでも将来のプラスになる」と後押しした。

 新型コロナ禍で踏み入れた高校野球の世界。軟式の経験は豊富だが、硬式は初。ボールの重さも対応も異なった。だが、部員の大半は中学時代に硬球を扱うリトルシニアの出身者。硬式に対する慣れへの「出遅れ」に焦りもあったが、今は黙々と練習に励む。「早く硬球に慣れることが目標。対等な状況まで持っていけるようまずは挽回したい」と白球を追い、甲子園出場を目標に掲げる。

盟友との対戦描く

 一方、千葉さんは住吉中野球部で投手や一塁手として活躍し、石巻の選抜メンバーに選ばれた経験を持つ。中総体後、石巻工業とウェルネス宮城の体験会に参加し、双方の環境の良さにひかれた。野球部の仲間は、石巻工業や石巻西高などで野球を続けると聞き、「同じチームにいては対戦できない。みんなと違った学校で野球を続けたい」と進路を決めた。

 長身と恵まれた体格に加え、強肩の千葉さんだが、中学時代から練習や試合にあたっては、常に腰の故障と向き合い、今も続いている。「中学1年時に疲労骨折してから病院通い。なかなか良くならないが、中学時代の仲間と対戦したいという思いを持ってここに来た。3年生までには回復する見込みで、自分の力を発揮できるよう取り組みたい」と静かな闘志を燃やす。

ウェルネス宮城 (2)

日本ウェルネス宮城硬式野球部

 チームは毎週末、他校の1年生チームとの練習試合で実戦経験を重ねる。初の対外試合となった岩手県の古豪一関学院に惜敗したものの、6月27日の東陵戦で勝利した。

 宮城大会の初戦は19日午前10時から仙台市民球場での柴田戦。公式戦初勝利に向け、新設校の夏に注目だ。


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