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マリンレジャー「楽しさと危険」表裏一体 海保・天候確認呼び掛け 海離れ 震災も影響か

 きょう22日は「海の日」。新型コロナウイルスの感染拡大以降、3密を避けた海のレジャーが注目を集める。石巻地方でもSUP(スタンドアップパドルボード)を中心に愛好者が増えているが、技術不足や天候の変化で事故に遭うケースも。未開設の海水浴場で遊泳する人もおり、楽しさの裏には危険性が潜んでいることを認識することが大切だ。

 第二管区海上保安部がまとめた平成28年-令和2年の5年間におけるマリンレジャーの事故は234件で、7-8月の2カ月間に集中。73人が死亡、行方不明となった。6割近くが遊泳中の事故で離岸流により沖に流されたと見られている。海の事故は死亡率が高く、常に一定のリスクがつきまとう。

 宮城海上保安部がまとめた県内の5年間事故累計は発生77件で釣り、遊泳、SUP、サーフィンの順。石巻地方では、5年間で9人が死傷している。事故発生場所の多くは、未開設または海水浴場外が多い。令和元年9月は石巻市鮎川で遊泳中の男性が岸から100メートル沖合に流され、亡くなる事案が発生。翌年には同市網地浜でプレジャーボートにけん引したバナナボートに男性3人が乗って遊んでいたところ、両ボートが衝突してけがをする事案もあった。

SUP人気も救助増加

 愛好者が急増している「SUP」。水面に浮かせたボードに立ってハドルで漕ぎながら進むマリンレジャーであり、初心者でも気軽に楽しめると近年人気を集める。東松島市内でも今年に入り愛好者の協議会が発足するなど、身近なものとなりつつある。

 愛好者の増加で事故も増え、平成28-30年まで1件だったが、令和に入り8件と急増。いずれも風向きや風速の変化で岸に戻ることができず救助を求めた事案だった。事前の気象予測確認が不十分で帰還困難となるのがSUP事故の特徴。宮城海上保安部は「海に出る以上、基本的な技術はもちろん、気象状況を確認してほしい」と呼び掛けている。

 マリンレジャーの人気が高い一方、東日本大震災の被災地では津波を経験した親世代の影響で、子どもの「海離れ」が進んでいる現状もある。コロナ禍で海水浴場が未開設となり、石巻市の小学校では今夏、2年ぶりに児童が学校のプールで水に触れる機会を得た。ただ、プールと異なり、海には干満や流れが存在し、海でなければ学べない危険性もある。

 このため同保安部では、昨年から全国初の試みとして「マリンレジャー安全活動団体認証制度」を制定し、ライフセーバー常駐の海水浴場を運営している自治体、海での体験学習を行う自然の家、SUP愛好団体など4団体を認証。16日には石巻地方では初めて松島自然の家が5団体目として認証を受け、来月以降には奥松島のSUP愛好団体にも認証を行うという。

 梅雨が明け、本格的なマリンレジャーシーズンが幕を開けた。天候、安全対策、技術習得など命を危険にさらさないよう十分な備えを講じ、夏を楽しもう。【横井康彦】


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