見出し画像

同日選 開票に軒並み遅れ 石巻市は一時 4千票見失う 投票利便性も自治体負担増

 10月31日の衆院選と県知事選で、石巻地方2市1町の開票作業は軒並みトラブルに見舞われ、確定時刻に遅れが出た。特に県議補選を含めて5つの投票があった石巻市は、衆院選比例代表で一時、約4千票の行方が分からなくなり、開票終了時刻が当初の見込みに対して5時間近くずれ込んだ。投票を1度で済ませられるのは有権者の利便性が高いが、事務は準備期間の短さもあって負担が増した。

 石巻市の開票はビッグバンで午後10時から開始。市選挙管理委員会は当初、翌日午前3時までに終了する見込みだったが、実際の確定時刻は小選挙区が午前3時32分(予定1時)、比例代表6時14分(1時半)、知事選4時23分(1時10分)、県議補選3時58分(1時20分)、国民審査5時20分(3時)となった。

 7台の読取分類機を用いる予定も、当日を前に古い4台が使えないことが分かり、小選挙区の分類を手作業に変更。投票者数の確定が0時過ぎに遅れたことで、開票速報もしばらくゼロが続いた。

 特に比例代表は、投票者総数に対する集計済み票数に約4千票の不足が生じた。数え直しても一致せず、対応を検討していたところ、小選挙区の開票台に票が取り残されているのを見つけた。点検作業が詰まったため、空いた開票台で点検した結果、計数に持って行かれずに留め置かれたという。これによって開票開始から終了まで約8時間を要した。

石巻市開票所2021 (6)

アリーナの3分の1を埋め尽くす投票箱

 5種類の開票は合併後最多。ビッグバンのアリーナは市内最大級の広さだが、4年前より86人多い361人の職員を配置し、手狭になった。空いた開票台での点検は、本来の作業の流れと異なることから好ましくないが、会場の広さが確保できない時に用いられる手段という。集計漏れは現場の気転が裏目に出た形で、指示や確認が不十分だった。

 女川町では衆院選小選挙区の読取分類機が故障し、手作業に切り替えた。予定の終了時刻は若干超過したものの、日が変わる前に全ての開票が終了。開票の遅れは県議補選がない東松島市でもあった。特に国民審査の内容に精査が必要な記述が多く、通信トラブルで県選管に対する小選挙区の確定報告も4時42分になった。

 最高裁裁判官の国民審査は衆院選に合わせて行われる。ほぼ4年間選挙がなかったことから審査対象の裁判官が多く、各市町村で精査に時間を要した。

 今回の衆院選は当初の想定よりも期日が前倒しされ、告示まで8日間という異例の短さで県知事選の同日選が決まった。忙殺される市町村職員からはぼやきも聞かれたが、県選管事務局は「同日選で市町村の負担があったことは認識しているが、有権者が1度で済む利点は大きい」としている。【選挙取材班】


現在、石巻Days(石巻日日新聞)では掲載記事を原則無料で公開しています。正確な情報が、新型コロナウイルス感染拡大への対応に役立ち、地域の皆さんが少しでも早く、日常生活を取り戻していくことを願っております。



最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。