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県内初ブランド「ほやの極み」 産地外でも高鮮度維持 国内消費拡大へ

 県内産ホヤの品質を厳しく管理し、鮮度を保つ新ブランド「ほやの極み」の発表会が31日、石巻市かわまち交流センターで開かれた。首都圏などで消費拡大を図る際、ホヤは鮮度低下が大きな課題となっている。そこで流通販売の管理基準を策定することで、高品質を売りにした新ブランドを立ち上げた。すでに仙台市のホヤ専門店や関東を中心とした回転ずしチェーンでの採用が決まっているという。

 新ブランドを立ち上げたのは、昨年9月に発足した県内加工業者などで組織する「宮城ほや協議会」(田山圭子会長)。三陸産の新鮮なホヤが関東圏など遠隔地に陸送される過程で鮮度低下を起こす原因を調べ、それが時間と温度、人工海水の塩分濃度、ホヤの排せつ物にあることにたどり着いた。

水揚げから運搬までの水温、時間などを管理した「ほやの極み」

 そこで殻付きのホヤは水温10度以下に温度管理し、外気にさらす時間を短くして海水に浸けたまま運搬。水揚げから48時間以内に販売するなどの基準も設け、クリアしたものには「ほやの極み」認定シールが貼られる。

 ホヤが敬遠される最も大きな要因は、時間経過で鮮度が落ちた独特の臭み。「ほやの極み」は、可能な限り水揚げ状態に近い鮮度で産地外の消費者に届くことを目指した。国内消費は関東圏などで伸び悩んでおり、品質を担保するブランド化で消費拡大を狙う。

 発表会で、田山会長は「県内初のホヤの共有ブランドであり、業界全体で盛り上げ、認知度と販路拡大につながれば」と期待。その後、「ほやの極み」の基準や申請方法などが紹介され、その後、加工業者らが真水と海水にそれぞれ漬けたホヤを食べ比べた。

 最初のブランド認定を受けたのは石巻市の3社。このうちワタキ水産=石巻市大谷川=の渡辺隆太さん(38)は「ブランド化で品質基準が示され、消費者にも伝わりやすい。ホヤは鮮度が命。徹底管理された味を楽しんでもらい、消費拡大につながれば」と話した。

 今のところ「ほやの極み」は殻付きでの認定だが、今後はむき身での基準も策定していく予定。加工品への拡大も模索しており、同協議会はホヤの海外展開を見据えた地理的表示(GI)保護制度への登録も目指す考えだ。
【渡邊裕紀】





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