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個性派ライト文芸が人気 未来屋書店石巻店 親子で本に親しむ場

 読書推進に向け、石巻地方の図書館は職員や司書が企画、展示などで知恵を絞るが、民間の書店も本と学びに重点を置いている。図書館が教育的な役割を担う一方、書店は趣味、娯楽の利用が主となり扱うジャンルも幅広い。

 イオンモール石巻=同市茜平=内の未来屋書店石巻店(尾張早矢香店長)は、小中学生がホームルームで取り組む朝の読書に合わせて児童書商品の充実を図り、高校生以上は市内で取り扱いの少ない人文系の新刊も豊富にそろえている。

 同石巻店は、市内に気軽に足を運べる文化施設が少ないことから「子どもたちの知の拠点」をコンセプトに置く。「学べる場所になれたら」と尾張店長。「子育て世代にとって、複合型の商業施設はかなり身近な存在。この場所から読書のきっかけ作りを発信したい」と思いを込める。

未来屋書店石巻店のライト文芸コーナー

 若年層を中心にした読書離れが進んでいるが、インターネット上に投稿された小説に人気が出て、書籍化する動きも5年ほど前から見られている。尾張店長は「漫画作品の小説化や表紙、挿絵にこだわる、シリーズものでキャラクターの個性が際立つライト文芸は若年層にかなりの人気」と話す。

 学校図書室でもこうした傾向が見られ、鹿妻小学校は、少量ではあるがライト文芸を蔵書しており、バスケットボールを題材にした「スラムダンク」など少年漫画の小説化も児童に支持されているという。

こども読書週間に合わせてコーナーを設置(未来屋書店石巻店)

 ライト文芸の需要は若年層に限ったことではない。石巻市図書館の月浦直貴主任主事は「実は70代の利用者にも貸し出しが多い。シリーズものが多く『お約束』のような物語展開が読みやすく面白いようだ」と語る。ジャンルが増えたことで敷居が下がり、文学を楽しむための間口は広がっている。

 最近では、読書好きによる本の紹介動画から純文学作品に人気が出るケースもある。尾張店長は「なにがきっかけでもどんな作品が入口でも構わない。まずは本を手にすることが大事。それには大人からの働きかけが欠かせない。家庭でも、保護者が読書する姿勢を積極的に見せたり、読み聞かせなどをしてくれたら」と呼び掛けていた。

 メディアの多様化は書籍にも及び、紙の本と電子書籍で好みは分かれる。良し悪しで判断せず、互いの利点と不利点を補完し合って使い分けていけば、さらに読書の世界を深く楽しめるはず。【泉野帆薫】





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