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「知っ得 石巻弁」待望の書籍化

本紙の人気コラム
300語掘り下げて解説

 石巻日日新聞に昨年秋まで連載した人気コラム「知っ得 石巻弁」が同名の書籍になり、4月下旬から地元の書店などで販売している。著者は言語学が専門の渡波法音寺住職で石巻市文化財保護委員の谷川正明さん(70)。「イズイ」「ヨゴミナゲル」といったおなじみのものから、今では耳にすることが少ないものまで、300語について歴史背景や広がりなどを分かりやすく解説している。

「知っ得 石巻弁」を手にする谷川さん

 新聞連載は平成20年11月にスタート。東日本大震災の影響で一時中断したが、最終回の令和4年10月まで月2回掲載した。この間に取り上げたのは300語以上。地域の暮らしに深く結びついている方言の魅力を多くの人に知ってもらおうと、石巻日日新聞社110周年記念事業の一環で出版した。
 書籍「知っ得 石巻弁」には、300語を五十音順で載せている。これまでの方言集の多くは言葉の意味が主体の辞書形式だが、同書はさらに踏み込んで由来や関連語句、時事・社会的話題、身近なエピソードなどをまじえて多角的に解説しているのが特徴だ。

楽しいクイズも掲載

 また、歴史的背景やアクセント・発音などを掘り下げた「もっと知っ得 石巻弁」やクイズのコーナーもあり、世代を超えて楽しみながら石巻弁に親しめる内容になっている。
 著者の谷川さんは石巻高校から東北大学文学部に進み、言語学を専攻。これまで文化庁の全国一斉方言調査に携わったほか、宮城県百科事典や「石巻市の歴史」の方言部門の執筆などで活躍してきた。
 とくに震災後は、地域社会の激変とともに石巻弁を取り巻く環境が様変わりしたことから伝承への思いを一層強くし、本紙コラムのほかラジオ出演、講演活動などに積極的に取り組んだ。「おらほのラジオ体操」の方言指導にもあたった。

地域の人たちの生活に根付いてきた言葉を満載

 書籍化について「方言は、地域の人たちにとって意思の疎通が図られる大切なものであり、地域の歴史や文化の土台をなすもの。本書では単に意味だけでなく例文を提示し、言葉の歴史や広がりなども解説している。本書を通して多くの人に石巻弁への理解や関心を深めていだだければ幸い」と話している。
 同書はA5判、本文186㌻で1200円(税抜)。石巻地方の各書店、石巻日日新聞社、石巻ニューゼなどで取り扱っている。問合せは石巻日日新聞社(95―5231)。
【平井美智子】




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