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生前最後のライブは石巻 日本代表するドラマー 村上“ポンタ”秀一さん

心許す男性2人の縁で

 日本を代表するドラマー、村上ポンタ秀一さんが3月9日に70歳で亡くなってきょうで1カ月。最後のライブは、昨年3月27日に石巻市鹿又のライブハウス「Ns(エヌズ)スクエア」で行ったセッションだった。直前の11日にも同市穀町でライブ。大御所が特別な思いを寄せていた石巻市には、2人の男性との深く熱い交流があった。【本庄雅之】

 ポンタさんに、弟分のようにかわいがられたのは、山下町で写真館を営みながらギタリストとしても活動する鈴木文人さん(48)。震災の数年前、岩手県奥州市を拠点にしていたミュージシャン、タマ・チャールズさん(故人)から紹介され、知り合った。

note用ポンタさん最後の石巻ライブを語る鈴木さん

 「誰か一緒にやりたいやついるのか」。披露したギター演奏を気に入ったポンタさんから声を掛けられ、ブルースシンガーの近藤房之介さんの名を挙げると、その場で電話して共演スケジュールを決めてしまった。「独学で失敗しながらやってきたスタイルを感じ取ってくれたのかな」と鈴木さんは思い返す。

 それ以来、気の置けない仲になった。震災後は石巻市のためにポンタさんが超一流のミュージシャンとバンド「POINTER BROTHERS」を結成。毎年のように3月11日のライブに駆け付けた。

ポンタさんが鈴木さんの息子・大登うんにプレゼントした特注ドラム

ポンタさんが鈴木さんの息子・大登君にプレゼントした特注のドラム

 打ち上げの席では医師から止められていた酒をこっそり飲んだポンタさん。「文人、焼酎をこれに入れてもってきてくれ」と甘えたという。昨年3月11日の終演後はカラオケで「悲しい色やね」を披露。鈴木さんは「酒を飲んだのも歌ったのも石巻だけでしょう」と密かな自慢の種だった。

 「見た目もかっこよかったけれど、ぶれない姿勢が男としてかっこよかった。何を言っても優しさと品があった。葉巻を吸ってもソフトクリームを食べても絵になる。あんな人はもういない。神様以上の人だった」と惜しんだ。

note用ポンタさん最後の石巻ライブを語る遠藤さん

 Nsスクエアのオーナー遠藤信和さん(49)は、鈴木さんとの縁でポンタさんとつながった。平成24年、ジャズピアニストの山下洋輔さんらと初めて出演してもらった。アコースティックな音響を重視していた遠藤さんは、ポンタさんに「大きな音でたたかないでね」と注文。「わかってるよ」と言って本番に臨んだポンタさんのドラムは、想像以上に素晴らしかった。遠藤さんは「相手の楽器とバランスをとって、大きくないのに(心に)届く。ちゃんと音楽をやってくださる方だった」としみじみ。

 以後、毎年訪れるようになり、ウッディなライブハウスを「サイコー、理想の音だよ」と絶賛してくれた。

ポンタさん最後のライブ

ポンタさん(右端)の最後のステージ

 酒を飲むことができた時期を知る遠藤さんは「酒好きの優しいおんちゃんだった」と振り返る。ライブは夜なのに午前中に楽屋入りし、いつも同じ場所で楽譜を書いていた姿が忘れられない。

 サックスのユッコ・ミラーらとの最後のライブは、コロナ禍の中で、わずか十数人の観客が楽しんだ。ポンタさんは病気の影を感じさせず、「楽しそうだった」という。


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