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安全安心とにぎわい期待 旧北上川河口部 復旧復興完成式 ブルーインパルスが展示飛行

 東日本大震災後に石巻市中心部の旧北上川河口部で整備が進められてきた堤防が先月末に完成し、記念の式典が23日にマルホンまきあーとテラスで開かれた。堤防整備は市が行う復興のまちづくりと一体で進められ、景観や市民の利活用に配慮。関係者は安全安心の向上だけでなく、水辺からのぎわい創出に期待した。中央地区の堤防一体空間では一般向けイベントが開催され、航空自衛隊松島基地所属のブルーインパルスの展示飛行が節目に花を添えた。

関係者がテープカットとくす玉開披を行った

 式典は「旧北上川河口部復旧復興事業完成式」として堤防整備を行った国交省東北地方整備局と、堤防を生かしたまちづくりを進めてきた石巻市が主催し、関係市町の首長や町内会長ら約100人を招待。主催者のうち齋藤正美市長は「地域の安全安心と暮らしの向上が図られた。国と市が連携したかわまちづくりはこれからが正念場であり、しっかりと取り組んでいきたい」とあいさつした。

 同整備局北上川下流河川事務所の石田和也所長が平成25年1月に工事着手した堤防整備の経過報告後、河口部の変化を見守ってきた地元(株)街づくりまんぼうの苅谷智大さん(36)と、川沿いの大橋地区出身で仙台市のコンサル会社勤務の鈴木皓達さん(25)が、にぎわいづくりへの期待を発表。最後に主催者と来賓代表でテープカットとくす玉開披した。

完成式に合わせ、旧北上川上空をブルーインパルスが飛んだ

 川湊(かわみなと)として発展してきた市中心部は河川堤防がなく、震災では川をさかのぼった津波が市街地に浸水被害をもたらした。そのため国は河口から曽波神大橋まで両岸合わせて約15キロで洪水、高潮にも対応する海抜7.2―4.1メートルの堤防整備を計画。140回以上の説明会を重ね、233戸、98社の用地協力を得た。総事業費約1100億円。中央地区では高さ4.5メートルの堤防と一体的な広場が整備された。

 これにより、下流河川事務所が行ってきた震災の復旧復興事業は全て完成となった。【熊谷利勝】


川散歩で風景楽しむ 海の駅記念クルーズ

 「北上川クルージング」が23日、石巻市南浜マリーナ発着で行われ、参加者が東日本大震災の復旧復興事業で変化した河口部の風景を船から眺めた。

 同マリーナが先月末、国から「いしのまき海の駅」として認定されたことを記念したイベント。5便出航し、それぞれ事前予約した20人前後が乗り込んだ。

川だけでなく外洋から石巻市中心部を眺めることができた

 市職員らの説明を受け、新たにできた河川堤防や石巻かわみなと大橋を川から見学。船は中瀬の東側から内海橋の手前で折り返し、外洋にも出た。この日は旧北上川復旧復興事業完成式の日であり、午後1時の便は水上から上空のブルーインパルスを見られる貴重な機会となった。

 大崎市鹿島台から石巻市出身の母親らと乗船した富山安慈さん(11)は「堤防に緑が多く、カモメやブルーも飛んでいてきれい」と初のクルージングを満喫していた。【熊谷利勝】


新たな交流拠点に集う かわまちパーク
北上川のかわべであそぼう!

 北上川河川堤防の完成を記念した「北上川のかわべであそぼう!」が23日、堤防一体空間のかわまちオープンパークで開かれた。カヌーの乗船体験やプレーパーク、出店も並び、にぎわいを生みだしたほか、航空自衛隊松島基地所属のブルーインパルスも展示飛行で祝った。

 北上川河川堤防の完成式典に合わせ、(株)街づくりまんぼうが主催した。堤防一体空間に設けられたミニプレーパークでは、輪投げや竹馬、けん玉などが並び、子どもたちが昔遊びに触れ、親が手本を見せるなどした。

堤防一体空間は多くの人でにぎわった

 また、雑貨の販売やキッチンカーもにぎわったほか、対岸の中瀬ではカヌーの乗船体験もあった。樋口心春ちゃん(石巻小2年)は「普段は堤防を散歩したりするけれど、きょうはけん玉で遊べてすごく楽しい」と話していた。

 堤防完成を記念して6機のブルーインパルスが旧北上川の上空で展示飛行を実施。一糸乱れぬ隊列で高度な技術を披露し、集まった多くの人たちを楽しませた。【渡邊裕紀】




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