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子ども食堂に県産米提供 水産は販路、消費拡大へ 

 ―知事選では「富県宮城」を支える県内産業の持続促進を掲げていたが、コロナの影響で米価、魚価低迷にあえぐ農漁業をどのように支えていくのか。

 村井嘉浩知事 まず令和3年米の概算金は、人口減少や食生活の変化といった要因に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大で、業務用米を中心とする需要の低迷が重なったこともあり、大幅な下落となった。

 県では農業者の営農継続に向け、相談窓口の設置や制度資金の周知など必要な支援に努めてきたが、東北農政局が公表した東北の作況指数は「やや良」となるなど、余剰米の増加が危惧されていることも踏まえ、総額10億円におよぶ米価下落対策関連予算を昨年11月、県議会に提出した。

一次産業への支援を語る村井知事

 ―中長期的な展望も踏まえた具体的な支援策は。

 その予算は収益性の高い農業への転換を図り、安定した営農の継続を支援するためのもの。中長期的には園芸作物や飼料作物などへの作付け転換に要する生産資材費、機械施設の導入経費を支援するほか、「金のいぶき」など一般的な主食用米とは異なる需要を持つ品種の作付けを推進していく。

 また、本年産米にかかる消費拡大に向けた取り組みでは、インターネットを活用した販売支援や家庭向け商品の増量による需要喚起策に加え、販路拡大を狙ったキャンペーンや子ども食堂への県産米の提供も進める。このような米価下落対策を総合的に講じ、農業の持続的発展を支えていきたい。

 ―特に漁業は海洋環境の変化、燃油高騰にある。震災の影響で水産加工業は販路が戻らず、グループ補助金で復旧した施設整備や震災前後の二重ローンが重荷になっている。

 気候変動でサンマやサケなどの冷水性魚種が減少し、ブリ、タチウオといった暖水性魚種が増加するなど震災前に比べ水揚げ魚種が変化しているほか、コロナ禍に伴う消費低迷、燃油高騰で水産業界は厳しい環境にある。

 このため、県は海洋環境の変化に対応した持続的で収益性の高い漁業、養殖業の確立や燃油高騰対策に取り組むほか、首都圏での大規模商談会、オンライン商談などで新たな販路開拓と拡大、水産物の消費拡大支援を通じ、水産加工業を支援している。

 昨年度に策定した第3期水産基本計画の中で、水産業の10年後の姿を「環境と調和した持続可能で活力ある水産業」とし、令和3年度からスマート化や輸出促進、活力ある漁村地域の創出、ブルーカーボンの推進など各種施策を展開中。これらを通じ、自然環境、社会変化を乗り越えて活力ある水産業を目指していく。

 ―東京電力福島第一原発事故の多核種除去設備等処理水が海洋放出されれば、風評への影響は避けられない。

 関係団体からは「消費者、農業者、国際社会において十分に理解されている状況ではない」「海洋放出以外の処理方法を検討するよう求める」との意見、要望がある。県内事業者に不利益が生じることがないよう、「処理水の取扱いに関する宮城県連携会議」を通じ、国や東京電力に直接声を届ける。【外処健一】

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