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死にたくなった夜に

自己紹介代わりに、自分の頭の中をちゃんと言葉にしようと決めた日のことを書きたいとおもいます。

わたしが持つ素質として、失敗することが極端に苦手というのがあります。
同時に極度の心配性でもありますが、これはそもそも失敗をしたくない気持ちに起因していることが多いです。

一方で、わたしの抱えている“不注意優勢型ADHD”というのは本当に失敗が服を着て歩いてるようなもので、更にはひとつの失敗から学ばず同じことを繰り返します。何度も何度も。
そして、毎回失敗した瞬間に、以前も同じだったということを思い出します。
失敗した記憶はたしかに蓄積しているのに、一向に改善へ至らない、そういう自分を思い知るたびに絶望してきました。

個人の絶望の深さは測れません。
ただ、きっと、わたしは世間一般のひとたちより、頻度も深度もかなり大きいのだと思います。
一般的な表現に当て込めば「とても落ち込みやすく」、言い換えれば「ごく簡単に、死にたいほどに辛くなる」のです。

1月5日、まだ本当に最近のことです。
わたしはその日が仕事始めで、仕事はやっぱり捗らなくてうんざりしつつも、いつもどおりの範疇でした。
それなのに、1日も終わりに近づいた夕方、夫の帰宅時間を誤って思い込み、その思い込んだ時刻になっても戻らないことをきっかけに、急激に気分が下降していきました。

遠くない過去に、同じような状況で帰宅した夫に理不尽な対応をしてしまったことを、わたしは確かに覚えていたのです。
それでも、ほとんど同じことを繰り返してしまいました。

夫は温厚でめったに不機嫌にはなりません。表に出さないだけかもしれませんが。
けれどその日、夫はかなり長い時間黙り込んでいました。
それは傷付いて塞ぎ込んでいるサインで、その原因は明らかにわたしの失敗にありました。

わたしは沈黙に耐えられず、謝り倒したり、自分の感情を訴えたり、とにかくどうにかして反応を返してもらおうと必死になりました。
我が子の世話すらおろそかにして、そこまで必死な自分の愚かさに気づいてしまうのがまた堪らなく嫌で、どうにかしてもらいたくて、足掻いて空回ってそして、疲れてしまいました。
とてもとても疲れてしまいました。

こうなることは初めてではありません。
けれど、さすがに頻繁にあることでもありませんでした。


結局1日が終わっても、こころは最底辺を彷徨っていました。
寝るに寝られず、家族が寝静まったあとも、どうすればよかったんだろう、という自問自答を延々続けました。

わたしはいまだに正しい反省の仕方を知りません。
反省の仕方を知らないから、頭のなかでとにかく自分を責めて責めて、それだけで満たして、それこそ死にたくなるまで続けます。
そうすると、そのうち悲しい辛い苦しい気持ちが飽和する瞬間がやってきます。
頭の中がぱーんと弾けて、なにがこんなにかなしかったんだっけ、と思い出せなくなって、やっと楽になれます。
わたしが二十余年続けてきたやり方です。

これは、たぶんかなり間違ったやり方です。
他人には絶対におすすめできません。


ただ、このときひとつ、いつもと違うことを試しました。
飽和する前の頭の中のぐるぐるを紙に書いてみたのです。
とりとめなく書き殴るうち、読めないようなぐちゃぐちゃの字で、しにたいと文字にしていました。
最底辺まで落ちたときの気持ちを言語化すること、それ自体は何度か試してきましたが、ここまでストレートに文字にしたのは本当に人生で初めてでした。

あぅあぅと情けなく嗚咽しながら書いたものを眺めて、ああ、このままじゃ本当にまずいな、と自分の冷静な部分が呟きました。
同時に自分の意思じゃないみたいに体が動いて、夫が寝ている部屋に駆け込んで、夫を起こして更に泣きました。

このとき自分が何を言ったか、夫に何を言われたか、正直ほとんど覚えていません。
いつもと同じように、もしかしたらいつも以上に、とりとめなくたくさん謝っていたような気がします。

このときのほんの少しの記憶のうち、できないことをもっと言葉にして欲しい、分かりやすく伝えてほしいと夫に言われたことを、これからもずっと忘れたくありません。
だから、こうして文字にすることにしました。

死にたいという言葉は本当に本当に重くて、それを表に出すことは絶対にしてはならないと、いつの頃からか自分に課していたようです。
実際、今もものすごく抵抗を感じていて、文字として書くことはできても、これを音読することは生涯ないでしょう。


それでも今回、こんな直球のタイトルにしたのは、自分の頭の中をできる限り正直に言語化すると誓った結果です。

もちろん、本当に死ぬしかないと思ったことは、これまで生きてきて一度もありません。
こんなに暗い長文を書いたあとで、説得力は皆無ですが、わたしは生まれたときからずっと幸せ者なのです。

おしまい。

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