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どこかへ


迷ってばかりの人生だ。
ことばよりも、ことばのとおりに。
何事にも惑わされず自分で決断できたことなんて、もしかしたら1つもないかもしれない。

むすめにとってのお母さんで。
夫にとっての妻で。
親にとっての子で。
友人にとっての友人で。
同僚にとっての同僚で。

あるべき自分をあるべきように。
描いたかたちに、収まるように。
いつもいつも借り物の価値観のうえで、背伸びをしている。
できもしないことを、できるふりばかりしている。

ふと気づけば何者でもない、何者にもなれていない。
そういう自分が心底嫌いだと思う。


人は螺旋状に成長していくといくけれど、わたしの螺旋はちゃんと上を向いているのだろうか。

上に向いていないのだとしても、立ち止まっているよりは前に進んだほうがいい。
そんなことは知っている。
分かってはいるけど、身体は重く、気持ちは淀む。


それでも、いつか、どこかには行こうとおもう。

ままならない身を引き摺って、ここではないどこかへ。


いまはまだ知らない、どこかへ。




おしまい。