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9年前に観たロックンロール

木曜日の16時。ここ数日、いつもなら終わっている時間に仕事が終わらない。夜に出かけたい予定があっても誰かとの約束じゃない限り「行かなくていいや」と思う瞬間が増えてきた。

昔は絶対に前売りで買っていたライブのチケットも、1人で行くなら"行かなくなる可能性"をまず先に考えて、買わなくなってしまった。
だから、ライブに行く回数が圧倒的に減った。ライブばかり行ってた頃の自分と比べたら大人になったのかもしれない。でも、なりたい大人にはなれていない気がする。

やりたい仕事を始めて2年以上が経ち、やっと基盤ができてきた。"安定"と呼べない仕事ながらも、なんとか安定したお給料をもらい、暮らし方を考える余裕ができた。

あとは行動をするだけ。だから、この日は間に合ってなくても、約束がなくても、行かなきゃ行けなかった。
書き終えていない文章が残るパソコンに目をやり、仕事を一旦やめ、行かなきゃいけない場所に向かう。

ライブハウスについたのは開演10分前ぐらい。

ドリンクカウンターで引き換えた氷結を手に、後ろの壁にもたれた。木曜日の18:50。人はまばらで見渡しが良かった。
平日のライブハウスは前4.5列に人が集まっていて、真ん中がガラ空きで、壁にもたれて開演をまつ人が結構いる独特な空間。

観に行ったライブはザ50回転ズの対バンツアー。この日の対バンは忘れらんねえよだった。

この日、どうしてもここで観ないといけなかった理由がある。
このライブが大阪に住んでいる時に観る最後の50回転ズのライブになるからだ。

引っ越しまでにまだ時間はあるけど、他のバンドをこっちにいる間に観たい。と、月1で予定を入れると、6月21日が最後に観れる日になった。
「まだ先になるな」と思った引っ越しが、少しずつ近づいている。

ザ50回転ズを初めて見たのは15歳の時。人生、初めてみたライブ。そこで衝撃を受けてライブの楽しさを知り、音楽と共に歩む人生が始まった。

高校生になり寮生活を始めた初日、自己紹介の時に「50回転ズというバンドが好きです」と言ったら、先輩から「何回転だった?笑」といじられた。どんなバンド?と、気になってくれた同期が曲を聴いて好きになってくれた。

当時、私が使っていたピンクの携帯のメールアドレスは「...50sp@〜」で、50回転ズとガガガSPが好きだったから、そんな設定をしていた。

サンボマスターよりも先に好きになり、ハマったバンド。むしろ、人生で初めて好きになったバンドがザ50回転ズ。

待ちに待った50回転ズのライブ。レポートをする気はないし、どんな曲をどんな順番で歌っていたかなんて何も覚えていないけど、「やっぱりかっこいいなあ」と思った。最近「やっぱり◯◯だ」って感じることが多いけど、そのほとんどが自分を肯定できるような想いになることが多い。好きになってよかったな。そんな想いの中には"好きになれた自分"を誇りに感じる想いがある。

『WEARETHEKIDS』が流れて、頭の中は現実と向き合えなかった高校1年生の秋に戻った。あの時大切にしたいと思った好きなフレーズは、大人になった自分の未来に希望を抱くため。
いや、そこにしか逃げ道がなかったから、好きになったフレーズ。

あっという間の時間だった。

ライブハウスの外に出たら少し肌寒くて、何故だか音楽を通して出会えた人たちの顔が、頭の中に浮かんできて、またいつか、どこかで会えたらいいな。なんて思った。

次、50回転ズを観るのは10月の石川ワンマン。ワンマンを観に行った次の日に家を決めに行く。 ライブが優先。

なんだか、自分らしくて良いなって思った。

大切な時間をいただきありがとうございます◎ いただいたサポートで、サスケにチュールを買います。