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久しぶりのデパ地下に思い出す一冊の本

久しぶりに仕事で市内に出る機会があったので、帰り道にデパ地下に寄ることにした。もともと今日は、「秋コスメを買えたらいいなあ」と思っていたけれど、実際デパートに行くと、無意識にB2Fに進んでしまう。

こういう状況だから「混雑」がいいものではないと分かっていても、デパ地下特有の混雑だけは、人込み嫌いの私が唯一嫌いになれない混雑だ。

入口に入れば、もうそこは宝箱みたいにキラキラしていて、目に飛び込んでくる、大きな果実のフルーツタルトに、ひとりでは食べきれないだろうなと苦笑いしてしまうパフェ。ショーケースをちらっとのぞけば、ニコッと笑いかけてくれる店員さん。口元はマスク、目元はフェイスシールドでおおわれているけど、にこやかな顔でほほ笑んでくれていることが伝わってくる。

デパ地下の中でも、とくに私が好きなのは、洋菓子と和菓子コーナーのちょうど間ぐらいに置かれている、期間限定のお店だ。

そういえば、2年ほど前の2月に「自分用に美味しいチョコレートでも買うか…」とデパ地下をうろうろしていたら、鎧塚さんが直々にチョコレートを販売していて、ミーハーな私は「とりあえず買う」選択をしたんだった。

家で食べて驚いたのは、高カカオチョコレートの美味しさと、なぜか「あの店のチョコレートはそんなにおいしくないよ」とわざわざ伝えてきた人の存在だった。世の中には、「それ言わなくてもよくない?」と思うことを、「良かれと思って」伝えてくる人が多い。

多分、私も残念なぐらいに自然とやってしまっているんだと思う。
でも、あの日食べたチョコレートは本当に美味しくて、「私が美味しいと思うなら、それは美味しいに違いない」となぜか心がスッキリした日にもなった。

そんなことを思い出しながら、常設ではないお店のショーケースを見ていく。目に留まったカステラはザラメが大きくて美味しそう。その隣のお店はチーズケーキ屋さん。これもまたまたおいしそう。

どうしようかなあと悩んでいると、大きくはないけれどそれなりの声で「〇〇屋の最後尾はこちらです」と看板を掲げている店員さんが見えた。

新店舗かな?と思ってお店の周りをグルッと歩いてみると、どうやら今日は「中秋の名月」らしい。ここに並んでいる人たちは、みんなお団子を買いたい人らしくて、なぜだか心がとってもほっこりした。

今日が中秋の名月だということを完璧に忘れていた私にとって今日は、「偶然デパ地下に寄ってラッキーな日」になった。

本当はその人気なお店に並びたかったけど、あまりにも混雑していたので今回は諦めて、ちょっと歩くと「たねや」が見えたので、そこで「本日限定」と書かれた「きぬかづき」を購入。

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久しぶりにデパ地下で紙袋を渡されて、ちょっとテンションが上がってしまった私は「もう一軒…」とさっき目に留まったカステラが置いてあるお店に出戻りをして、ショーケースに綺麗に並べられた「生どら焼き」もお買い上げ。レジを待ってる間に、またおいしそうな「芋どら焼き」が目について、気づいたら「すみません。これもください」って言ってた。

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仮設のお店はデパ地下のど真ん中にドンと置かれているから、お客さんの流れや言葉がよく聞こえてくる。さっきのチーズケーキ屋さんの店員さんは熱心にお客さんに商品の説明をしていた。

そんな姿を見て頭に浮かんできたのが坂木司先生の「和菓子のアン」だった。

デパ地下で働く主人公の物語。シリーズ3部作出ていて、どれも面白い。
このシリーズ最大の魅力は、読むだけでデパ地下の活気が伝わってくるところだと勝手に思っている。

ガヤガヤとしていて、みんな楽しそうに、時に真剣にショーケースを眺めていて、丁寧な接客も、せわしないレジ周りも。すべての描写が愛しく感じてしまう。

私はデパ地下が好きだから、この本がとにかく大好きだ。

今日久しぶりにデパ地下に行って、また読み返してみようかなと思った本。
こういう状況でなかなかデパ地下にも気軽に行けない今、ぜひ読んでほしいと思った。

今日は久しぶりに楽しい1日だったので、noteを書いてみた。こうやってダラッと書きたい雑記みたいなものを継続できるといいなあ。

そうだ。今日は家に帰ると、机の上に母がスーパーで買った4つ入りのおはぎが置かれていて、きっと母も同じようにスーパーに行って「中秋の名月」という言葉をみて、自然とそのおはぎを手に取ったんだと思うと、ちょっと嬉しくなった。


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