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長い人生の中の「たった少しの時間」ぐらい好きな場所で暮らしたい

2023年までに直行便が無くなると言われている大阪-金沢間を結ぶサンダーバードに乗車したのは、17時前。本当は16時30発の切符を持っていたけど、遅延に続く遅延で、駅前で約1時間ほど待っていた。

金沢に来た理由は「50回転ズのワンマンライブ」と「家探し」をするため。2日間で数件の家を見て、最後に見た家に住むことを決めた。

しかし、フリーで働く身分なので、簡単に審査が通るわけではなさそうだ。それに、私がこの仕事一本で働きだしたのはちょうど昨年のシーズンオフ(野球)の11月からなので、まだ1年にもなっていない。とにかく出せる物は全部提出して、審査を待つしかない状況になっている。

母が5日の夜から金沢に来てくれていて、一緒に家を観に行った帰り道、少し落ち込んだ気持ちでトボトボと歩きながら色々な話をした。私の言い訳のような話を母はずっと聞いてくれて、とにかく頭の中に浮かんでくる言葉を全部吐き出すことで思考を整理しが「まあ、なんとかなるか」と言う所まで持って行くことができた。母は私の話を遮らずに最後まで話を聞いてくれる。それが一番良いと分かっているのかもだけど、私の話は「自己解決型」などで、頭の中にある言葉を全部話すと、誰からの答えも受け付けないぐらいスッキリしている。そのため、「じゃあさ…」と提案をされるとムッとしてしまうのだ(厄介極まりない)

金沢駅に戻ってご飯を食べると、帰る時間までに2時間弱ほどあったので、母が行きたかった尾山神社に向かった。

金沢の街中を母と歩いているときにふと「あれ、二人でどこか遠出をするのって初めてじゃないか」と思った。二人で旅行に行くことはもちろん、遠出をすることも全く無かった。買い物はたまに行くけど、よく考えたら母とホテルで一泊をするのも初めてで。そういうのって、後から気づくんだなあと痛感させられた。

以前「移住しよう」と思ったときのことを書いた。仕事が落ち着いてきたことや、住みたい場所で暮らしたい想いが強くなったことが原因で「移住」の二文字を選んだ。選んだ時は、移住の意味を調べても出てくる

いままで住んでいた住居地を去って新しい住居地を求め,永久的な家庭をつくること

という「永久的に住む場所」を金沢にすると本気で考えていた。もしかするとnoteを読んでくれている方の中には薄々気づいている方もいるかもしれないが、私は典型的な「大きな夢を抱きがちなタイプ」で、まずはでかい夢を持つことで自己肯定感を高めている。意識的にはしていないけど、やっぱり「こうでなきゃいけない」という考えが心を苦しめているんだと思う。大きい夢を抱くことは何も悪いことではないけど「~じゃなきゃいけない」と決めてしまう癖を辞めたい。そう思いながら人生を歩んでいるとあっという間に24歳が近づいてきた。

そんな癖を無くせそうなのが金沢な気がしている。金沢に行っていた2日間。私はほとんど音楽を聴かなかった。普段はイヤホンの充電なんて1日で無くなるのに丸二日間音楽を聴かずに、ただ街中の音を聴いて前を向いて歩いていた。当たり前のように思えるこの出来事も、凄く新鮮な出来事になる。

普段は、大体姿勢悪く下を向きながら歩き、音楽はとにかく周りの音が聞こえないように大きい音で聴いている。そんな生活も好きな街で暮らせば少しだけ変えられるかもしれない。

別に人生を変えに金沢に行くわけではない、「よし!新しく始めるぞ」と一念発起をするわけでもない。それでも、ちょっとした生活の凝り固まった癖みたいなものを好きな街で変えることが出来たらいいな…とは思っている。

でも、金沢でずっと暮らしたいのかと考えると、よく分からない。

「移住」という二文字を書いた大きな看板を抱えて船に乗ってみたものの、進行方向が全く見えていないのが今の状態、このまま進み続ければ大荒れの波に巻き込まれて沈没をするかもしれない。船に乗る前に、「じゃあ!一生帰ってこないので!サヨウナラ!」と別れを告げたのにも関わらず、1週間も経たないうちに『何か違うと思ったから帰ってきた』と言ってしまうのが今までの私の人生だった。

そういえば、人生で初めて本格的な占いに行った時に生年月日を見た先生が「あなたは服を買う時にショウウィンドウから見える黒色の服を見つけて、あ!黒色だ!かわいい!!と思って試着もせず購入し、家に帰ってその服を着ると、長袖だと思って買った服が五分袖で驚く人生を送るタイプ」と言われたことを思いだした。

話が逸れてしまいそうなので、ここら辺で元の話に戻しておこう。

今までは何を始める前も「やりきるぞ」とか「何年続けるぞ」と自分で自分に呪いをかけすぎて、最終的にしんどくなっていた。もしこの気持ちのまま金沢に行っていたら、契約が終わるまでにしんどくなってしまっていたかもしれない。場所が良くても、「見えない重たい呪い」には、なかなか勝つことができない。

ただ、家を決めた後、審査のことで落ち込みながら尾山神社に行き、母と前田利家氏に挨拶をした後、母が「今日はお母さんは〇〇ちゃんのことを願ったよ」と言ってきた。やっぱり母は偉大で、頑張って明るく話す私の心を見透かして声をかけてくれたんだろう。その言葉が心にこびりついてた呪縛をスーッと溶かしてくれた。

「今は、金沢に住みたい夢を叶えたい。だからいつまでとかそういった詳しいことは分からないけど、まずは自分の手で叶えられそうな夢を叶えてみたい。だから、引っ越しがしたい」

そう母に伝えると、母は「この神社はおみくじが当たるんだって」と言ってくれた。一緒に引いたおみくじは「中吉」で、願望の欄に「叶うと信じることで願いは現実のものとなります」と書かれていた。そういえば私は「信じる気持ち」みたいなものをあまり抱いたことがない。勝てると最後まで信じるとか、諦めないとか…そういった気持ちをキープさせるのって本当に難しいから。

それでも、今は「なんとかなる、できる」と信じてみようと思う。

長い長い人生なので、何が起こるか分からないからこそ「好きな場所」で暮らしてみても良いんじゃないかな。この仕事がずっと続く補償はないけど、この仕事をしているからこそ手を伸ばせば叶えられそうな夢がすぐそこにあるのなら、モジモジせずに誰よりも早く手を伸ばして掴み取りたい。今はそんな気持ち。






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