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温かさこそが呪いを融かしていく

心無い言葉によってかけられた呪いとか、心の打撲などで心身の状態を崩された方の回復って

立ち会っている感覚では

整体指導は変化のわずかな呼び水だけであって

ご自身の内部で勝手に癒しが発生して笑顔を取り戻されているなあって印象がすごく強い。

カラダが緩んでくると

みなさん勝手に話し始めて、

こちらは合いの手をいれるくらいなのだから。

なので感謝されると

毎回なんだが狐に包まれた気分になる。

いやいやいや、

あなたがご自身の力で癒しをひき起こしたんですよって。


癒しが起きるのは

誰にも言えなかったことが話せたとき起こりやすい。

でもセラピー難民だった方にも癒しが起こるって

なぜなんだろうか。

ただ話せばいいってことではなさそう。


整体指導とセラピーとの一番大きな違いって

ふれて愉気をするってことに尽きると思う。

しかもぼくらは心理療法的な技術は持ち合わせていない。

そこにヒントがあるように感じる。


すごく単純に

技術を尽くした言葉よりも

ふれるほうが温かさが伝わるのは間違いない。


術を使えると、どうしても術を用いて相手に働きかけようとする。


ただ在るだけで、ただ聞いてあげるだけで

相手の中で変容って起こるんだよね。


「レンタルなんもしない人。」が感謝をされるのはなぜか。

飲み食いと、ごくかんたんな受け答え以外、なんもできかねます。

せいぜい簡単な相づちを打つくらい。

価値観を押し付けることもせず、ただそこにいて寄り添ってくれるだけ。


総理の話を聞くだけという仕事の依頼もあったという

便利屋の右近勝吉さん。

総理に限らず、会社経営者などからも話を聞くだけという依頼があったんだそう。

もちろん右近さんに専門知識はなにもない。

余計なことをせず、聞き役に徹するだけ。

批判や先入観なしに、話を聞いてくれる人が目の前に在るってだけで

勝手に相手の中で何かがまとまって結論が導かれる。

とっても不思議な過程なんだけど

人前で意見を求められて話した経験があるひとなら

話をすることで、話しながら

自分の頭の中が整理されていくことがあるってことを知っていると思う。


心身が緩むために必要なのは「温かさ」だけど

加えて、見せたくない自分、隠していた自分を解放できるってことが

癒し発生には必要になる。

緩んでから、解放を促すのが

「温かい場」なんだと思う。

そのままで受け入れてもらえる場所

自分のことを変えようとしない場所

自分が否定されない場所


みんなPTSD(心的外傷後ストレス障害)なるものがあると思っているでしょ。

映画監督の龍村さんがダライラマが運営する孤児たちの学校に訪問したときに驚いた。

チベットから逃れてきた、両親を中国軍に殺された子供たち。

その子供たちが屈託なく笑顔で暮らしていることに驚いたって。

だって最もPTSDにふさわしい人たちが笑顔なんだから。


でも滞在していてすぐに笑顔の理由が飲み込めた。

学校はチベット密教の僧侶たちによって営まれていて

その僧侶たちが、分け隔てなく子供たちを抱きしめたり叱ったり

温かく接していたから。


温かい場が、子供たちのこころを凍らせることなく笑顔にしていた。

スキンシップを伴った温かい場にPSTDを作り出さない秘密がある。


こころもカラダもショックな出来事に遭遇すると緊張して強張る。

温かさが伝わり

温かい場に身を置くことができたなら

きっと受けた呪いやこころの打撲は融けていくんじゃないかな。




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