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初体験すぎる。世界には体験しないと分からなかった世界が存在していた。

アルコールが飲めなさ過ぎて

子供の頃は注射の際のアルコール消毒されただけで皮膚は真っ赤になるし

父方、母方ともに下戸なので

法事の際はビールケースがほとんど減らなくて

料亭の方がガッカリしてしまうほど。


最初にビールを口にした時には蕁麻疹が出ちゃったし

大学のスキー部のキャプテンだったので早慶戦などでは

キャプテン同士の一気飲みなどがあった時代だったので

一気飲みした後は漏れなくトイレに直行して吐き出していた。


それなのに役者時代は銀座の酒屋で配達のアルバイトをしていたので

下戸なのになぜかアルコールの銘柄は詳しい。

配達先のバーなどにお店の人に飲みに連れてもらうと

顔見知りなのでだいたいサービスでカクテルとか作ってくれるんだけど

飲めないと聞いてみんな驚いていた。


こんなにカラダが大きいのに嘘だろ〜

そんな顔してるのに飲めないの〜

なぜか勝手に飲めると思われてる率高し。

唯一、配達していた銀座の料理屋の大将だけには

飲めないだろうなって見抜かれてた。

長年、料理屋を営んできた勘なんだそう。


特に日本酒は鼻に近づけただけでツンとくる刺激に

拒否反応が出てしまって

嗅覚の警報アラームが鳴り響いてしまう。


そんなぼくがわざわざ遠方まで日本酒を買い求める旅に行ってきました。

正確には前々から行きたいなぁとブックマークしていた神社の前にある酒屋さん。

日本酒好きが最後に行きつくお店らしい。

そして対面販売のみのお店なんだそう。

日本酒好きの友人が機会があったら立寄って欲しいとほのめかしてたんだけど

友人が日本で一番美味しい日本酒を売っているお店と評価しているのは明白だった。

一体どんなお店なんだろうと興味が湧いた。


そこは本当の日本酒を知って欲しいという情熱を持ったご主人がいるお店だった。

米麹のエキスである生酒、原酒に

一切混ぜない、薄めない

絞ったままの本当の日本酒を飲んで欲しい。

あんまり顧客を拡げたくなさそうな雰囲気。


お勧めのお酒ありますか?って伺ったんだけれど

なぜか急に客が押しかけてきて在庫だけじゃなくって

準備していたものまで売ってしまい底をついたところだと言う。

その日は運悪く売るお酒はないとのこと。

そんな日に訪れた下戸の客がぼくだった。

ご主人は何を思ったか

扱っているお酒を注いでくれて香りを嗅いでみろと言う。


嗅いでみて、まず驚いたのは

日本酒の例のツンとくる匂いがしないってことだった。

ツンがない日本酒ってあるの?

下戸の自分が匂いを嗅いで嫌悪感を感じない日本酒ってあり得ないんだけど。

初めての経験だとご主人にお伝えした。


次に、ご主人は口に乗せてみろとおっしゃる。

警報アラームが鳴らないので

舐めてみようっていう気になった。

ぺろっ。

なんだろう。

全然嫌な感じがしない。

良いものを口にしているなぁって感覚。


ほーう

少なくとも今まで出会ってきた日本酒とは全く違うってことがすぐに伝わってきた。

雑味がなくて

ものすご〜くまろやかなの。


それにしても

下戸である自分のカラダのアルコール感知センサーが警報を出さないってことに驚く。

それは人生初の出来事。


2種類の日本酒を舐めさせてもらった。

度数が18%と21%のやつ。

通常の日本酒は15%なのでアルコール度数は高い。


それなのにアルコール感知センサーが警報を発しない。

普段ならアルコールを摂取すると頭痛がしてしまうので

しかも旅先でなんか絶対に口にしないんだけど。


アルコールに対して初めて抱いた感覚だった。

その人生初の驚いている感覚と感動を正直にご主人に伝えてみた。

下戸の自分にはあり得ないことが起こってるって。


すると

ご主人にドヤ顔で返されました。

これが本当の日本酒なんだって。

混ざりものなしのねってね。


1時間に電車が1本しかないんだけど

帰りに乗ろうと思っていた列車はとうになくなって

ご主人と1時間以上話し込んでいました。

下戸の自分が

日本酒に人生をかけているご主人と話し込むって

人生って何が起こるか分からないよね。


気がついたら

下戸のぼくをご主人の顧客リストに加えていただけることに。

そして友人が日本で一番美味しい日本酒だという

飲みたいと切望していたお酒を後日分けていただけることになりました。


アルコールを受け付けない体質のぼくが飲める日本酒が存在するなんて

考えたこともなかったよね。

世界には体験しないと分からないことがあるんだってことを

教わった旅となりました。







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