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道端で、いわむらかずおさんとお会いしまして・・・


この、夢のような本当の1日を、忘れない。


プロローグ

 一度は開いたことがあるであろう絵本。

14ひきのおつきみ、

14ひきのさむいふゆ、

14ひきのせんたく・・・

私も、小さい頃に母から

何度も読み聞かせをしてもらっていた。

どんな絵本が好きですか?と聞かれたら

真っ先に思い浮かべる本。

その作者、いわむらかずお先生との

おはなし。


朝の散歩で、
 ひょっこり、いわむらかずお先生?


今年の夏の初め頃、

「14ひき」展のお知らせを見つけて、

どうしたら行けるだろうかと考えていた。




9月下旬。

思わずとれた、3連休。

これは行くしかない。

前日に那須塩原まで向かう。





待ちに待った日。

「14ひき」展に行く当日の朝、

7時50分のバスにのって、約40分。

美術館最寄りのバス停で降りる。

そこから、タクシーを使って

いわむらかずお絵本の丘美術館へ。




現在時刻、午前8時57分。

開館まで、あと1時間くらいあるので

美術館周辺を散策してみる。

あ、こんなところに!

里芋の葉っぱ??

これはなんの花?

もしかしたら、

14ひきの家族が

ひょっこり顔を出してくれるかも。

なんてことを考えながら、歩いていると、

目の前に、ゆっくりゆっくり歩いている方が。

その方は、ちょっと立ち止まって

ぐいっと伸びをしたり、

足を前後に開いてストレッチ。

後ろから歩いてきた私は、追い越す瞬間、

「おはようございます。」と挨拶をする。

「おはようございます。」と返ってくる。

顔を拝見して、

とんでもないことに気がついた。

この方、もしかして。

まさか、、そんなことあるわけないよな。

いや、でも、やっぱり!!

あまりにも急な出来事で、頭が混乱する。

だって、目の前に

14ひきの作者、いわむらかずお先生が

いらっしゃるんですもの。

何から話せば良いのかも分からず

「ずっとここに来たくて、、、。」と

かろうじて伝える。

いわむらかずお先生は

腕の時計に目を落とし、

「もうすぐ、(美術館)開きますよ。」

と仰った。



2度目のご対面は「とんぼいけ」で

10時何分か過ぎた頃。

いよいよ、美術館の中へ入る。


3つの部屋に分かれた展示室。

壁に展示されている絵の下に

「とんがりぼうしは9つある?」

※記憶を辿ってこの文を書いているので、実際の言葉とは異なるかもしれません。


なんて、クイズも。

絵本をめくってクイズを解いたり、

原画を間近で見たり、

とんがりぼうしゲームのボードに触れてみたり。

「14ひき」の世界に没頭する。



どれくらい時間が経ったのだろう。

「とんぼいけ」の絵を見ていた時、

右側から、いわむらかずお先生が来られて

目が合うと

「先ほどの・・・」と声をかけてくださった。

いわむらかずお先生から

声をかけてくださるなんて

本当に、起こり得ることなんだろうか。

今でも信じられない。

先生は、

「どこから来られたんですか?」

「〇〇から!!大変でしたね。」

「実際に見てどうですか?」

と、話かけてくださって。

終わりに

「ゆっくり見ていってください。」と。


これだけでも、夢のような話なのに

まだまだ、続きがあるんです。


3度目は、カフェの席で


3つの展示室を思う存分堪能した後、

館内のカフェに向かう。

そこで、季節のジャムのスコーンと

紅茶を注文する。


数時間前に、展示室で

いわむらかずお先生にお会いしたのだが、

感謝の気持ちを伝えていなかったことを

とても後悔していた。

だから、

カフェの店員さんにダメもとで聞いてみた。

「あの、今日、

いわむらかずおさんにお会いできますか?」


すぐには、お会いできなかったのだが、、。



スコーンを食べ終え、

会えないなら、お手紙で気持ちを伝えよう

と紙に下書きをしていたところ。

「来られましたよ。」とカフェの店員さん。

いわむらかずお先生は、

私の席の左斜め前に座る。

またまた、頭は大パニック。

しどろもどろになりながら、

伝えたいことを言葉にする。

いわむらかずお先生は、

目を見て真剣に話しを聞いてくださる。

小さい頃、何度も読みきかせしてもらったこと。

くんちゃん(14ひきかぞくのリボンつけた子)を身近な存在に感じていたこと。

そして、

ページをめくりながら、とっくん(14ひきかぞくの末っ子)を探していたことを話した時、

「とっくん、トラックってね。」

と相槌を打ってくださった。

いわむらかずお先生の口から

「とっくん、トラック」が聞けるとは。

感謝の気持ちを何度も伝え、

カフェでのお話しを終えた。


最後の寄り道、行き止まり

まったり過ごした後は、

タクシーが迎えに来る時間まで、

思う存分、好きな原画を見つめ続けた。

14時45分頃、外に出る。

最後にちょっと寄り道をしたくて

美術館の裏の、くさっぱら展望台へ向かう。

看板の向こうに足を踏み入れた時、

いわむらかずお先生がこっちに向かって

歩いて来られるではないか。

「今日は、3回?4回会いましたね。」

と、先生。

本日4度目のご対面。

寄り道したら、お会いできた!!

私は、これは最後のチャンスだと思い、

ちょっと気になっていたこと、

「本のカバーと表紙の絵がなぜ違うのか」を

尋ねた。

上が表紙、下がカバー




すると、先生は

「〇〇〇〇〇でしょ?」と一言。

思わず、こくりと頷いてしまった。

先生は何て答えてくださったと思いますか?





別れ際、

(この先にある大きな木に)
「胡桃がなってましたよ。」


と教えてくださった。


いわむらかずお先生と別れた後、

なぜだか、突然涙が溢れてきて

ぼやける目をこすりながら

胡桃の木を探したのだった。






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