僕が詩人になったわけ

詩人になりました。うん。反応がない。どうも思いつきでいろいろやる人だというイメージがついていて、詩人になったくらいでは反応してもらえないらしい。

「プログラマー35歳定年説」というものがある。体力的に若い人と勝負できなくなったり、これくらいの年齢からマネジメント職を任されるようになったりするということらしい。ところが社内には僕にマネジメントをやらせようという冒険心を持った人がいない。むしろ誰も宮崎をコントロールすることができないんじゃないかという説さえあるらしい。そんなわけで、36歳になった今でもまだプログラムを書いている。まじめに。それでもせっかく定年があるのだから、プログラマー以外の職種を体験してみたいという気持ちが出てきた。デザイナーだとか営業職だとかいろいろと検討した結果、詩人がいいんじゃないかという結論に至った。そもそも詩とはなんだろうかとWikipediaで調べてみると、詩には様々な形式があってもはや何が詩なのだかわからない。とにかく詩とは自由なものだという解釈をすることにした。つまり詩人とは自由人だ。自由に生きたい自分にぴったりだ。

詩人になったからには、詩人っぽい名前にしたい。宮崎ひび、に改名した。Facebookの氏名を変更する。会社のメンバー紹介ページの名前を変更し、勝手に肩書を詩人に修正する。ドメインを取得してオフィシャルサイトも立ち上げる。個人的に依頼して会社のメールアドレスを変更してもらい、新しい名刺を自腹で印刷する。髪も金髪だし詩人っぽい。さあ、これで公私ともに詩人になった。あとは詩を書くだけなんだけど、それは後回しにする。まあ、飛べない豚はただの豚だし、書かない詩人はただの詩人ということでいいんじゃないだろうか。

詩人になって何が変わったというと、圧倒的に自由になったことにつきる。それまでは自分はプログラマーだからという枠にとらわれてたように思う。例えば作りたいアプリがあったときに、これまでだったら自分で作ろうとしていたのだけど、詩人なのだから自分で作る必要はなくなった。そのアプリを世の中に出すことが重要なのであって、誰が作ったのかは問題ではないと考えるようになった。また、自分で作るにしてもプログラマーとして見えないプログラムの部分まで自己満足できちんと作らなければならないという考えからも開放された。それに、プログラミング以外でも、詩人なら企画でもデザインでもアートでも何でもできる。それを詩だと言ってしまえばいいのだから。

詩人としてちょっとした、本当にちょっとしたものだけど、ネタ作品をウェブに公開している。東京の採用イベントでうちの役員が、僕の作品を見た人から「あの作品を作ってる会社ですよね?」と声をかけられたという話がおもしろすぎる。そんな感じで公私混同していけば誰もがハッピーになれるんじゃないだろうか。

※ 会社員時代に書いた文章です。

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