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もっと、ありのままに

ほんの2週間ほど前、私は、自分の担当していたお客様に退職の連絡をしていました。メールでいいですよ、と上司に言われていたものの、何度かやり取りしたお客様に対しては自分の口から伝えようと、電話をかけていました。

そんなお客様のうちのお一人とお話ししていた時のこと。

「次は決まっていたりするの?」

退職に対する驚きの反応の後に尋ねられたのは、もう何度聞かれた分からない、この質問。「いえ。でも、やりたいことは決まっています」と私は答えました。

退職の連絡の時って、どこまで話すのが正解なんだろう。頭の片隅では戸惑いながらも、私は全てを話しました。何となく、言葉を濁すのは嫌だなと思ったのです。

すると、「あなたの記事は、どこかで読めるものなの?」「私に力になれることはない?」と、思ってもみなかった反応が返ってきました。

「本当にプライベートの話になるので恐縮なんですけど」と前置いて、私はnoteのアカウントをお伝えしました。すぐにその場で調べてくださったのでしょう、「よかった、ブロックされなかった」という安堵の声に続いて、私のプロフィールが読み上げられました。

「そう、それです」と、読んでくださることを嬉しく思いつつも、ふと頭によぎったことを私は口にしました。

「でも、何だか恥ずかしいですね。知っている方に読まれるって思うと、書くのも緊張します。本当に色々、書いているので……。これから何を書いていいのか、分からなくなりそうです」

「あ、ダメよ。書きたいことを書いて、思うようにやらないと」

この人が読むからとか、この人にどう思われるかとか、そんなことを気にして書くようになったら、せっかくのものが台無しになってしまう、というのです。書きたいことを書かないとダメ、ときっぱりと(愛を持って)言われたことで、私もすとんと納得しました。

ありのままに語りたくてnoteを始めたのに、変に遠慮したらダメだ。

そこからは、ビジネスモードもそぎ落とされて、私も彼女も、大いに語り合いました。彼女の人生の話を聞きながら、偶然の出会いがもたらしてくれたこの会話に、私はひっそりと感謝していました。

というのも、私が担当するお客様は、誰かから引き継いだわけではない方がほとんど。このお客様も、展示会でたまたまお会いしたのが最初の出会いでした。だから、彼女との会話で交わされた言葉は、神様か世界がくれたプレゼントのように、私には思えたのです。

言葉の力、重みは経験あってこそ。言葉は、経験から、その人の心から出るものだから

何度か伝えてくださったこの言葉に応えるように、「もっともっと経験します。それを言葉にし続けます」と言って電話を切りました。電話をかけてから、25分も経っていました。


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退職を機に、お客様や会社の方にもこのアカウントを伝えたり、最近は親戚や母の友人にもこのnoteを読んでいただいたりしています。

知っている人に読まれるのは、正直緊張します。

それは、文章に自信がないから、というわけではありません。理由は、ここでは本心を話しているから。本音を書いているから、怖いのです。

人の目を気にせず、自分らしく、なんて、口で言うのは簡単です。でも、実際には、人にどう思われるか怖いのです。だから、ペンネームで書いてきた側面もあるのだと、最近になって気がつきました。

確かにプライバシーの問題もありますが、それを抜きにしたら、私の一番の恐怖は、自分を知っている人に自分のありのままを見せることだったと思うのです。

ペンネームで書くことで、本名を、本当の自分を隠したいわけではないのです。個人情報をSNS上に載せるのは怖いと思いますが、「元町ひばり」は仮面ではありません。むしろ、本心の自分をさらけ出すための名前です。

そして、心を開きたい相手に伝えたい名前でもあります。

学生時代の私は、自分の本音に自分でも気がつかず、友達にも本当の自分を見せられずにいました。でも、これから出会う人たちには、noteを書いていることを話したいな、と思うのです。

だって、書くことは私の夢の一部。書かれた文章は私の人生を映し出しているからです。どうせなら、それを見せられる相手と一緒にいたいなぁと思うのです。

ここに書いているのは、「元町ひばり」をペンネームに持つ一人の人間の、ありのままの現実です。それは、これからも変わりません。変えるつもりはありません。

読んでくださる人が増えたからこそ。
もっと、ありのままに書いていこう。

退職前にした、お客様への最後の電話が、私のnoteへの想いを新たにしてくれました。


ポニョの町、鞆の浦での1枚。
撮られていることを意識していない瞬間なので、
これからの自分の発信と響き合うものがあると思い、
新しいアイコンに選びました。
これまで会ったことのある方にも、まだお会いしたことのない方にも、私らしさが伝わったら嬉しく思います。


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