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石井光太郎著『会社という迷宮』から学ぶ、経営に”意思”を宿すということ

こんにちは。RELATIONS代表の長谷川です。

自分にとっての読書は、著者の人生や哲学の追体験の時間です。世の中には素敵な人がたくさんいます。著者の独自固有な経験や体験、そして、そこからしか覗くことができない独自の世界観があります。読み進めることで、著者の人生そのものに迫り、片鱗に触れると、その世界観の一部が自分の中にふわっと立ち上がります。そこから自分を見つめなおすと、突然思いもしない気づきが湧き上がる瞬間があります。そんな贅沢な読書の時間がたまらなく好きです。

今回は、今年に入って読んだ本で、これはいいなーと感じた著書を取り上げました。皆様も興味を持たれたら是非ご一読くださいませ。

『会社という迷宮』

RELATIONSと共通する想い

この本との出会いは、たまたまCorporate Directions(以下CDI)という会社の存在を知ったことに端を発します。

コーポレートサイトを読み込むと「新・和魂洋才」という考え方が掲げられていました。「新・和魂洋才」には、欧米思考の日本的な受容のあり方を、日本の経営現場の現実に即して突き詰めることによって、そこに新しい調和を「創造」し、日本の経営の進化に貢献したいという願いが込められています。私にとってドンピシャの関心領域で、共鳴しまくりでした。(笑)

また、もうひとつの共通点もありました。CDIさんでは、会社を「ぬか床」や「おでんの出汁」のメタファーで表現されています。おこがましい話なのですが、実はRELATIONSでも自社=「ぬか床」と捉えているのです。ここに通底する想いがあると勝手に共感しており、親しみを持っています。

いずれにしても、40年という長い期間、この分野を突き詰めておられる会社であり、その深みもある。まさに、学ぶべきことがたくさんある会社だなと感じました。

▼「ぬか床」のメタファーが弊社で生まれたきっかけとなった株主合宿

14の切り口で分析する、”意思の宿らない経営”に潜む要因

そんな経緯から、CDIの創業者の一人である石井さんが書かれた本を早速購入。これもぶっ刺さりました。そして、石井さん自身の、人としての深さと真摯さが伝わってきました。

石井さんは、ボストンコンサルティンググループからCDIまで、一貫してコンサルティング道を歩んでこられている方です。今の社会で認知されているコンサルティングのことからは距離を置かれているのですが、本来的な意味におけるコンサル道を突き進まれた方だなと感じます。

石井さんの一番の論点は、意志の宿っていない経営への嘆きです。

その「意思の宿っていない経営」を、石井さんなりの視点から【戦略】【市場】【価値】【利益】【成長】などの14項目に分解し、嘆きの正体、原因、経営者にとって大切なものを明らかにしていきます。1つ1つが経営において大切なテーマだと感じます。

一つ例に取るとより分かりやすいので、【戦略】パートから石井さんの魂のこもった文章を一部抜粋します。

「戦略」とは、深みを覗いた人間が、そこに見出した何かに挑もうとする強靭な「意志」と「信念」の産物である。

だからこそ、場合によっては、理解されないこともあるが、それがある意味でその深さの証左でもある。それでよいのである。それでもわかる人には、わかる。何が、わかるのか。それは、「構想」の内容の逐一の仔細ではない。それが、本当に深く考え抜かれたものなのか、それともただの思いつきに過ぎないのか、がわかるのである。

それが「意志」のないところに「戦略」はなく、その人間の「信念」に深さがなければ、そこに優れた「戦略」は生まれないということの本質である。

石井光太郎『会社という迷宮』(2022年、ダイヤモンド社)

石井さんが見ている世界観が凝縮されてますよね。
「戦略とは、意志と信念の産物である」と言い切っているのも心地よいです。自社や自分たちの外側を分析することから生成する戦略が昨今よく取り上げられますが、そんなところに答えはなく、自分たちの歴史や経営者の人生観を深く掘り下げたところにあると言っています。内面に宿る「衝動」から戦略は生成されるものである。心理であり、あらゆる経営者の喉元に切っ先を突きつけるような鋭さがあります。戦略を例にしましたが、各パートにその本質が宿る文章がたくさんあり、丁寧に読みほぐしていくことをおすすめします。

▼「衝動」については、私も経営者として最も大切にしていることです。ぜひこちらの記事もご一読ください。

今日はこんなところで。

ええ一日にしていきましょう。


▼もう1冊のおすすめ本はこちら


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