見出し画像

『自然の哲学』(じねんのてつがく)の刊行を記念して、トークイベントを開催します(オンライン)

8月20日に『自然の哲学――おカネに支配された心を解放する里山の物語』を刊行しました。著者は、名古屋大学大学院環境学科の高野雅夫先生です。木質バイオマスやマイクロ水力発電など再生可能エネルギーの技術開発と普及、若者の移住支援を中心とした中山間地再生=里山再生の研究に取り組んでいます。

画像1

自然は「しぜん」と読むのが普通ですが、この本のタイトルでは「じねん」と読みます。じねんとは、「自(おの)ずから然(しか)る」という意味。

高野さんがこの言葉に最初に出会ったのは、哲学者の内山節さんの講演でした。明治以降、natureの翻訳語として「自然」(しぜん)が用いられるようになったけれども、もともとは「じねん」と読み、自然(しぜん)と人間を区別することなく、両者が一体となった世界を表していたそうです。

けれども、いまは、人間は自然(しぜん)と対立する関係となり、技術を駆使して自然(しぜん)を破壊しています。おのずから然る、あるがままであることを許さず、人間の都合で変えていく。その結果、自然は、環境はどうなってしまったのか……。

どんなに環境問題を解決する技術が発展しても、制度が整っても、人々の価値観が変わらないかぎりは、持続可能な社会は築けないのではないか。高野さんはそう思うようになって、どうあれば、自然(じねん)の世界観を取り戻せるのか、里山に移住してきた若い人たちとの対話を手がかりにしながら、思索を深めていきます。それをまとめたのが本書です。

1章では田舎と里山の成り立ちを、2章ではその後、村はどのように変質したのかを明らかにし、3章では田舎の基幹産業である農業や林業の現在と課題を示します。ここまでは里山や田舎を知るための基礎知識的な内容。

4章では、自然の一員であるという意識を人間が忘れたことによって起きてしまった水俣病や福島原発事故を取り上げて生命への責任について考え、5章では生きづらさの原因の一つでもあり、環境破壊の原因でもあるおカネの問題について考察、6章では戦後教育のあり方の問題点を、7章では第二次移住ブームについて分析し、8章では、ある村のプロジェクトに応募してきた若者たちが、村の人たちに受け入れられていく過程を紹介。そして、最終章の9章では今後、持続可能な社会をつくるためのベースとなるべき自然(じねん)の哲学について考えます。

目次などはこちらをどうぞ。

なお、今週は出版を記念して2つのイベントが開催されます。どちらも無料です。里山や田舎への移住などにご興味あれば、ぜひご参加ください。

【第1弾 9月3日12:30からcloubhouseで!】
里山の暮らしについて語ろう!してる人・これからしたい人ー『自然(じねん)の哲学ー―おカネに支配された心を解放する里山の物語』著者高野雅夫×Green Journey 代表/radioDJ 空木マイカが里山の魅力とリアルを語ります。発言・交流あり。
日時 2021年9月3日(金)12:30-13:30
https://www.clubhouse.com/event/P0LogpGN

【第2弾 9月5日14:00~15:30からzoomで】
出版記念トークイベント「里山に暮らす・里山に学ぶ」(オンライン)
高野雅夫(名古屋大学教授)×空木 マイカ(Green Journey 代表)×戸田 友介((株)M-easy代表取締役)
これだけ豊かな国なのに、生きづらさを抱えている人がこんなにたくさんいるのは、なぜなんだろう?どうなればみんなが自分らしく生きられるんだろう?そのヒントを里山の暮らしと田舎に移住してくる若い人たちの姿に探ります。3人のトークの後に、ブレークアウトルームで、参加者どうしの交流も行います(希望者のみ)。
※参加無料(先着100名様)
お申し込みは以下のフォームから。

PC・スマホ共用 : https://ws.formzu.net/fgen/S50994172/
スマホ専用 : https://ws.formzu.net/sfgen/S50994172/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?