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2. 話したいことがなきゃ話せない

いきなりですが、「英語さえ上手になれば、英語を話す人たちと自由に会話が出来るようになるのになぁ~」と思っていらっしゃる方、何人ぐらいいらっしゃいますか?旅行中や仕事上で、英語圏の人たちと話す機会を持った方なら、必ず一度は、そう思ったのではないでしょうか。私も、昔はそうでした。

でも、それは大きな間違いです。

必ずしも「英語が上手」=「英語での会話を楽しめる」ことにはなりません。逆に「英語が下手」=「英語での会話を楽しめる」ことも“有り得る”のです。

ここで大切なのは、「英語が上手になる」=「英語での会話を必ず楽しめる」という思い込みを捨てることです。英語が上手であることよりも、「楽しい話題」や「珍しい話題」を持っている人の方が、実際の会話の中では好まれます。また、英語の上手下手に関係なく、話したいことがなければ、人は話しませんし、会話をする相手がいなければ、通常、話をすることはないはずです。

大切なのは、英語の上手下手より、“会話に参加出来る人”になることです。

「英語が上手になること」ばかりに一生懸命になっていると、言葉は完璧だけれど、話題のない、または、実際の会話の中で「自分の英語ばかりに気を取られて」、会話に参加することが出来ない人になってしまうかもしれません。それでは、せっかく完璧な英語を身に付けても、それを活かす機会がない人になってしまいます。

大切なのは、“下手”でもいいから、“自分の言葉”で会話に参加出来るようになることです。そして、その為には、“自分の言葉で語りたい何か”を持つことです。

自分の得意な話題を持つことは、英会話の中ではとても重宝します。
何語であれ、話したいこと、相手に聞いてもらいたいことがあれば、人は話をしたくなるものです。自分の趣味でも、十八番のジョークでも、何でも構いません。「ちょっと、聞いて、聞いて」という話題を持っていれば、“自分の言葉”にし易いはずです。
面白いニュースや珍しい話題を耳にしたり、目にした時は、メモしておくと良いと思います。コメディアンや噺家になった気分で「ネタ帳」を作って、他の人に聞いて欲しいという話題を常に持っておけば、日本語でも英語でも、会話の中で発言したくなるはずです。

とにかく、“人に話したいこと”を常に持つようにすれば、自然に話す機会は増えます。これは、英語の環境にいても同じです。

豊富な話題を持つという意味においては、人生経験が豊富な方の方が有利です。正しい英語の発音を身に付ける為には、年齢が低い方が有利かと思いますが、英語を母国語とする人たちが興味を持つ話題をどれだけ持っているかという点では、年齢が高い方の方が断然有利なのです。日本の歴史、文化、経済、終身雇用制(※2023年追記:変わりつつありますが…)、冠婚葬祭などに興味を持っている海外の人たちは、意外に多いものです。相手が聞きたいと思っている情報を持っていれば、話すきっかけを得易くなります。こういった日本の話題に詳しくなっておくことも、自分が中心となって、英語で説明しなければならない状況を作り易いので、とても便利です。これについては、次号で詳しく解説することにします。

英語を母国語とする相手が聞きたいと思っている情報を説明してあげる際、英語の上手下手は、あまり関係なくなります
あなたが行ったことのない国のことや、興味を持っている話題を、片言の日本語で語っている外国人の人がいたとします。きっと、あなたは、立ち止まって、自ら耳を傾けるのではないでしょうか。その人の日本語の上手下手は関係ないはず。だって、その話を聞きたいのはあなたなのですから。

ここで、少し本題からは外れますが、話をするだけでなく、周囲の会話についていけるようになる方法を考えてみましょう。

会話の内容が理解出来ない理由を、よく、誤解している人がいるので、一度確認しておきます。英語を話す人の輪に入って話を聞いている時、その内容がさっぱり分からないのは、自分の英語力が足りないからだと思っていませんか?日本以外の国に住んでいる人たちが、その国で誰もが知っているスターの話題やテレビ番組の話題を話していても、その話題を知らない限り、英語力に関係なく、内容は理解出来ないものです。

例えば、日本人同士で会話をしていて、相手の話している内容が、全く分からなかったことはありませんか?自分の興味のない音楽の話題だったり、ルールを全く知らないスポーツの話題だったり、コンピューターの最新技術やゲームの話題だったり。聞いていてもチンプンカンプンだったことはありませんか?私は、以前、留学生のお世話をしていたことがありますが、彼らが新日本語を使って話している内容を聞いて、宇宙の言葉を聞いているみたいに感じたことがあります

その話題を知っているかどうかだけではなく、環境が変わっても、何故か、周りの会話についていけなくなることがあります。日本国内で、転校、転職、新しいサークルや教室に通い始めた時など、周りの人たちが話している日本語が、自分の知っている日本語ではないような気がしたことはありませんか?

いきなり、英語環境の中で、英語を話す人たちの輪に入っても、話題に全くついていけないのは当たり前英語が聞き取れなくても当たり前短期旅行中や短期出張中に、現地の人たちの一般会話がほとんど理解出来なくても、当然だと思って下さい。もし、話している内容を、全く問題なく総て理解出来たという方は、天才的!このメールマガジンの購読は、今回限りで、今後の「技」を知る必要はないと思います。

違う環境下で周囲の会話についていけないことは当たり前であることを理解していただいた上で、チャレンジしていただきたいのは、毎日のニュースをチェックしたり、会話の中に出てきそうな話題を予習しておくことです。少しでも自分の知っている話題が会話の中に出てくれば、分からないのに分かった振りをして“曖昧にうなずく”のではなく、本当に理解出来たという納得顔で“自信を持ってうなずく”ことが出来ます

また、自分の予習しておいた話題が会話に出てくれば、自分の持っている知識を他の人にも伝えたくて、英語の上手下手に関係なく、言葉を発するチャンスも生まれます。「あれ、なんだっけ~」と誰かが困っている時、「あれは**よ」と、ひとこと言えただけで、自分が会話に参加していることを実感出来るものです。上手に発音する必要も、かっこよく話す必要もありません。

本題に戻りますが、とにかく、会話に積極的に参加したり、英語を使えるようになるには、自分の言いたい「何か」を持つことです。
話したいことがあれば、自然に話す機会も増え、話す機会が増えれば、必ず英語を使えるようになります

話したいことが無ければ、たとえ、完璧な英語を身に付けていたとしても、それを自分の言葉として発する必要はありません。逆に、英語が下手でも、どうしても話したいということを持っていれば、無理やりにでも話すようになります。

話したいこと、話す必要があることを持っていれば、英語の上手下手に関係なく、英語を使う機会は得易くなります。また、周囲の人たちが聞きたい内容を持っていれば、たとえあなたの英語があまり上手ではなかったとしても、相手は聞いてくれます

大切なのは、自分の英語の上手下手という“言葉”(表現手段)を心配する前に、下手な英語を使う“勇気”と“きっかけ”を与えてくれる“話したいこと”(人に伝えたい心)を常に持つことです。

文章が長くなってしまったので、今回の内容を再度まとめてみると:

1.自分の得意な話題か、相手が知らないような話題に詳しくなっておくこと。(自然に自分が会話の中心になれるだけでなく、自分の知っている話題に聞き手が興味を示してくれれば、なんとなく話し易くなるもの。英語のレベルは関係なし!)

2.会話についていく為には、会話をしようとしている相手や、相手の生活環境の話題に精通しておくこと。(話についていけなくても、自分の英語力のせいではなく、単に、その話題について自分が知らないからかも知れない…ということを忘れないこと。)

3.下手な英語を使ってでも、どうしても「話したいこと」「伝えたいこと」を常に持つこと。(それを、英語のテキストに載っている例文のコピーではなく、下手でもいいから“自分の言葉”で表現出来れば、それが、結果的に心と心のコミュニケーションに繋がる。)

そして、今回の技は:

「言葉の心配をする前に、話すネタを見つけましょう!」



※この記事は、2003年に発行していた「下手英メールマガジン」で紹介していた「下手な英語を使うための技」に加筆修正を加えて、現在無料再掲載中のものです。令和版は、近日有料公開予定!

下手英メールマガジン発行から20年後、2023年の後書き:
当時のあとがきには、

「英語を話せるようになりたい」という人は多いものの、「英語で何を話したいんですか?」という質問に答えられる人は意外に少ないようです。

下手英メルマガ 2003年2月20日発行  -第二号-

と書いています。
20年経った今も、状況は同じような気がします。

英語が話せるようになりたいという相談は受けますが、英語が話せたらいいという漠然とした希望を持っているだけで、具体的に英語を使ってやってみたいことを、はっきりと思い描いている方は少ないように思います。

大学受験の為の英語や、検定試験の為の英語ではなくて、何か、もっと具体的な、例えば、英語で何かを注文するとか、英語で料理をするとか、短い期間で実際に試してみることが出来るような目標を持って、英語に取り組んでみると、目標を達成するために何をすれば良いのかが分かりやすかったり、実際にできた時には、自信に繋がって、そういった小さな目標の達成を積み重ねることで、英語がより使えるようになると思います。

今、英語が自由に使えるとしたら、今すぐ、あなたが英語を使ってやってみたいことは何ですか?


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