肘下がり~観察すべきポイントとその対応~
いつもC-I Baseball「トレーナーマニュアル」をご購読頂きありがとうございます!
C-I Baseballは2023年5月で4期目を迎えました。
ここまで、C-I Baseballの活動を続けられているのは、
我々の活動を応援し、必要として下さる皆様のおかげです。
この場を借りて感謝申し上げます。
2023年7月よりトレーナーマニュアルもリニューアルしお届けしております。
■今期のトレーナーマニュアル構成
①野球現場でのトレーナー活動
チームトレーナー、育成年代への関わり、パフォーマンスについて
②臨床現場での選手への対応
投球障害への対応、インソールからの介入
上記の①、②においては今まで同様にC-I Baseballスタッフが執筆致します!
そして今期はなんと…
③ゲストライターの登場
バイオメカニクス、栄養、各分野の専門家の方が執筆します
④C-I Baseballメンバーの登場
2020年からC-I Baseballへ加入し育成メンバーとして活動していたメンバーがいよいよライターとして登場します。
C-I Baseballで学び、成長してメンバーの投稿もぜひお楽しみにしてください!
■はじめに
今回の内容は5/20にencounterさんとのコラボセミナーでお伝えさせていただいた内容を改変したものになります。
投球障害で、
【肘下がり】という言葉はよく使用されます。
確かに肘下がりというものは、
肘関節や肩関節に負担をかけます。
必要なくその動作が行われているのであれば、
改善していくべきものと考えます。
ただ、その肘下がりの定義は、曖昧なまま使用されることが多いです。
その定義をはっきりとさせてから議論していく必要があるかと思います。
今回は、
投球障害肘と合わせて、肘下がりをどのように評価していくのか、
またどのように治療していくのかを紹介していきたいと思います。
■投球障害肘とは?
投球障害肘について説明します。
大きく分けて3グループあり、
・外側
・後方
・内側
に分けられる。
外側は、特に
・離断性骨軟骨炎
が上げられ、成長期特有の疾患です。
後方は、
・肘頭疲労骨折
・後方インピンジメント
が上げられ、成人期に生じる疾患です。
後方インピンジメントは、後内側インピンジメントもあり、
その場合は、内側後方に痛みを感じることも多く、
内側野球肘と区別しなくてはなりません。
最後に、一番罹患率の多い内側です。
・前腕屈筋群の損傷
・尺側側副靭帯損傷
・尺骨神経症状
・上腕骨内側上顆裂離骨折(成長期)
などがあげられ、複数の疾患が存在します。
部位によって病態が異なりますが、
しっかりと評価し、疼痛が発生しないように投球させることが大切であると考えます。
■尺側側副靭帯損傷について
近年、尺側側副靭帯損傷に対するトミージョン手術や、PRP療法という言葉は聞き慣れて、身近になってきています。
少し病態について触れていきたいと思います。
尺側側副靭帯は3つの線維に分けられます。
・前斜走線維 AOL
・後斜走線維 POL
・横走線維 TL
です。
線維の幅があるので、
屈曲伸展した際に伸張される場所が異なります。
特に尺側側副靭帯損傷は
AOLが損傷されやすいとされており、
その理由も解剖学的特徴から判断できます。
AOL後部線維が伸張される肢位と、
投球動作で、一番肘にストレスがかかるといわれているMERでの
肘屈曲角度が似ているためと考えられます。
そのため、
AOLが損傷しやすいと考えられます。
また、尺側側副靭帯でも損傷組織の場所により、
回復しやすい部位とそうでない部位が存在します。
このような解剖学的特徴を踏まえると、
病態の特徴が理解できて、
予後の予測に役立つと考えられます。
肘内側の評価としては、エコー評価が役に立ちます。
肘内側の動揺性があるかどうかの評価をし、
ある場合は内側の安定性が欠如していると考えられます。
■肘関節にストレスが強くかかるフェイズ
投球フェイズの中で、肘関節に大きく負担のかかるフェイズが存在します。
それは、
MERとボールリリースのフェイズです。
これらのフェイズでどのようなストレスがかかるのかを見ていきます。
まずは、MERでの肘関節にかかるストレスです。
肘関節の伸展・外反ストレスが肘内側や後方にストレスをかけます。
次にリリースフェイズでのストレスです。
肘関節の過剰な伸展ストレスが加わり、肘後方にストレスをかけます。
これらのストレスが加わることで、
投球障害肘が生じやすくなると考えられます。
ではどのように考えていくかというと、
このフェイズに肘関節にストレスをかけないようにするために、
投球していく必要があると思います。
そこで観察すべき点で大切なので
【肘下がり】です。
では、肘下がりとは、
どのフェイズでの話で、
どこを見たら良いのかを後半では述べていきます。
■肘関節にストレスが加わりにくいフォーム
まずは、肘(肩)関節にストレスが加わりにくいフォームはどのようなものかを確認していきます。
まずは大きくとらえるために
主にMERを観察し、
Throwing plane conceptを考えて観察していきます。
このフェイズで
Single-planeになっているかどうかを観察します。
しっかりと前後から観察し、
肘関節の屈伸運動だけで投球が行われているか、
内外反が生じていないかを観察します。
大まかに観察するには、このような前後からの観察が役に立ちます。
■肘下がりを見極める
肘下がりを観察するためには、
どこを観察したらよいかを述べていきます。
それは2か所存在します。
1個目は、踏み込み足が設置した瞬間です。
2個目はボールリリースの瞬間です。
では、
どのようなフォームがストレスが加わり、
どのようなフォームがストレスが少なくなるか
これらを解説していきます。
下記図
左:踏み込み足設置時に観察すべきポイント
右:ボールリリース時に観察すべきポイント
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【C-I Baseballトレーナーのトレーナーマニュアル】 投球障害肩・肘、腰痛、捻挫、肉離れ、下肢障害など野球におけるケガの関りを専門…
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