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45.外国人労働者

多くの業界で外国人労働者の受け入れが活発化しています。

将来的な労働人口の減少を見据えて、官民一体になって進められています。
 
2016年に初めて100万人を突破した外国人労働者数は、一時はコロナ禍による出入国制限で勢いが抑えられましたが、2021年には約172万人と過去最高を記録し…今後更に増え続けると予測されています。

2030年には500万人を超えるとも言われています。

労働者の国籍は香港、ベトナム、フィリピン、ブラジルなどが多く、近年では特にベトナム人の増加が顕著です。
 
外国人労働者の在留資格は人によって様々で、それぞれ異なるバックグラウンドを持って来日しています。
 
1. 身分に基づき在留する人……定住者、永住者、日本人の配偶者などを指します。

これらの在留資格は在留中の活動に制限がないので、様々な分野で報酬を受ける活動が可能です。
 
2. 専門的・技術的分野で在留資格を持つ人……企業経営者や医師、教員など高度な技能を持った人が該当します。

在留資格の根拠となる専門的業務のみを行う為、単純労働はできません。
 
3. 技能実習……技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的としています。

来日時点で日本語能力を習得している必要はなく、特別な試験なども原則ありません。

外国人技能実習生の受け入れができる職種や作業は2020年の時点で82職種146作業で、最も受け入れが進んでいる職種は建設関係です。

また、ベトナムからの受け入れが半数を占めます。
 
4. 特定活動で在留している人……法務大臣が個々の外国人について活動を指定する在留資格のことをいいます。

例えば、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師、介護福祉士候補者、ワーキングホリデー利用者、外国人建設就労者、外国人造船就労者などが該当します。
 
5. 資格外活動……本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内で労働ができます。

留学生のアルバイトなどが該当します。
 
中でも“3.技能実習”、“4.特定活動”、“5.資格外活動”に大きな増加が見られています。

外国人労働者の増加に伴って、外国人労働者を取り巻く様々な問題が顕在化しています。
 
言葉の壁や文化の違いだけではなく、受け入れ企業側の認識不足によって発生している状況も少なくありません。
 
・長時間労働の問題

外国人労働者であっても、日本で働く以上、労働基準法を遵守しなければなりません。

しかし、日本語が得意でない…日本の法律に詳しくない外国人労働者は多く、不当な長時間労働を強いられているケースは少なくありません。

実際に技能実習生を受け入れる企業の違反事項でも、最も多いのが不当な長時間労働になっています。
 
・低賃金

特に技能実習生で問題視されているのが低賃金の問題です。

本来、技能実習は“外国人に日本の技術を学んでもらって母国で生かしてもらおう”という制度です。

しかし、特に人材不足が著しい業界では技能実習生が主要な労働力を担っている現場も多く“安い労働力”という間違った期待をされている現状があります。

技能実習生を受け入れる為に監理団体への支払いや採用の為の費用など、技
能実習生1人にかける人件費は決して安くはなく、賃金を上げにくいという背景もあります。
 
・劣悪な労働環境

外国人労働者は、日本の職場において弱い立場に置かれるケースが少なくありません。

本来はそのようなことはあってはなりませんが、日本語の習熟度が低く専門的な技能を持たない外国人労働者は、景気後退期などには解雇の対象になりやすく再就職も容易ではありません。

このような状況を悪用して、外国人労働者に対して危険で不衛生な労働を押し付けたり、不合理な労働条件を承諾させたりすることもあるようです。
 
他にも、労災隠しや割増賃金の未払いなど…、現在判明しているよりも更に多くの問題が存在すると言われています。

働きやすい就労環境を整備する必要があります。
 
多くの外国人労働者は、言語、文化、気候など…様々な環境が異なる国から来ています。
 
日本語だけでなく、日本の職場文化への理解も浅いと思います。

また、来日して日が浅いうちは住まいや日常生活に関してもわからないことばかりです。
 
このような場合は、経験豊富な他の外国人労働者や、海外文化に理解の深い従業員をサポートに付けて、公私に渡って信頼関係を構築することが大切になってきます。
 
また、毎日の仕事の指示や社内の掲示物に、外国人労働者の母国語を取り入れるなど、職場の環境整備を積極的に行う必要があります。
 
外国人労働者の日本語レベルを確認することもとても重要です。

一般的に日本で就職活動やビジネスを行う為には、日本語能力試験でN2レベル以上の水準が必要と言われています。

しかし、最初からこのレベルに到達している外国人労働者はほとんどいません。

入社後、簡単な日本語テストなどを行って、外国人労働者の日本語レベルを把握する必要があります。

その習熟度に応じて、日本語学校への通学や社内における日本語学習などを手配するなどの対応が求められます。
 
多くの外国人労働者は、日本における様々な学びや仕事のやりがいを求めて来日しています。

受け入れる企業側においても、その想いに応えて外国人労働者が生き生きと働ける環境作りをする必要があります。

仕事をする為に来日してくれた人たちが幸せになれる環境は、将来的に我々日本人の幸福にも繋がるはずです。
 
新しい時代の共生社会の実現の為にも、外国人労働者に関わる問題を真摯に受け止めて解決する必要があります。
 
 
 
 写真はいつの日か…サッポロビール園で撮影したものです。

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