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事故物件に住んでみた友人に起きた出来事

いつも、お読み頂き有難うございます。

私自身、noteをあまり綴っていないのですが、皆様の記事を読んでいるだけでとても面白く、勉強になります。

ありがとうございます。


そもそも、#私の不思議体験談 に投稿させて頂くつもりで始めたnoteなので、募集が終わってしまい何をしようか迷ってしまいました。結局、不思議、怪異系のお話しになりました笑。

今回は、だいぶ、年下の友人「Ⅰ」君の怪異のお話しをさせて頂きます。

お付き合いをよろしくお願い致します。


人の好いⅠ君

Ⅰ君が大学を出たての頃のお話し。

就職先も決まり、親から自立するために、不動産屋を訪れました。

一件目から、出物に出会います。


3LDKで、5万円。風呂、トイレ別。単身者OK。

郊外のベッドタウンにしても、破格の家賃と条件でした。

難点をいえば、最寄り駅から徒歩15分くらいと少し遠いこと。

「怪しい…」と思いながらも、広くて、安いならと内見を申し出ました。


不動産屋さんは、快く承諾してくれたものの「見に行く前に伝えておくことが…」と。

Ⅰ君は「来た!」となぜかテンション高め。

案の定、「事故物件である」ということでした。

よくよく聞くと、厳密には、「告知義務なし」の賃貸物件で、事故物件には当たらないそう。

どういうことかと言うと、「前住人がお亡くなりになっているのではなく、その前の方がお亡くなりになっていた」そうで、契約すれば、Ⅰ君は、この物件の3番目の住人になるということでした。
(1番めの方がお亡くなりになっているのですね)


「伝えなくても良いのに、なんでわざわざ伝えるんだろう?」と思いつつも、社会に出たての若者なので、聞くことはなかった。

不動産屋の営業の方は、「見て、気に入らなければ、他の物件をお探しします」と言ってくれているし、「親切な方だし、まあ、いいや」と思った。

私は、この時点で怪しさ満点だと思いましたが笑。

Ⅰ君はとにかく、人が好いのです。


マンションの内見

現場に着くと、マンション自体、とても日当たりが良く、奇麗。「良い雰囲気だった」そうです。

件の部屋は、3階の突き当り、他の部屋から、少し奥まった場所。

「あれ?」と思いました。

その部屋だけ、急に「暗い」。

気になりつつも、「そもそも、マンションの玄関側なんて、こんなものか」と、さして、気にすることもなく内見に入りました。

部屋の中は、奇麗にしてあり、日も当たっている。

「住みやすそう」というのが第一印象。

「ここにしよう」と内心、決めていましたが、一応、全室を見て回ることに。

トイレやお風呂も新しく、奇麗でおしゃれ。

「いいじゃん!」と安い理由など、忘れていた。


問題は最後の部屋だった。

あえて、最後に見せたのか、たまたまなのか…。

一番、日当たりのよい窓辺の部屋。

茶色のフローリングの床に、こげ茶色の染みが、ちょうど人、一人分くらいべったりと付いている。

「なんだこれ?」と思っていると、I君が何か言う前に、営業の方は「勿論、全室、リフォームして、奇麗にしますよ!」「とにかく、安いですし、日当たりも良い。おすすめしますよ!出物です!」「いやぁ、ツイてますね!」と矢継ぎ早に捲し立てた。

「あれ、このマンション、まだ、リフォーム入ってないの?他の部屋、トイレ、お風呂、全部、すごく奇麗だったけど…何だろうこの染み…」と思いつつも、これから社会に出るI君は、営業の方の勢いにも押され何も言えなかったそうです。

「決めないとこの方に悪い」と思ったのです。

とにかく人が好い。

「ここ嫌です」と言えなかった。


契約

あれよあれよと契約する運びとなった。

契約書に判を押そうという段で、営業の方は言った。

「いやあ、有難うございます。とても良い物件なのに、なかなか決まらなくて。助かります。…で、Iさん、なるべく長く住んで頂きたいんですよ。最低1年。その方が、お互いに良いですよね!」こんな感じだったそうです。

「?」「自分は長く住むつもりでいる。だって、わざわざ引っ越しもするんだし、家賃安いし、第一、出物なんでしょ?最低1年?」と思いながら、判を押し契約成立。

「すぐに引っ越して良い」ということで、段取りを始めた。I君は「リフォームするんじゃないの?」とは思わなかった。

1週間ほどして引っ越しをした。

例の部屋のフローリングの上には、立派な絨毯がひかれていた…。


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住めば都と人は言う

さすがのI君も、この絨毯には「まさか!」と思い、捲ってみた。

こげ茶の染みはなかった。奇麗に消えていた。

絨毯だけが敷いてあった。

「なんだ。絨毯くれたんだ」と、気にせずに生活を始めた。


異変はその日から起きた。怪異は待ってはくれないのです笑。

I君は、今どきの若者には珍しく、大学には勉学と部活のためだけに行っていたような人物で、何事にも一生懸命。

彼の中の怪異、不思議の立ち位置は、完全な「エンターテイメント」で、自分には関係がなく、画面の中、紙面の上で楽しむ「漫画や映画と同じ位置付け」という認識の真っ当で正しい人です。

そんな彼が、引っ越しをしたその日から、「誰かが部屋の中にいる」というのです。

ハッキリと見るわけではないけれど、「気配を感じる、影を見る」と。

その日から、彼は、日に日にやつれていきました。この過程は私も見ています。

「引っ越したらどうか」と何度も言ったのですが、「長く住むと約束した」「何かを感じるのは、僕が弱いせいです」と聞く耳持たず。

何でも霊のせいにするより、よっぽど、まともですし、正当なのですが、彼の発言が気になって仕方ありません。

「金縛りにあうんです。今まではなかったのに…」

「寝ていると誰かに手足を持たれ、ぐるぐると回される感覚に陥るんです」

しかし、私自体、違和感を感じても霊を見るわけでもないので、変に思い込ませると病んでしまうと判断し、「そうなんだ。試しに引っ越ししたら」程度に話していました。

そんな日々を過ごしていましたが、だんだん話がエスカレートしていくのです。

「部屋の中で、誰か話している気がする。きっと、壁が薄いんですね…」

「勝手にテレビがつくんです。勝手にお風呂の水が出るんです。電波の関係ですかね…」

「仕事から帰ってくると、床が濡れてるんですよ…雨漏りかな」

私は「電波の関係って何だ!雨漏りってなんだ!」と突っ込みを入れたくなってきました笑。

どちらにせよ、I君は徐々にやつれていくし、病んでいくので「引っ越せ!」と強めに言ってみました。


決定打になったのは、別の友人がI君に「テレビをあげる」とこのマンションに運んだことでした。

この友人Sさんは、とても豪胆な人で、いろいろなことを「全く気にしない」のでが、I君のマンション内に立入ることが出来ませんでした。

後日、「いや、ロマンさん、俺、ロマンさんに、何言ってんのって思ってましたけど、あれはダメですよ。なんかいますよ。異様に暗いんですよ。あの部屋の前だけ、本当に暗いんですよ!」と言っていました。

結局、このSさんが、無理やりに「引っ越せ!!」と話をすすめ、彼はしぶしぶと引っ越すことになりました。

事件はこの後起きました。


I君ひかれる

不動産屋さんの営業の方は「なぜ、引っ越すの?」と食い気味だったようですが、Sさんが「知るか!お前が住め!」と解決。

他の町に新しいアパートを見つけ、引っ越しの日も決まりました。

もう数日で、引っ越しというある日の朝です。

I君は跳ねられました。

原付に乗っていて、対向車線から飛び出した軽トラックに。

何もない直線の公道で。

相手の居眠り運転だったそうです。

全治3か月の片足と片手の複雑骨折でした。

引っ越しは、延期になりました。彼が入院していたので。

入院中に彼は元気になっていきました。

そして、「マンションに近づきたくない」と言い、引っ越し当日に、業者の方と残りの荷詰めをし、無事に引っ越しました。


後日譚

例の絨毯です。引っ越しの日、業者の方が、I君の持ち物と思い、剥がしたそうです。

あったそうです。こげ茶の染みが。

彼は、「思い出したくない」とそれ以上のことは話しませんでした。


新しいアパートに越してから、元気に暮らしている彼なのですが、一度だけこんなことを言いました。

「昨日、布団干したんですよ。取り込もうと思ったら、濡れてるんですよ。

びっしょりじゃないんですけど、けっこう濡れてるんです」


その日は、晴れでした。

なんか連れてきたの?I君?


これは数年前に起こった出来事です。

I君は、現在、とても元気に暮らしています。


最後までお読み頂き有難うございます。事故物件、気を付けましょう笑。

長々、すいません。

皆様がお幸せでありますように。




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