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魔都平安京の守護 源頼光

いつもありがとうございます。たくさんのフオロー、スキ、本当にうれしいです。
少しでも、娯楽になれれば幸いです。

今回は、日本を代表する、怪異退治のプロ、源頼光様について、お話させて頂きます。
おそらくは、日本最古に数えられる怪異譚ではないでしょうか。

この頼光さま、何がすごいのか。武士の立場で怪異に当たり、正面から、斬って臥せていることです。

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平安京怪異譚、成立前夜

平城京からの遷都は、急を要し、平安京の完成を待たずして行われた。

内裏内さえも、完成していない。

平安京は、羅城門から、朱雀門までを結ぶ、朱雀大路を中心に、右京と左京に別れるが、右京に至っては、湿地帯であったために、ほとんど、開拓されなかった。

また、追い討ちをかけたのが、蚊を媒体にした疫病である。

多くの人びとは、左京に渡り住む。
必然、右京は、荒廃した。江戸の頃には、洛中であるにも関わらず、洛外の扱いであった。
これらは、平安京が、魔都の一面を持つのに、一役かっている。

右京は、「人外のものの住処」になってしまう。

思えば、平安京に暗い影をおとしたのは、長岡京、平城京から、持ち込まれた「怪異に対する人々の異常な恐怖心」であったかもしれない。

洛中に、人が住まぬ広大な土地がある。必然、事件、怪異譚には事欠かない。

内からなのか、外からなのか、平安京は、百鬼夜行の住処となる。


妖怪退治 怪異譚の始まり

そもそも、怪異への畏れ、ゲン担ぎの思想から始まり、呪術的要素で、建造された平安京は、都への事件を「怪異」として捉え、対応をしていく。

そもそもは、運勢的な思考で政治を行う「陰陽寮」も、この頃から、「お祓い」「魔除け」的な仕事を担うようになる。

かの有名な陰陽師、安倍晴明も、本来は「天文博士」である。

この政府管轄の陰陽寮は、たくさんの呪術者、陰陽師を配し怪異への対策にあたる。

主に、「目に見えぬもの」との対峙であるために、直接的な戦闘を行うより、呪詛返し、魔除けなどの「祈祷」や「結界を張る」ことで、怪異への対応していくのである。

これが、「平安京怪異譚」の始まりであるが、物質的に、怪異に対応する武士集団も現れる。


源頼光の出現

この時代を背景に、武士集団の棟梁、「源頼光」(ライコウ、ヨリミツ)は台頭する。

貴族を雲上人とし、栄華を極め、形成されていく平安京において、「武士」を印象付けた第一人者である。

この時の「源家」の台頭は、結果、後の世の「平家」=「貴族」の滅亡への第一歩であったかもしれない。

現に、源氏として、血の繋がりは薄いものの、源頼朝、義経は、この源頼光の所持した「刀」、「髭切」と「膝丸」を所持する。

この刀は頼光の父「源満仲」が天下守護の名のもとに打たせたものであるが、この後、源氏、ひいては、時の武士権力者の所持する権力の象徴の一部となる。

現在、刀剣乱舞で一躍、有名になったこの二本の刀は、実に面白い奇怪な運命を辿ることになるが、それは、またの機会に。


源頼光は強力な配下を要していた。

後の世に「頼光四天王」と呼ばれ、それぞれが、逸話を残す、渡辺綱、坂田金時、卜部季武、碓井貞光らである。

ちなみに、坂田金時は、「まさかり担いだ金太郎」さんである。

源頼光は、この配下と藤原保昌(ヤスマサ)と共に、酒吞童子を始めとする怪異と戦う。


源頼光の特異性

現代人の怪異との対峙の仕方を考えても、源頼光はとても面白い。

策を巡らせはしても、実際の刀で斬りつけ、ねじ伏せるという人物像になっている。これは、物語編纂時の刀文化を受けていることと、怪異の存在の仕方が背景にある。


(ちなみに、実際の頼光さんが生きていた時代は、さほど、刀文化ではない。形状も、その後の武士が持つものとは違う。剣術は存在しなかった)


源頼光の物語は、本来、目に見えぬ存在を「鬼」という形あるものにしている。しかし、同時代に、陰陽師は、怪異を「目に見えぬ存在」と捉えて、現代の霊能者的な戦い方をしている。

ここでは、「鬼」の考察に触れるのは、やめておく。またの機会に話したい。

どこまでいっても、ロマンチックな解釈をしたい。

以前、読んだ漫画に、「目に見えぬなら、触ることができぬなら、鬼は存在していない。存在しないなら、相手にしない。存在しているのなら、自分には斬れる」というセリフがあった。

この斬鉄剣的思考、「この世に斬れぬものはなし」が源頼光の強さである。

そして、それが、源氏の台頭、公家の失脚を物語る象徴になっていはしまいか。この物語編纂時点で、武士の世は決定されていたのかもしれない。


終わりに

怪異、不思議は、日常の事実の中にも隠れていると思います。鬼が実際の鬼でなかったとしても、その物語を紡ぐ意図は存在していました。

少なくとも、これに、怪異を結んでいく創造者の思考の中に「鬼」は存在しています。

このことがとても不思議で、ロマンスを感じるところであると思うのです。


お付き合い頂き、いつも有難うございます。

皆さまが、お幸せでありますように。


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