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「僕にはへラルボニーを上場(IPO)させたい理由があるんです」創業メンバーの大田が見据える6年目の決心

2023年7月。「異彩を、 放て。」をミッションに掲げるヘラルボニーは、創業して6年目に突入し、それと同時にいよいよ本格的なIPOへ向けた準備を開始します。

IPO準備の中核を担うのが本社機能業務全般を担う「コーポレート部門」です。現在、コーポレート部門では担当領域である財務・経理・人事・労務・総務・法務・情報システム・セキュリティにおけるそれぞれのスペシャリストを積極的に募集し、非連続な成長を支えるコーポレート部門の基盤構築を推し進めています。

今回のnoteでは、そんなコーポレート部門をゼロから立ち上げ、現在もシニアマネージャーとして組織横断しながら事業を支える大田雄之介へインタビューを実施。創業からの5年間を振り返りながら、これからのへラルボニーの展開、そして「なぜ、IPOなのか」。創業メンバーである大田だからこそ捉えられる「へラルボニーの存在」とは。じっくり話を聞きました。

学生時代に卓球の宮城代表として岩手代表・松田兄弟と対戦するライバルであった大田(入社エントリはこちら

子どもの将来を悲観していたという親御さんからの言葉と、作家の力強い握手で、迷いが吹っ切れた

ー まずは単刀直入に、この5年間を振り返り、いま感じることを教えてください。

そうですね。振り返るとあっという間で、まだ5年しか経っていないのかというのが率直な感想です。奇跡的な成長スピードだったと思います。ただ、代表・副代表、全メンバーが創業以来ブレずに持ち続けている「障害福祉のイメージを変える」という明確な想いと、これまで作家やその親御さん、福祉施設、クライアントの方々などと紡いできたご縁を考えると、来るべくしてこのフェーズに到達できたのだとも感じています。

2015年秋、代表・副代表と岩手県花巻市にある「るんびにい美術館」へ初めて企画書を渡しに伺ったときから、今もその想いはブレていないとはっきり言えます。新たな事業を立ち上げる際、いざ始めてみると壁にぶつかって、大なり小なりピボットせざるを得ない状況に陥ることはよくあると思うのですが、ヘラルボニーの場合はどういう社会を目指したいかという強烈な想いが、一切ブレていないんです。社内だけでなく、社外のステークホルダーのみなさまに対してもそれが伝わっているからこそ、共に歩み続けたいと思っていただけているのではないでしょうか。

ー 大田さんにとって、この5年でもっとも印象に残っている出来事を教えてください。

私個人の経験で言うと、設立から3年目を迎えるころに名古屋拠点を立ち上げた時ですね。1人で現地に赴いて、結果的に1年半近く滞在することになりました。その際、岩手・東京以外で初めて長期間のポップアップを行ったのですが、当時今以上にヘラルボニーの知名度がないにも関わらず、個人・法人のお客さま、アルバイトメンバーと本当に多くの方々に支えていただきました。

名古屋拠点の立ち上げは大田自身の転機となった

とりわけ大きな転機になったのが、店舗に立っていた際に障害のあるお子さんをもつ親御さんからいただいた、「これまで障害があるということで、自分亡き後の子どもの将来を悲観していたけれど、ヘラルボニーの存在を知って、より生きやすい社会になるのではという希望が生まれた」という言葉でした。ヘラルボニーに入社するまでは物流業界にいたので、これまで培ったノウハウが活かせず、「自分のバリューは何だろう?」と私自身不安を感じていた時期でしたが、この言葉で迷いが一切なくなりました。これが自分の進むべき道で間違っていないんだ、と腹落ちした瞬間でしたね。

また、名古屋に軸足を置いていたことで、三重や滋賀など東海エリアの様々な福祉施設へ定期的に伺えたのも貴重な経験でした。そのなかでも三重県の「希望の園」に所属する早川拓馬さんとの出会いが印象に残っています。早川さんは電車とアイドルが大好きで、キャンバスいっぱいの人物のアウトラインに、たくさんの電車を描いていくスタイルの作家です。「希望の園」には5回ほど伺ったのですが、4回目に早川さんが立ち上がって力強く握手してくれて。簡単に信頼関係ができたとは言えませんが、そのタイミングには通じ合えたような喜びを感じました。その後、早川さんの絵に自分を描いてくださったことも嬉しかったです。

早川さんの作品の前で、ご本人との2ショット

ヘラルボニーにジョインしてからの半年間は、思い通りにはいかないことも多くあり、正直辛い時期でもありました。他のメンバーのように、障害福祉を変えたいと思う原体験が自分にあるわけでもなく、自分のキャリアに迷いを感じていたこともありました。ただ、東海のみなさんからいただいた温かい言葉のおかげで、改めてヘラルボニーで頑張ろうと思えましたね。

ー 他方で会社の成長を後押ししたと言えるハイライトはどこにありましたか?

いろいろあるとは思いますが、特に印象に残っているプロジェクトは、2021年7月に岸田奈美さんとコラボレーションしたブラウスです。大変好評いただき、より多くの方にヘラルボニーを知っていただく、会社にとっての転機になりました。また、全社員総動員しワンチームとなって取り組んだ阪急梅田でのポップアップストア「ヘラルボニーアートコレクション」も、ハイライトの1つです。これまでと桁違いの規模で、ヘラルボニーの成長を肌で感じた、取り組みになりましたね。

阪急梅田で開催されたポップアップには多くの来場者の姿が

なぜ、へラルボニーはIPOしないといけないのか

ー ではここからはコーポレート部門の話題に入っていきたいと思います。改めて、へラルボニーにおけるコーポレート部門のミッションを教えてください。

コーポレート部門のミッションは、全メンバーが部門の垣根を超えてシームレスかつ迅速に業務を実行できるよう組織の潤滑油のように本社機能全般を円滑に遂行することです。また、ヘラルボニーはIPOを目指しておりますので、IPO準備の中核も担っています。

ー IPOという話が出ましたが、そもそもへラルボニーはなぜIPOを目指すのでしょうか?

資金調達の必要性と、ミッションの実現の2つの観点があると考えています。「企業は社会の公器である。」という松下幸之助氏の言葉がありますが、ヘラルボニーという器は、社会全体を大きく巻き込むものと考えており、プライベートでなく、パブリックであることは必然です。

ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験カンパニーです。社会的意義のある事業でありながら、継続的に高い収益を生み出していくパブリックカンパニーの実例はまだ多くないです。私たちは、障害福祉という領域において、社会的インパクトと経済的インパクトの両軸で前例がないほどの実験と挑戦を続け、経済と社会をリードしていく存在を目指していますし、創業当時から変わらず持ち続けている目標です。

やはり、ヘラルボニーの事業を通じて、社会側に根付く障害のイメージを根本から変容し、障害のある方、障害のある子どもをもつ親御さん、関係者の方々が安心して暮らせる社会の実現には、ヘラルボニーがIPOをすることは、一つ大きな意味を持つと考えています。

ー 大田さん自身、IPOにこだわる理由をどう捉えていますか?

私の原体験にも繋がってくるところがありますが、名古屋でお会いした、障害のあるお子さんがいらっしゃる親御さまが自分亡き後の子どもの将来を悲観していたことが強い動機になってます。国内には、約936万人の障害のある方が生活されています。それだけ多くの方の親御さんが、同じように悩み、子どもの将来を悲観する経験をしているのかもしれません。

ヘラルボニーは、知的障害のある作家のアートを軸に事業展開をしていますが、知的障害のある人や、さらにその中でもアートの才能がある人だけを「異彩」と捉えているわけではありません。障害という一括りにされたイメージのなかには、無数の個性があります。ひいては、障害の有無に関わらず世の中の人たちすべてが「異彩」といえる個性をもっているとも捉えているのです。

10年後、30年後の未来に、だれもが持つ「異彩」が放たれ、自分らしく、他者との違いを受け入れられるような社会の実現を目指して、今後は、知的障害だけではない障害のある方との共創も仕掛けていきます。それから、海外展開や福祉の領域にも事業を拡大していくつもりです。そのためには、より一層、継続的な資金が必要です。私たちが実現したい社会を目指すために、IPOという一つの手段にこだわっていきたいと考えています。

ーIPOを目指すうえで、直近のコーポレート部門の課題があれば教えてください。

いかにサスティナブルなコーポレート部門になれるか、という点です。今後会社の売り上げがさらに大きくなり、IPO準備にフォーカスした際、そのスピードや業務量に耐えうる組織になれているのか。コーポレート部門は、会社の規模に合わせて肥大化していく傾向にあると思います。現場に対して、ここの管理はどうなってるのかと重箱の隅をつつくような管理体制を推し進めてしまうと、多くの人員が必要になります。
ヘラルボニーのコーポレート部門は最小のリソースで最大のインパクトを出せる組織でありたいと考えています。様々な問題に対してどれだけクリティカルなのか優先順位を決め、肥大化していく業務については自動化と仕組み化を積極的に進めることで、IPO準備に十分なリソースを割けるようにしたいですね。

IPO準備をゼロからデザインできる、最良のタイミングは「今」

ー 改めて、このタイミングでヘラルボニーで働く意義はどこにあるのか、聞かせてください。

先ほども触れましたが、IPO準備を始めていくなかで、ゼロからデザインできるのはまさに今しかありません。来年、再来年になるとある程度形ができている状態です。

IPO準備の初期段階は、いわば仕組みを作り続けていくフェーズです。山積みしている課題のなかから優先順位をつけて、課題解決のために様々な仕組みを企画できます。上場後は企画というよりも、オペレーションを間違いなく回していくことが求められるので、求められるスキルセットも当然変わってきます。上場までの仕組みづくりをすることにおもしろさを感じる方には、今こそ最良なタイミングなのではと思います。

当たり前ですが上場がゴールなわけではなく、IPOはあくまで1つの通過点です。でも今のヘラルボニーでは、まずその通過点まで到達するための体制を作る必要がある。個人投資家の方からもお金を預かるに耐えうる財務開示体制やガバナンス、コンプライアンスの構築などやるべきことは山積みです。

ー コーポレート部門にとって、6期目はどんな1年になりますか?

非常に変化の大きい1年になります。6期目で監査法人から監査を受けられる体制にならなければ、来年も同じことの繰り返しになってしまう。それはつまり、上場が遅れることを意味します。上場時期はステークホルダーのみなさまと約束しているものなので、緊張感が今までとは大きく異なりますし、ヘラルボニーの日頃の意思決定のスピードはとてつもなく早いので、自分自身がボトルネックにならないかという不安は正直あります。IPO準備を行ううえで、私以上にコーポレート部門を統括する役割にふさわしい方がいれば、喜んでバトンをお渡しする覚悟はできています。各領域のスペシャリストの方々の参画が必要です。

ー これからのヘラルボニーで挑戦する候補者のみなさんに対して、どのようなモチベーションやマインドセットを期待していますか?

コーポレート部門として徹底的にやりきるぞというよりは、管理しすぎないバランス感がある方に、ぜひ挑戦いただきたいですね。あえて全てを完璧にせず、現場で働くメンバーのスピード感を大切にするマインドが重要だと考えています。

そして何よりも重要なのは、ヘラルボニーがなぜ誕生したのかその背景を理解すること。リーダーであればあるほど、どれだけミッションに共感しているか、そしてカルチャーにマッチしそうか、採用フローでも重視しています。

コーポレート部門にとって、6期目は変化の年です。ヘラルボニーのミッションに心から共感し、共にIPO準備を力強く推し進めてくださる方のご応募をお待ちしています。

5周年を記念して契約作家さんや福祉施設の方へ感謝を伝える「異彩の感謝祭」。ヘラルボニーが最も大切にしたいステークホルダーは彼らです。

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